Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

長閑な国の王とケモノ 第十三話『弐の春 旺眞お姉様のお願い』

これは『著者:藤間麗 / 出版社:小学館』が権利を有する漫画『王の獣~掩蔽のアルカナ~』の非公式二次創作物です


◆注意する事ばかりで長くなった注意◆

 これは

  • 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
  • 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
  • 女体化
  • 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
  • 滲み出る変態性

 を含みます。
 そして私は

  • 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
  • あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
  • 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
  • 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在

 です。
 それでも見たい人は続きへGO! GO!


第十三話『弐の春 旺眞お姉様のお願い』

 朝。
「明日は旺眞姉上に会いに行こうと思う」
 雪は昨日、天耀からそう言われた事を思い出しながら出勤していた。その途中、天舞に会う。
 天舞は昨日運び忘れた太博の洗濯物を持って行くと言い、それを聞いた雪は太博がまだ部屋に居れば挨拶をして一緒に仕事に行こうかと思い、付いて行く事に。

 二人が太博の部屋の前に着くと、空いた窓から太博の姿が見えた。
 しかし彼は手にした紙を見つめながら、どこか悲しい顔をしているように見える。
 恐る恐る窓越しに天舞が太博の名前を呼ぶと、彼は気が付いてこちらにやって来た。
「太博様、昨日洗濯した服を渡しそびれていて……」
「ああ、そこに置いておいてくれ」
 そう言われて天舞がいそいそと戸から室内に入ったのを見計らい、雪は口を開く。
「太博様、これは……便箋?」
 太博が手にしていたのは色があせた水色の便箋だ。
「ああ、これか。昔、贈り物として便箋に焚きつける香と共に買った物だ。
 渡せなかったがな」
 そう言って太博は便箋を棚の引き出しにしまうと、部屋から出て仕事に向かう為さっさと歩いて行ってしまう。
 ちょうど出てきた天舞と共にその後ろを付いて行くと、天舞は小声で「雪さん」と口に手を添え雪の耳に顔を近づけた。
 雪は身長が低い天舞の為に体と耳を傾ける。
「あれって太博兄様が蘇月さんの誕生日プレゼントに買った便箋なんですよ。私が選んだんです!
 でも……渡す前に失踪してしまって。それ以来ああして時々眺めてるんですよ」
 そう言って天舞は悲しい顔をした。

 旺眞。
 彼女は桂花に育てられた雲雀の子だ。

 現皇帝・宗現には初め、雲雀、翡翠、桂花、牡丹。の四人の妃がいて、雲雀は控えめな性格をしていたが、歌を歌うのが得意な妃だった。
 そんな彼女は一番早くに妊娠し旺眞を産んだが、それと同時に亡くなってしまい残された旺眞は桂花が母親として育てる事になる。
 だから天耀達とは共に生活していただけあり、とても仲が良い。

 そして今。
 一名を除いて女性しかいない宮の一室で、旺眞は歌を歌っていた。
 彼女の歌声は美しい。死んだ母親譲りだろうと評判だ。しかし彼女は人前で歌おうとはしない。
 理由は簡単で、緊張してまともに歌えなくなるからだ。
 そう、旺眞は生みの母の控えめな性格も、かなり強調して引き継いでしまっていた。
 だから彼女の歌声を聞ける者は限られている。
 そんな彼女だが、今日の歌声はちょっとだけいつもより固かった。
 なぜならもうすぐ天耀が従獣の雪を連れてやって来るからだ。

 旺眞は歌をやめ、ふう。と息を吐く。
 彼女は人見知りだが、男が特に苦手だ。
 だからまだ一度しか見た事のない、しかも男の従獣も一緒にやって来るという事で緊張していた。
『そういえば雪はどこかで見た気がするけど、何だかもう少しで思い出せそう……。
 蘇月とは似ているけど、そうじゃなくて……』
 ふとそんな事を考えていた所で
「旺眞様! お手紙が届きましたよ」
 この女性だらけの唯一の例外、亜人の男の子・逞牙が手紙を持って現れる。
「あら、ありがとう」
 旺眞は逞牙と初めてあった時、若干の緊張はあったがすぐに慣れてしまった。
 それは彼が子供だからという理由の他に、子供の頃飼っていた柴犬の花ちゃんに似ているからだ。
 そんな風に思っているから、無意識に逞牙の頭を撫でて手紙を受け取る。
 逞牙はいつもの事だがやはり少し恥ずかしくて、視線を逸らし頬を染めた。
 そんな逞牙に気が付かない旺眞は手紙の差出人を見る。
 それは旺眞の管轄地の、貴族の跡取り息子からだ。
 何かしら? と中を見てみると、旺眞の顔は徐々に青ざめていった……。

 天耀は雪と共に旺眞の宮に向かいながら、旺眞と共に育った理由を説明し終え、それ以外の姉の特徴を話していた。

 旺眞は体が弱く、そのせいで子供ができない為に結婚できず、宮廷に残り皇子の様に管轄地をもらって父である宗現の手伝いをする皇女だ。
 今年に入り父の気まぐれで従獣の逞牙をもらった。
 あまり人前に出る様な性格ではないが博識で学者としての一面を持ち、同じ趣味の外国の友人と文通で議論する仲である。
 そして医学や科学に興味があるので、そう言った事に投資し国を助けている皇女としても有名だ。
 ちなみに璃琳はお菓子、化粧品、衣類品などに投資をしていて、こちらはこちらで人気がある。
 旺眞と璃琳は協力している事もあり、最近は可愛いデザインの容器に入ったハンドクリームを共同で開発していた。

「ここで働いている人達もよく使っていますね。この間も天舞さんに見せてもらいました」
 雪は父に買ってもらったと、出たばかりの新デザイン容器のハンドクリームを見せてもらった時の事を思い出す。
『可愛かったよな……』と、ほんの少し羨みながら。
 そうして着いた旺眞の宮は、後宮の様に男性の姿が無い。
 雑用をする者も、仕事を補佐する者も、警備も、すべて女性だ。
「男性はいないのですか?」
「あぁ、旺眞姉上は男性があまり……というかかなり苦手でね。特に数年前色々あってから」
 そう言って天耀は何かを思い出し、困ったように笑う。
「ともかく、今ここで働いている男は従獣の逞牙だけだ」
「そうでしたか。……所で、ここに植えられてる植物って観賞用ではないですよね?」
 雪は庭を見渡してそう口にする。
 庭はお世辞にも美しいとは言えない、女性らしさに欠ける物だった。
「うん、薬草になる様な物が多いね。たまに観賞用があるけど」
 天耀は苦笑いで答えつつ、ここに植えられているほとんどの植物は薬学の研究に使う物だと教える。
 そんな実用的な庭を抜け、待ち合わせ場所の応接間の中に入った天耀達だが……。
「天耀! お願い一緒に来て!」
 天耀が部屋に入るや否や、旺眞はそう言って弟に縋り付いた。
『旺眞様って、胸が大きいな……』
『当たってる……』
 雪と逞牙が各々そんな事を考えているさなか、天耀は旺眞をなだめ事情を聞く。
「ああ、ごめんなさい。ひとまずこれを見てほしいの」
 旺眞は幾分落ち着くと、先ほど逞牙から受け取った貴族の息子からの手紙を天耀に見せた。
 そこには、使用人として雇っていた亜人が毒殺された事件が起きたのに、家族達は何もせずに事件をもみ消すつもりで、息子自身も何とかしようと思ったがどうにもならずに旺眞に助けを求めた旨が書かれている。
 しかし気が弱い旺眞はこの手の問題を一人でどうにかする事が出来ず……、こういった事があると大抵天耀に助けを求めていた。
 だから今回もタイミングよくやって来た天耀に助けてほしくて縋ったのだ。
「なるほど。それで姉上一人だと心細いしまともに会話できないから、いつものように私に付いて来てほしいという事でしたか」
「本当の事だけど、あまりそういう風に言われると辛いわ、天耀……」
 旺眞は今にも泣きそうな顔をした。

 こうして。
 天耀君達は軽く自己紹介をした後、当初の目的を先送りにして旺眞お姉様達と手紙の差出人である貴族の息子に会いに行く事になった。

 

第十三話『旺眞お姉様のお願い』終

 

 宗現が旺眞を桂花に託したのは

  • 翡翠→天然でもうすぐ麗雲も生まれるのに心配
  • 牡丹→彼女の好きな仕事を少しでもさせてあげたい

 って思ったからだと思う。

 

前回

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次回

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 2023/1/24時点で電子版で全号購入可能。
 割高にはなるが連載中なら最も早く王ケモが見られる。
 また、マイクロ&単行本で修正された箇所が電子版でも元の状態で見られると思われるので、単行本とセットで買って変化を楽しみたい人向け。

 

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 51巻まで発売中。
 1巻で大体1話分くらいが見られる。(ページ数による)
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王の獣~掩蔽のアルカナ~

 11巻まで発売中。
 1巻に大体4話入ってる。(1話分のページ数による)
 時間が掛かってもある程度安くまとめて読みたい人向け。

 

*1:なお、小説を賞に応募した事もあるが1次審査すら通過した事はなかったし、評価シートありの所では常に構成の評価が最低ランクだった

*2:試し読みや読者の感想等も36話くらいでよく見なくなり、大して分からない