Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

長閑な国の王とケモノ 第二十話 参の春『春のお茶会一』

これは『著者:藤間麗 / 出版社:小学館』が権利を有する漫画『王の獣~掩蔽のアルカナ~』の非公式二次創作物です


◆注意する事ばかりで長くなった注意◆

 これは

  • 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
  • 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
  • 女体化
  • 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
  • 滲み出る変態性

 を含みます。
 そして私は

  • 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
  • あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
  • 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
  • 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在

 です。
 それでも見たい人は続きへGO! GO!


第二十話 参の春『春のお茶会一』

 朝。
 いつものように自主練してから天舞の手伝いという『相手の懐に入って情報を聞く作戦』を遂行する雪は、思い切って蘇月と太博の関係を聞いてみた。
「気になりますか?」
「ええ、まぁ……」
 天舞はこの時、太博が蘇月に渡しそびれた便箋を見つめている様子を雪が見ていたのと、天耀が蘇月に付いて調べていると知っていたので、それ関係での質問だろうと特に疑問にも思わず。
「太博兄様は蘇月さんと仲が良くって、どうも蘇月さんの事は妹として見ていた様です」
 と、知っている情報を話し始めた。
「それで太博兄様は「今度機会があったら蘇月を紹介してやる。友達になってやってほしい」って私に言ってたんですよ。
 なので私も楽しみにしていたんですけど……、その日が来る前に蘇月さんはどこかへ行ってしまって。
 その後の太博兄様ときたら、酷い落ち込み様でした。
 蘇月さんからの手紙が自分にはなかったのも原因かもしれませんね。
 それから、太博兄様に蘇月さんの話をすると悲し気にするから、私もあまり話に出せなくなりました」
 いつも明るい天舞に、陰りが見える。
「あの……太博様は蘇月さんの友人だったんでしょうか?」
「どうでしょうか? さっき言った通り太博兄様は蘇月さんを妹の様に感じている様でしたが。でも蘇月さんはどうだったんですかね?」
 それを聞いた雪は、今までの情報からだと蘇月は太博の事を友達とは思っていなさそうだなと考えて、太博友達説を一旦除外した。

「雪。もうすぐ春の茶会があるんだが……」
 天耀は出勤してきた雪を見るや否やそう言って、春の茶会の説明をした。

***

 春の茶会は参の春に執り行われている伝統行事だ。
 古くは従獣の評論会も兼ねており、従獣がお茶お入れたり楽器を演奏したり舞を披露したりと芸術面や技術面を見せ、人間がそれに加えて毛並みの美しさや容姿なども参考に評価していた。

 しかし近年に入り……というか宗現が皇帝になってからその伝統も様変わりし、今は家族と従獣でお茶とお菓子を楽しみましょうという行事になっている。

***

「それでこの日は従獣も普段よりちょっとおめかししてもらい、茶や茶菓子を振舞ってもらったりとしているんだ。
 忙しい父上もこの日は休みを取って、参加するんだよ」
 そう言って天耀がニコニコしているのを見ながら『家族でお茶会か。楽しそうだな』と雪は思う。
「本当はもっと早く伝えておくべき事だったんだが、すっかり忘れてしまっていてね」
 天耀は申し訳なさそうにして「なので急ですまないんだが……」と雪に問いかける。
「雪はこの茶会の日、茶を入れたりする事もできるし、私達と一緒に茶会を楽しむ事もできる。
 もちろん出たくなければ欠席してもいいんだが、どうしたいだろうか?」
「お茶を入れたりお菓子を配ったりくらいはできますけど……作法とかありますか?」
「まぁ、多少はな。だからもし出るなら太博に教えさせるよ」
「え、私ですか?」
 そんな話は聞いてないぞと、近くで作業をしていた太博は顔を向けた。
 雪はしばし考え「逞牙は出るんですか?」と聞く。
 雪の考えとしては、まだ子供で従獣になりたての逞牙が出るのであれば自分が出ても問題ないだろうとなったのだ。
「ああ、出ると聞いているよ。当日は茶を入れてお菓子を配ると言っていて、今特訓中だそうだ」
 昨晩、旺眞に借りていた本を返した時に彼女が過保護気味で心配しながらその事を話してきたのを思い出しながら、天耀は答える。
 ちなみに。旺眞達はやはり遅れ気味に茶会の事を想い出し特訓を始めていて、天耀も昨日この話を聞いて思い出した。
 なので作法を習うにしても時間はあまりないし、天耀としてはお茶を楽しむだけでもいいと思っていたのだが。
「それなら僕も出てみます。逞牙と同じ事くらいしかできないと思いますが……」
「そうか。じゃあ太博、雪に色々教えてやってくれ。無理はさせるなよ? 雪も無理はしなくていいからな? 当日は何より楽しむ事が大事なのだから」
 そして天耀は席を立つ。
「私はこれから母に会って来るから、しばらく席を外すよ」
 こうして天耀は太博と雪を置いて、護衛と共に後宮へと向かった。
 雪は天耀を送り出した後、母や蘇月と一緒にお茶とお茶菓子(主に果物や木の実が多かったが)を食べていた時の事を思い出しながら『家族団欒って、いいよな。当日は水を差さない様に頑張ろう』と張り切っていた。

 雪は太博と共に厨房へと移動し、ひとまずはとお茶の入れ方を見てもらっていた。
 と言っても、この国はお茶の文化が根強い。
 どんなに田舎の出でも、どんな粗暴でも、よほどの事がなければお茶くらいは入れられるし、大抵の者は正式な入れ方を知っている。
 しかし……。雪は特に自分一人で飲む時は大雑把で、やたらと渋いお茶が出来たり薄いお茶が出来たりとしていた。
 ちなみに。母や蘇月と暮らしていた時も面倒臭がって適当に入れるからと、お茶汲みはほとんどさせられていない。
 とは言ってもちゃんとした淹れ方も知っている。だから
『まずは茶器をお湯で温めて……茶葉は何分蒸らすんだっけ?』
 とやっていて、太博から砂時計を渡されて普通にお茶を入れられていた。
「茶自体は特に問題ないな。だが、茶会は優雅さも必要だからそこは鍛えていかなくてはいけないが」
「優雅さ……」
 雪は大丈夫かなと若干不安になり、そんな彼を尻目に太博は茶を飲みながら「そうだ」と茶会時の毒見について教えた。

 

■太博のお茶会毒見解説

 茶を入れた者はまず自分が最初に茶を口にし、毒の有無を確認する。
 手順は、まず茶を口に含み、異変がなければそのまま飲み込み配膳する。
 しかし異変を感じたら吐き出す。
 茶菓子についても同じ要領で毒見をする。

 ちなみに宮廷では普段もこのような毒見はちゃんとされているし、妓楼に行った時も厨房に監視が付いたし毒見もされていた。
 更に治安が悪化した際は、配膳までに時間をおいて毒見役に異変が現れていないか確認してから配膳するという厳しめの手順もある。
 なので厳しめ毒見が執行されている時は、天耀達皇族は冷たいご飯しか食べられないのだ。
 もちろん調理場に監視を付けたりもしているし、この国は比較的平和なので普段はここまで厳しくはしていないが。

***

「ちなみに毒見役は、味の違和感に気が付きやすいきちんと修練を積んだ者がなるのだが、従獣がその代わりを担う事もあるな」
 そう説明しながら『そういえば、蘇月は熱心に毒見の訓練をしていたな……』と太博は過去を思い出す。

◇◇◇

 何かあった時にすぐに対応できるようにと医官が傍で待機する一室にて。
 蘇月はポピュラーな毒なら臭い、あるいは口に含んだ時にすぐ分かるように訓練していた。
「無理しなくてもいいよ? 毒見役はもういるんだし」
 ずらりと並んだ毒を前に緊張しながら慎重に臭いを嗅ぎ、ゆっくり毒を口に含んでは吐き出し水で口をすすぐ。を繰り返す蘇月に、天耀は心配しそう声を掛ける。
 しかし蘇月は首を振り、続けた。
 その表情は、真剣そのものだった。

◇◇◇

『やけに熱心にやっていたよな……』
 そう思う太博だが、蘇月があんなに真剣に取り組んでいたのは訳がある。
 それは毒見役が何かの事情でいなかった場合、その役を太博がすると聞いていたからだ。
 だから蘇月は『太博様を危険にさらしたくない……!』と頑張っていたのだが、もちろん太博は分かっていないのであった。

 

第二十話『春のお茶会一』終

 

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次回

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 2019年3月号~2023年4月号に王の獣が掲載されている。
 2023/2/24時点で電子版で全号購入可能。
 割高にはなるが連載中なら最も早く王ケモが見られる。
 また、マイクロ&単行本で修正された箇所が電子版でも元の状態で見られると思われるので、単行本とセットで買って変化を楽しみたい人向け。

 

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 52巻まで発売中。
 1巻で大体1話分くらいが見られる。(ページ数による)
 先行配信をしているサイトもある。
 連載中に雑誌より安く、単行本より早く王ケモを見たい人向け。

 

王の獣~掩蔽のアルカナ~

 11巻まで発売中。
 1巻に大体4話入ってる。(1話分のページ数による)
 時間が掛かってもある程度安くまとめて読みたい人向け。

 

*1:なお、小説を賞に応募した事もあるが1次審査すら通過した事はなかったし、評価シートありの所では常に構成の評価が最低ランクだった

*2:試し読みや読者の感想等も36話くらいでよく見なくなり、大して分からない