Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

長閑な国の王とケモノ 第二十三話 参の春『仲直り一』

これは『著者:藤間麗 / 出版社:小学館』が権利を有する漫画『王の獣~掩蔽のアルカナ~』の非公式二次創作物です


◆注意する事ばかりで長くなった注意◆

 これは

  • 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
  • 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
  • 女体化
  • 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
  • 滲み出る変態性

 を含みます。
 そして私は

  • 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
  • あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
  • 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
  • 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在

 です。
 それでも見たい人は続きへGO! GO!


第二十三話 参の春『仲直り一』

 茶会から帰った天耀は酷く項垂れており、太博に「話を聞いてくれ……」と捨て犬の様な視線を向け、先ほどあった幼稚な喧嘩の事を話した。
「私は何をやっているんだ……」
 頭を抱える天耀に「別に天耀様がそう負い目を感じなくとも……」と慰める太博。
 彼は茶に毒が混入していた事も話の流れで聞いたので驚きつつも、この喧嘩の幼稚さに呆れていた。
 しかし天耀がここまで怒りをあらわにした事に心当たりがあり、攻める気持ちにはなれない。
 しかし話を聞いてもらって慰められて尚、天耀の気は晴れず。
「ちょっと頭を冷やしてくる」
 と、フラフラ外に出て行ったのであった。


 夕食前。
 雪は毒の事を調べおえ、部屋で休んでいた。
 毒は吐き出したし多少は痺れたとはいえ特に体に問題もなく、今現在は痺れもすっかり取れたのだが、プリプリ怒った天耀はこの日の雪の仕事を全て無くしてしまっていた。
『過保護だよな。母親みたい……』
 そんな風に思い口を尖らせ、でも心の隅では罪悪感が渦巻いている。
 そこにノック音がして「雪、いるか」と太博がやって来た。
 返事をしながら雪が戸を開けると、太博は雪を頭の先から足の先まで舐めるように観察し。
 ゴンッ!
 と問答無用でゲンコツをお見舞いし、雪は痛そうに頭を押さえる。
 それから、鬼の形相の太博からの『なんでこうされたか言わなくても分かるな?』というオーラに気圧された。
「雪、従獣は主の友達でも家族でもない。もっと身分を弁えた行動を取れ」
「ハイ……」
「宮廷は長閑な雰囲気だし忘れていても仕方がないと思うが、主に対し反抗的な態度など本来なら鞭打ちだ。
 皇子によっては水攻めされてもおかしくはないかもな」
「申し訳ありません……」
 と言いつつも口を尖らし謝る雪。
「所で、茶の毒はどうだったんだ?」
 太博は観察して感じた通りゲンコツを食らってもなお元気そうな雪の様子を見て、続けて話が聞けそうだと毒の混入について詳しく聞いた。

 

■茶会の毒混入について雪が得た情報

 毒は植物の葉を乾燥させた物で、茶葉に仕込まれていた。
 毒草自体は山などに行けば比較的簡単に手に入る。
 雪が行っていた茶会の準備の時は特に違和感はなかったので、準備が終わり茶を入れるまでの間に毒が茶葉に仕込まれた様だ。

***

「そうか……。この事はこちらでも調べておく。
 あと、ちゃんと天耀様に謝っておけよ」
 そう言って太博は立ち去り。その背中を見送りながら、雪は思わず感情的になって喧嘩した事を後悔した。

 茶会が終わった日の夜。
 雪はまだ藍月だった時の、母と蘇月の三人で暮らしている時の夢を見ていた。
 母は
「お母さんに何かあったら、蘇月の事をお願いね」
 と言っていた。
 しかし藍月は何もできなかった。
 いや、何もしようとしなかったのだ。
「お母さんとの約束、破ったのね」
 後ろに母が立っていた。
 そして生気を感じさせない顔をこちらに向けている。
「藍月は、嘘を付く悪い子ね」
 母はそう言って首と腹から血を流し、藍月の両腕を掴んだ。
 その手は段々と腐り始め、母はミイラになりながら
「お前は蘇月を見殺しにしたんだ!」
 と、血走った眼を向け叫ぶ。
「違う! 私、そんなつもりじゃ……!」

 ここで、雪は目を覚ました。
 全身に嫌な汗をかき、心は罪悪感に押し潰された。

 

 早朝。雪は矢を射っていた。
 嫌な夢を忘れるように。
 そこに「可愛げがないほど正確だな」と、太博がやって来る。
 雪の射った矢が全て的の中央に刺さっているのを見ながら。
 そんな彼は蘇月の事を思い出していた。
 蘇月は運動神経がいいのだが戦闘方面が苦手で、攻撃的な事になるとうまく体が動かない。そんな子だ。
 だから弓矢も頑張っていたが、的に当たる前に矢が落ちてしまっていた。
「……弓矢に可愛げが必要ですか?」
「まぁ、それもそうだな。あと、今日ちゃんと天耀様に謝まるんだぞ」
 そう言って太博は去り、宮の一日はスタートした。

 が。
 雪も天耀もなかなか謝れず、二人は気まずい思いをして過ごしていた。
『雪の様子が……なんだか疲れている様だ』
 謝りたくて様子を伺いまくった結果、天耀は雪に心労が現れているのを察する。
『昨日の喧嘩のせいか! 早く、早く謝らないと……!』
 しかし焦りこそすれ、全然謝る事が出来ない。
 雪も雪で『太博様からの圧を感じる。それに……。とにかく、早く謝ろう!』と思いこそすれど、なかなか切っ掛けが見出せずに謝れない。
 そんな二人はお互い視線を合わせようともせず、直接言葉を交わそうとしないものだから
「太博、雪にこれをさせてくれ」とか「太博様、天耀様にこれを渡しておいてください」だとか、太博を中継してやり取りする始末。
『いい加減にしてくれー!』
 太博は心の中で叫んだ。

「おやぁ? なんだか様子がおかしいねぇ」
 ふふふ、と笑いながら天耀の宮にやって来た麗雲が、一人で居る天耀に声を掛ける。
「うっ、麗雲兄上……」
「何かあったのかな? よかったらお兄さんに話してほしいなぁ……」
 話したら、常に楽しさを追い求めている麗雲の肥やしになる。
 とは思う物の、話せばスッキリしそうだという心もあり……。
 天耀は割とあっさりと雪と喧嘩をしてしまったと話した。
「それは早く謝った方がいいんじゃないかい? 時間がたつと謝りづらくなるものだよ。
 ちなみに僕はちゃんとすぐに謝るよ」
「嘘つけ! 麗雲が謝った所なんて俺はまだ見た事ないよ!」
 謡尾が怒って尻尾をブンブン振りながら抗議した。

 

「お茶会の時、雪さんがすっごくカッコよかったって女官の方達が言ってましたよ」
 一人で居る雪を見つけた天舞はまずその話題を出してから、気まずそうに上目伝いで雪を見た。
「あの……所で雪さん。天耀様と喧嘩してますか?」
「え?! 何故です?」
「いつもと様子があからさまにおかしくて、皆にバレバレですよ!」
 そう聞いた雪は情けなさそうに、耳と尻尾をしなっとしおれさせる。
「お茶入れが失敗してしまった様ですが、その事と何か関係ありますか?」
 お茶に毒が入っていた事は、まだ公にしない方がいいだろうと天耀達周辺の一部の者しか知らない。
 だから雪は「まぁ……一応」と、曖昧に答えておいた。
「私、事情とかよく分かっていません。だから私が言えた事ではないのですが、もし天耀様が雪さんに何か失礼な事をしてしまったのが原因なら、それは何か事情があると思うんです。
 天耀様はいい人ですから。特に亜人には……。
 だから、出来たら早めに仲直りしてほしいです!」
「が……頑張ります……」

 しかし、結局この日はお互い謝る事が出来ずに終わった……。

 ミイラになった母が鬼の形相で藍月を見ている。
 そしてその枯れた腕を伸ばし、藍月の首を絞め……。

 雪は嫌な汗をかいて飛び起きた。
 心臓は激しく脈打ち、呼吸は乱れ、心に不安感を与え……。
 深呼吸して落ち着いた頃、外を見る。まだ空は薄暗く日が昇るのはもう少し先の様だ。
 しかし雪は二度寝する気にもなれず、身支度を済ませると弓道場に向かい無心で弓を射って過ごした。

 

 夜が明ける頃にふと目を覚ました天耀は、弓を射る音が聞こえた気がして弓道場へと向かった。*3
 するとそこには雪がいて、一心不乱に矢を射っている。
 しかし。射った矢は中央から外れ気味で、いつもより精度が落ちている様だ。
『やはり雪の様子がおかしい……。それに、眠れていないのか?
 そんなに、私と喧嘩した事を……。
 今日こそ、今日こそ謝らねば! 皇子の名が廃るっ!』
 そう天耀は心に固く誓い。

 

 お昼過ぎ。
「雪、付いてきてほしい場所がある」
 丸一日以上口をきいていなかった二人であるが、天耀がようやっとそう声を掛け。
 太博に見送られ、雪と天耀は護衛を数名連れてとある場所まで馬を走らせた。
 こうしてやって来たのは、雪にもなじみある場所だ。
 樹木が生い茂り、花で彩られ、川と滝、そして湖があるそんな穏やかな場所。
 そう、現皇帝・宗現が作った名誉ある死を迎えた亜人の墓地である。
 天耀は入り口で馬から降りると「ここからは雪と二人で行く」と他の護衛を置いて中に入り、奥へと歩いて。
 そして、一つの墓の前に立つと後ろを付いて来ていた雪の方へ顔を向け
「雪に、聞いてほしい話がある」
 と、子供の頃の話を始めた。

 

第二十三話『仲直り一』終

 

 この国において、墓石がある人は少ないかもしれない。
 地面に焼いた骨を植えるだけどか、樹木葬や海に返したりとかしているかも。

 

前回

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次回

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 11巻まで発売中。
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*1:なお、小説を賞に応募した事もあるが1次審査すら通過した事はなかったし、評価シートありの所では常に構成の評価が最低ランクだった

*2:試し読みや読者の感想等も36話くらいでよく見なくなり、大して分からない

*3:【聞き耳(皇子イヤー)】に成功した