◆注意する事ばかりで長くなった注意◆
これは
- 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
- 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
- 女体化
- 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
- 滲み出る変態性
を含みます。
そして私は
- 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
- あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
- 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
- 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在
です。
それでも見たい人は続きへGO! GO!
第二十五話 参の春『仲直り三』
天耀の子供の頃の話を聞いて、雪の胸はズキズキと痛んだ。
『そんな事があれば、天耀様が過剰に心配するのも当然だ。なのに僕は……。ごめんなさい、天耀様……』
雪は知らなかったとはいえあの時邪険に扱った事を後悔し、そして天耀の方はこの話を終えると雪に向き合い
「ムキになって、私の身勝手な気持ちを雪に押し付けて、本当に悪かった」
と頭を下げる。
「それに雪に眠れなくなるほど負い目を感じさせてしまった様で、本当にすまない……」
「ちょっ! 天耀様顔を上げてください! 皇子なんですからそんな事をしてはいけません!
それに、眠れなかったのは嫌な夢を見たからで……喧嘩とは関係ありません」
雪は『天耀様、僕が眠れてないって知ってたのか……』と思いつつ慌てて天耀の顔を上げさせた。
「それに僕だって意地になって言い返して……身分も弁えず、申し訳ありませんでした」
そういう雪の耳は寝て、尻尾も力なく垂れている。
が。それを見て天耀は、とある欲望がムクムクと沸き上がり……。
「じゃぁ、仲直りの印に雪にお願いがあるんだけど……」
「お願い、ですか?」
「嫌ならいいんだが……」
天耀は少し照れながらそのお願いを話した。
◆
墓地から宮廷に帰った後。雪の部屋にて。
天耀は椅子に座る雪の髪と耳に、丁寧にブラシを掛けていた。
最初は真面目にブラッシングしていたが、今は耳を押さえるように梳いて、ピョコン! と跳ね上がる耳を見て楽しんでいる。
雪は『遊んでる……』と思いながらも、仲直りの印なんだからと特に何も言わず嫌がらず、なすがままにされていた。
それに雪には具体的な理由が分かっていないが、嫌じゃないのだ。むしろ嬉しいくらいで。
だから抵抗しないでいた。
そして天耀といえば借りてきた猫の様に大人しい雪に対し、コッソリ匂いをかいで
『やはり男の臭いとは違うな。むしろ紅玉に似ている』
などとしながら。
「じゃぁ次は尻尾を梳いていくよ」とベッドに向かうとベッドの上に二人して座って、雪の尻尾を膝に乗せてブラッシングを始めた。
ちなみに亜人の毛づくろいは、自分でやる以外に家族や恋人など近しい者にしかさせない事が多い。
と言っても近代の流れや璃琳の活躍もあり、この国には亜人も身だしなみを整える為に使える美容院的な場所がある。
なのでそこに行き、尻尾や耳にブラシを掛けてもらう亜人もいるから絶対ではない。
しかし雪は家族以外に触らせない様な子で、特に尻尾は触らせたがらない。
なので、やってもらっている間はムズムズするような何か不思議な気持ちに囚われていた。
しかし天耀は雪の心など知らず
「尻尾はフカフカで温かいな。冬に重宝しそうだ……」
などと言ってフカフカしながら丁寧にブラシを掛け、雪はこの言葉で母が生きていた頃を思い出す。
◇
「お母さんしっぽ!」
「藍ちゃん駄目! 今日は私の番」
寒くなると、母の尻尾を取り合った。
だからいつも順番に、母の尻尾を抱っこして眠ったのだ。
◇
「夏は暑いですけどね」
夏場は離れて寝ていた事も思い出してそう告げた。
ただ……。
『そうか、この感じ……。母さんに髪や尻尾を梳いてもらってた時に似てるんだ』
そう感じて雪は心をポカポカさせる。
まぁ、実際にはちょっとだけ違うのだが。
こうして、お耳と尻尾がピカピカツヤツヤになった頃。
「そうだ。父上からお前が歌が上手いと聞いたんだが、聞かせてくれないだろうか?」
櫛を返した天耀はちょうど思い出したのもあり、せっかくの機会だしとねだってみた。
「は?!」
「嫌ならいいが……」
そう言う天耀の声は残念そうに沈む。
「しっ、仕方ないですね……」
と、雪はやはり『これは仲直りの印なんだから……!』と心で唱え。
「童謡しか歌えませんが」と前置きして歌を歌った。
それはとても優しい歌声で、外で働く者達の耳にも届いて心を和ませた。
◆
雪のブラッシングや歌を楽しんだ後。天耀は太博からとある情報を聞いた。
そしてその夜。
天耀は寝室のベッドに寝転がりゴロゴロと考える。
■天耀の推理
藍月と蘇月は金華と彊虎の子供で、金華と宗現は恋人同士だった様で。
なのに蘇月とは接点があまりないと言って、宗現は特に何も言わない。
そして雪は宗現の親友(本人らは悪友と言っているが)で部下でもある、孔先に拾われ育てられた。
孔先は記憶喪失の雪を拾ったと言っていたそうだが、雪はほぼ藍月で確定している。
もし藍月が行方不明になったあの日。孔先が藍月に近づき、何のコネもない亜人の少女に宮廷に入れる方法として軍人になる事を提案していたら?
今この状況が作られるのではないか?
だがしかし、もし仮にそうだとしても孔先ならばあの時宗現の伝手で藍月を宮廷に入れられそうなものなのに、何故それをしなかった?
という疑問が生まれる。
そして茶会の毒混入事件。*3
茶会が始まる前の準備が終わった後から雪が茶を入れるまでの間に茶葉に毒が混ぜられた様だが、監視の目があるというのにそんな事は早々できない。
そもそも何故、天耀の従獣である雪が入れる茶に毒を仕込んだのか? その理由が見えてこない。
一応可能性として二つほど、あると言えばあるのだが……。
●ケース1『他皇子やその取り巻きの策略』
毒混入事件は、他皇子が皇帝の座を狙い、もしくは皇子の取り巻き達が皇子を皇帝にする為に策略し、天耀達の印象を悪くする為に起こされた事件だった。
しかしそれは可能性が低い。
何故なら、天耀達兄弟は仲が良いからだ。
更に実は天耀自身は皇帝の座を狙っておらず、その事は秘密にしている訳でもないので他の家族はもちろん、少なくとも皇子に近しい部下なら知っている情報である。
だがそういった事が絶対に起きないという訳ではない。
それに例えば太博が闇落ちするという様な特殊な状態になれば、江凱に対し妨害活動を行うであろうし、逆もまた然りである。
●ケース2『誰かの悪戯』
暇つぶし、あるいは今の皇帝が気に入らない者の悪意により、必然、あるいは偶然雪が使う茶葉に毒を混ぜた。
そうだった場合、特に江凱ならば意地悪の一環でやっていてもおかしくはない。
だがもしそうするとしても、江凱なら無毒だがとても苦い薬品を使うはずだ。*4
そして今の皇帝が気に入らない者が犯人の場合は、家族団欒と化した茶会を滅茶苦茶にしてやろうと、痺れる程度とは言え毒物を茶に混入させる事自体は不自然ではない。
ただ、警備体制がしっかり整っているあの茶会で、その様な者が監視の目をかいくぐり茶葉に毒を混ぜる。というのは難しいので考えづらい。
しかし。
あの日、茶葉に毒を混ぜる事が比較的容易に行える人物がいた。
天耀はゴロンと体の向きを変えて、先ほど太博が教えてくれた女官からの情報を思い出す。
あの茶会の日。
出席していなかった彊虎が茶会が始まった直後、雪の入れる茶がまだ置かれていた厨房に「時間ができたので様子を見に来た」とやって来たのだ。
元々、宗現の配下等ならば茶葉に毒を混ぜる事も出来ただろうという考えはあった。
それが太博からの情報でより強固な物になった訳だ。
更にあの日、おかしな言動を取った者がいる。
それは天耀の父であり、現皇帝陛下の宗現だ。
彼は雪がお茶を配れないと言った後、やたらとその『不味い茶』を飲みたがった。
もちろん宗現の性格を考えれば飲みたがるのはさほど不自然ではないのだが、あの日はやけにしつこかった。
まるで、そうすれば雪は毒入りの茶を飲まざるおえなくなるだろうと、わざとやっていたかのように。
現に宗現が何もしなければ、雪はあそこまで毒入りの茶を飲む事はなかった。
が、元部下でしばらくすればまた手元に戻る人材に対し、痺れ薬を飲ませる理由までは分からないが。
そう思いつつも天耀は思い悩む。
『父上は、優しい人だ。だから蘇月の失踪に父上が係わっているのだと疑いたくはない……。だが……』
やはり宗現はどうも怪しい気がする。具体的にハッキリと言えないにしても。
それにと天耀は蘇月が失踪した時の宗現の発言を思い出す。
「人の心の内など、分からないものだよ天耀。
今回の事は仕方がない。従獣はまた新しい子を付けよう」
もしこれが、息子に蘇月が失踪ではなく誘拐だとほんの少しでも思わせないようにする為の陽動だったら?
『もしそうならば……』
天耀はこの日、調べる事にした。
父の身の回りと、金の流れを。
第二十五話『仲直り・三』終
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