◆注意する事ばかりで長くなった注意◆
これは
- 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
- 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
- 女体化
- 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
- 滲み出る変態性
を含みます。
そして私は
- 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
- あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
- 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
- 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在
です。
それでも見たい人は続きへGO! GO!
第二十六話 参の春『城下町にて』
一カ月ほど後に夏至祭が始まるという頃。
最近時間さえあれば資料を見ながらソロバンを弾いている天耀は、雪にとある説明をしていた。
「従獣は皇子と共に行事に参加する事もあるが、その時今の服でもいいけれど、やはりそれなりにいい服を着ていた方が皇族として顔が立つ。
という理由から、自分の従獣に好みの服を着せる習わしがあるんだ。
だからこれから雪のよそ行きの服を作る事にした。
という事だから、下着姿で計らせてほしい」
メジャー*3を持ってニッコニコで迫る天耀に、雪は慌てて「皇子がそんな事しなくてもいいです!」と答える。
「なら天舞にやってもらうか。いや、太博の方がいいかな?」
「一人で計れますっ!」
「一人で計るのは大変だから!」
そんなやり取りをした後。
結局。雪は黒っぽい色の服で薄着をした上で天耀に体のサイズを計らせる事を許可し、天耀は体のサイズを計りながらも
『袖があるから腋が見えないな……。それにしても、雪はやはり細い。もしも本当に男だとしたらモノがないせいなんだろうが。あといい香り』
と、セクハラじみた事をし。
雪の方はとてつもない緊張感に襲われて、終始顔を火照らせていた。
『何だろう? すごくドキドキする……! 男だとバレないかのドキドキかな?』
雪がドキドキするのは恋愛感情に関係する事なのだが、彼……いや、彼女はいまだ理解できないのであった……。
ちなみにだが、好みの服を着せる習わしは実際にある。しかしこの時代、強制ではない。
もちろん昔はしっかりしていたが、時が進み宗現の時代になっているのもあり今はすたれて無くなっている習わしなのだ。
だから逞牙は自分の好きな物を着ているし、謡尾も女性っぽい服を自分で選んで着ている。
つまり、天耀は雪を騙して彼の体をチェックしているだけである。
それから。
墨に限っては、江凱が選んだ服を着ている。
別に江凱は強制していないのだが、墨は服を選ぶのが苦手なのと江凱に選んでもらえるのが嬉しいから、そうしている。
そんな墨の服だが、基本墨の毛の色と同じ黒色が多い。
何故かと言えば「黒には黒だろ。その方がかっこいいし魔女の使い魔は黒猫だしな」という、江凱の謎の拘りがあるからである。
けれども、そんな理由でも墨は喜んで着ているが。
◆
「雪。今年執り行われる夏至祭の催し物が決まったから、説明をするぞ」
天耀との怒涛の採寸が終わり、雪がいつもの服を着てヨロヨロ部屋から出た時。
太博は雪の様子を不憫そうに見た後そう言って、それからと「知っていると思うが、夏至祭の説明からする」と説明を始めた。
■太博の夏至祭説明
夏至祭。
それは太陽を司る神が眠りにつく日に、神が良い夢を見られるようにと皆で願い太陽神を楽しませる為の祭である。
ちなみに冬至祭は眠りから覚めた神を皆で喜び迎える日だ。
そして凪の国では、夏至・冬至祭の日に皇族が催し物を開く事が多い。
過去には従獣による『従獣天下一武道会』なる催し物をしていた事もある。
そして今年は……。
***
「従獣によるパルクール対決に決まった」
太博によると内容は、城下町の決められたコースを身体能力のみで駆け抜けるという物である。
そして所々にショートカットできる場所もあり、それをうまく使えば一位確実だろうとも言われた。
「コースは後日、天耀様と下見をしに行く。あと、その日は恐らく町で買い物もできると思うから何か買いたい物があるなら金を持って行けよ」
そう言って太博は去って行った。
◆
後日。
早速天耀、雪、太博達はパルクールのコースの下見に来て、ショートカットの場所を確認しつつ一通りコースを歩いてから。
「こんな所だな。覚えられたか?」
太博の問いに「はい」と雪は答え、「大丈夫そうか?」と心配する天耀には「大丈夫だと思います」と笑顔を向けた。
ちなみに三人は皇族や皇族関係者とはまたちょっと違う、ギリ貴族とその使用人に見える服装をして町に繰り出している。
「そうか。一位の者には豪華景品も用意してあるから、頑張ってくれ」
『景品か……食べ物が良いな。あ、でも逞牙も参加するよな。なら、逞牙に花を持たせるか』
そんな事を考えていた時である。
雪は後頭部に何かが迫って来るのを感じ、振り向きざまにそれをキャッチした。
そして手にした丸いボールの様な物を確認する。それは、墨で変な顔*4が描かれた夏ミカンだ。
何事だと夏ミカンが飛んで来た方を見ると、そこには第二皇子の江凱とその従獣・墨が立っていた。
そちらもギリ貴族とその使用人に見える格好をしている。
「ちょっ! 何するんですか江凱兄上!」
「私じゃない。墨がやった」
「はぁ?! どうせ江凱兄上の指金でしょう!」
天耀は『雪がいるから猫かぶりモードだな』と思いながらも江凱に怒るが。
「いや、大丈夫ですよ。それに頭には当たりませんでしたし」
雪は特に怒っておらず、夏ミカンの変な顔をつつきながら答える。
「まぁ。雪がそう言うならいいが……」
不承不承納得した天耀は「そうだ」と江凱に顔を向けた。
「江凱兄上、どうせ今暇でしょう? もう耳にしていると思いますが私今、蘇月に付いて調べているのでちょっとあそこの店で話を聞かせてくれませんか?」
と、若干ぞんざいな言い方で飯屋を指さすが、江凱は目を細め彼の事情を知らない大抵の者からは恐ろしく感じる顔で「断る」と言い放つ。
「はぁ? 何でですか! 別にいいでしょう話を聞くくらい。あぁ、話をしてくれたら飯を驕りますよ?」
雪は、江凱の眉が若干ピクっと動いたのを目にした。
しかし「それだけでは足りない」と江凱は答える。
「何ですか! 我儘な事を言わないでくださいっ!」
「……パルクールで勝ったら」
「は?」
「パルクールでうちの墨にお前の従獣が勝ったら、話してやらんでもない」
「なんでっ! そんな回りくどい事しなくちゃいけないんですか! あ! 江凱兄上?!」
江凱は文句を言う弟を無視し、墨を連れて踵を返して去って行く。途中、何故かこちらに手を振るニコニコ笑う狸っぽい雰囲気の眼鏡の男性を連れ立って。
「あ、夏ミカン……返し忘れた」
雪は変な顔の夏ミカンを見つめた。
◆
天耀達もそろそろ帰ろうという頃。
「そうだ雪、好きなお菓子を買ってあげるよ」
太博が妹のお土産にと菓子屋に入ったのを見て、天耀もそう雪を誘って菓子屋の中に入る。
ちなみにこの世界のこの時代、平民にとって甘い物はまだ貴重だ。
もちろん絶対に食べられないという事はないのだが。
「何か好きな物はあるかい?」
「そうですね……あ」
雪が目を止めたのは金平糖が詰められた瓶だった。
「これがいいのか?」
「……はい。星みたいで綺麗です」
その言葉に既視感を覚えて天耀はびっくりした顔に一瞬なるが、すぐにいつもの穏やかな顔に戻ると金平糖を買ってやる。
こうして雪は、変な顔の夏ミカンと買ってもらった金平糖を胸に抱き帰った。
幼い頃を思い出しながら……。
◇
藍月達は三つから九つの誕生日に、瓶に入った金平糖をそれぞれ一つずつ貰っていた。
誕生日になると必ず家に届くのだ。
それの贈り主が誰かは知らないが、母の知り合いの様だというのは藍月達にも分かった。
それは母が死んだ後も送られてきていたが、十歳の誕生日の時には雪と名乗り住んでいた場所を離れたから分からない。
◇
そして雪が昔を思い出している時、天耀もまた子供の頃の出来事を思い出していた。
◇
天耀が七つになる年の夏の終わり、彼は父と母と姉の五人でお出掛けをした。
宗現は妃とその子供らを連れ、こうして外に出掛ける様な父なのだ。
そしてそろそろ帰ろうかという時、母と明鈴は服や装飾品の店に向かい、旺眞は警備の人間と本屋に行き、宗現と天耀は菓子屋に入った。
その時、家族と家で食べるお菓子を買った後に天耀は聞かれたのだ。
「なぁ天耀。知り合いの娘達の誕生日に菓子を送ろうと思うんだが……何がいいと思う?」
その時天耀はあれこれ見て回り、とあるお菓子に決めた。
「これがいいと思います。お星さまみたいで綺麗です!」
宗現は「そうかそうか」とニコニコして、金平糖を買っていた。
◇
だから天耀は雪の言葉を聞いて既視感を覚えたのだ。
それからハッとなって、紅玉から聞いた藍月達に送られていた金平糖の話に、何か引っかかる物を感じた時の事を思い出す。
『もしかしてあの日、父上は藍月と蘇月の為に買っていたのかもしれないな……』
そう考えながら天耀は宮廷へ帰った。
ちなみに。
変な顔の夏ミカンは「返さなくてもいいよ。食べてしまいなさい」と天耀が言ったのもあり、雪が美味しくいただいた。
第二十六話『城下町にて』終
好みの服を着せる習わしは、従獣は皇子の所有物であるアピールの他に皇子のセンスを見る為の物でもあったかもしれない。
この世界には収穫祭もあり、その時は月の女神に感謝をささげている。
そして太陽の神は男性なので、多分太陽の神と月の女神のラブロマンスな話も存在すると思う。
天耀や江凱達は城下町に出た際、ギリ貴族に見える服装をしているが、それは平民にも見える程度の服装である。
狸っぽい眼鏡の男性は、太博に手を振っていた。
あと、特に掘り下げる予定はない。
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