Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

EVE#023『イツとサチの謎』

注意

  • この物語の元となったのはとある版権物
  • 後に矛盾が生まれる可能性アリ
  • 色々あってこの物語はいらない子となった為、突然終了の予感
  • 私は漫画や小説などを作るのは得意じゃない

 

前回

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 漫画の件から数日後。
 サチがまだイツの運転する車で送り迎えされていた、そんなある日。
 御影荘で仕事をしていたレンは、制服姿のサチがイツの車から降りた所が見えて「おかえり」と声を掛けて近付いた。
「ただいまです」
「でも、今日は早いね」
 サチは今日学校がある日だし普段ならもう1時間ほど遅いので、そう疑問を投げかける。
「病院に行っていたので」
「どこか悪いの?」
 EVEは風邪をひきにくいし、サチは元気そうなのでレンが小首をかしげた。
「体は特に問題がないんですけど……」
 そう話し始めた所で。
「サチ。行くぞ」
 と、車を置いて来たイツがやって来てサチを連れて行ってしまう。
 そんなもんだから、レンはますますイツとサチの関係性が気になって行き……。

 仕事中。
「ねえ、シン。イツってサチの事、束縛してない?」
 一緒にいたシンにそう聞いてみる。
「ん~、そう見えるよねぇ。でも、色々事情があるから仕方がないんだ」
「色々……」
 レンはその色々が聞きたいという顔でシンを見るが……。
「じゃあ僕こっちの掃除してくるね~」
 と、何となく事情を説明するのを避けられる様に去られ、なんだかレンはちょっとだけ嫌な気持ちになってムスっとした。

 それから、レンは色々考えた。
 少なくとも自分が御影家に来た時から今まで、イツは悪い人間には感じないし、あからさまな酷い事をサチにしていない。
 ただ、過保護が過ぎるくらいで。
 そしてその過保護にはどうやら事情がありそうなのだが、御影家の面々に聞く事はどうやらタブーのようである。
 実はアイとフタからも聞き出そうとしたのだが、どちらからもはぐらかされてしまった。

 本来のEVEなら、そんな他人のプライベートな事が気になって調べ回る事はしないが、彼女はEVEではない。
 だから人並には気になる。
 それよりなにより。
『なんか、私だけハブリにされてない?』
 レンはひそかに怒っていた。
 御影家に来て早3カ月。レン自身はすっかり御影家に馴染んだと思っているが、どうやら自分だけイツとサチの事情を知る事ができないのが気に食わない。
『他の皆は知ってるっぽいのに……』
 しかし、ホーからも釘を刺された事だし、確かに人間知られたくない事の一つや二つもある。
 だからそろそろ嗅ぎ回るのはやめて、この事は放置しようと思っていた。
 そんな彼女の元に、とある人物が近付いてくる。
 レンが話を聞こうとしなかった、御影家にいるなんかよく分からない人間だ。
「おいレン。お前、サチとイツ様の関係が気になるか?」
 何となく不機嫌そうで愛想のない声と顔。そしてボディーガードの様な黒スーツ。
 それはボクだ。
 レンは思わず、腐ったバナナを見る目を向ける。
 ボクはシンがご執心なレンの事が気に食わず、しょっぱなからレンに当たりが強く今でもけして優しく接してはいないので、未だにレンはボクの事があまり好きじゃない。
 だから「別に」とそっぽを向いた。
 しかしボクは立ち去らない。
「本当か? もし気になるなら、私が説明してやろうと思っていたんだが……」
「え?」
 とレンがいったんはそらした視線をボクに向ける。
 ボクは不機嫌そうに突っ立って「やっぱ気になるんじゃないか」とため息を付いた。

+++

 時は少し遡り。
 レンがイツとサチの関係について、御影家の人々に聞きまわった後。
 イツ、フタ、ボクの三人はひっそりと会っていた。

「イツ様、フタ様。レンはイツ様とサチの関係が気になる様ですよ」
「うん。そうだね」
 フタがアハハと苦笑いで答える。
「普通のEVEならこんな行動には出ないんだがな……」
 イツも困ったという様子で肩を落とした。
「仕方がないでしょう。あれは私達と変わらないんですから」
 そうため息を付いてからボクは口を開く。
「と言う事なので、私から説明する事にしました」
 突然のボクの決定にフタは驚き、イツは慌ててオロオロし出す。
「いや、ちょっと待ってほしい……」
「何を言ってるんですか。一応アイツは御影家の一員です。知らないと不都合が出る事もあるでしょう」
 咎めるような視線をイツに送りボクは踵を返す。
「サチには私から説明しておきます」
「えっ……」
 イツはボクに手を伸ばした状態で固まり、フタは
「ハハハ……。ボクって従順な執事っぽい立ち位置に見えるけど、全然違うよねぇ」
 と飽きれて言っていた。

 ボクはイツ達と別れ、今度はサチに会っていた。
「サチ、話がある」
「……何ですか?」
 そう言いつつも、なんだかボクの重苦しい雰囲気にサチは何となく内容を察した。
「レンにサチやイツ様の事を話そうと思う。というか、話す」
 その言葉にやっぱりと思いながら、サチは頷いた。
「お願いします。サチもレンちゃんに言わないままは、なんだか嫌だったので……」
「……。全部こっちで決めて悪いな」
「いえ、サチからはまだ……説明できそうにないですし。いつも気遣ってくれてありがとうです」
 サチはそう言ってペコリと頭を下げた。

+++

 こうしてボクは今、レンの前に立っているワケだが。
「どうする? 知りたくないなら無かった事にするが」
「んー……」
 レンは少し迷った。
 それは単純にボクから話を聞くのは癪に障る。と言うのもあるが、あのボクが自分に説明すると言って来た事で、実はこれから聞く話がとんでもなく重い物なのでは?
 という予感を強く感じてしまったのだ。
 が。
「聞く」
 聞かないのもよくない気もしたので、そう返事を返した。
 それにボクは「分かった」と言うと、「場所を変えるぞ」と御影荘の人があまり来ない裏庭の奥の方に向かった。

 


 

補足

 サチやアイはボクの事を嫌ってないし、むしろ親近感を覚えている。
 彼女らのボクの評価は
『自分の事を妹・姉だと思っている』
 だ。

 

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