注意
- この物語の元となったのはとある版権物
- 後に矛盾が生まれる可能性アリ
- 色々あってこの物語はいらない子となった為、突然終了の予感
- 私は漫画や小説などを作るのは得意じゃない
前回
「おめでとう~、おめでとう~、ハッピーバースデー・レン~!」*1
誕生日の歌を歌ってもらい、レンはロウソクの火を吹き消した。
今日は8月7日。
レンの誕生日だ。
ダイニングは飾りつけされ、夕食はいつもより豪勢で、中央に置かれたケーキはレンのリクエストで3段重ねになっている。
明かりが付けられると早速ケーキを切り分け、レン達は食事を始めた。
「プレゼントは食事の後だよね?」
「そうだな」
ワクワクした様子のレンにアイは笑顔で答え。
「楽しみだね」
フタのその言葉にレンは「うん」と頷き、エビピラフをほお張る。
そんな中、突然サチのスマホが震えた。
サチがスマホを見ると、メッセージが届いている。
「お父さんとお母さんが、そろそろ帰るって言ってます」
顔を上げたサチが突然の事に、キョトンとしてそう言った時だ。
外から車の音がしたかと思えば、玄関の方からバタバタと足音がし
「ただ~いま~!」
女性が両手に沢山の袋を下げて、リビングに入って来た。
*
「そう、あなたがレンちゃんね~」
詩葉(うたは)と名乗るシン達の母は、お腹がすいたからとレンの隣に椅子を持って来て座り、ご馳走をほお張りながらレンにニコニコと笑顔を向けた。
ちなみに彼女はEVEではない。最後に生まれた人間の女性である。
「すまないねぇ、急に帰って来ちゃって」
武蔵と名乗るシン達の父も、同じくお腹がすいていたのであろう。ご馳走を食べている。
「まったくだ。帰る時くらいもっと前に連絡をしろ」
イツはそう言って静かに食事を続けた。
「いやぁね~、シンからメッセージが来てもうすぐレンちゃんの誕生日だっていうから、慌てて帰って来たのよ~。
あ、プレゼントもお土産とは別に用意してるからね、後で渡すわ」
「もうすぐお祭りもあるし、ボクの誕生日もあるからなぁ」
そう言って武蔵はアハハと笑う。
「というワケで、明日からしばらく滞在するからよろしく、頼むわよ~?」
詩葉はそう言うと「ケーキ、おいしいわね~」と早速デザートを食べ始めている。
そして嵐のようにやって来た父と母は、早々に食事を取り終わりレンにお土産とプレゼントを渡すと、疲れたからとさっさと風呂に入り寝てしまった。
詩葉と武蔵がリビングを出てから、しばらくたった後。
食事も終わり、とうとう皆からプレゼントを受け取り開封する時間となった時。
「父様と母様のプレゼントは何だろうね?」
とシンが言ったのもあり、レンは先に詩葉と武蔵二人からのプレゼントを開けた。
「おー、凄い仕掛けのオルゴール!」
レンはプレゼントに驚きの声を上げる。
それは夜の町がモチーフの、めっちゃ高そうなオルゴールだ。
するとシンがモジモジと「この後に出すと恥ずかしいんだけど……」と言い、大き目のプレゼントを手渡した。
レンが開けると中身は、部屋の中に星や泳ぐ魚などが映し出されるライトだ。
「ありがとう。面白そう」
そう言ってレンはシンからのプレゼントを喜ぶ。
続いて残りの皆からもプレゼントを貰っていった。
アイからは愛嬌のある顔をした赤い体に黒いマントのブードゥー人形*2とツギハギだらけのクマのぬいぐるみのキャラクターのスマホカバー、サチからはマロウブルーや工芸茶など珍しいお茶のセット、フタからは『ドロッセルマイヤーさんのさんぽ神』*3、イツからはカラフルでポップな動物がデザインされたクッキー缶。
レンは全てのプレゼントに喜んだ。
そして。
「私が最後になったな」
ボクはポケットから無造作に何かを取り出すと、レンに手渡した。
「お? くれるんだ。……何これ? なんか入ってる……」
「おゆまるで作ったスーパーボールだ。お湯に入れると形を変えられるぞ」
ボクからのプレゼントの、いかにもおゆまる(3色セット)をまとめて中に何かを入れて丸められた物を見て
『やっぱ、私の事嫌いなのかな?』
とレンは思う。
サチ達の話を彼から聞いてから、少しだけ仲良くなった気がしたのだが。
「お、中身は小さい埴輪フィギュアだな」
アイが笑いながら答えた。
「ほんとだ」
レンがスーパーボールの中をじっくりと見て答え。
「ボクさんはいつもこんな感じですよ。シンさんには豪勢ですけど……」
サチがそっと耳打ちをする。
「ふ~ん」
そう言ってレンはスーパーボールを手の平で転がした。
*
次の日の朝食。
「色々な所に旅行に行ってるって聞いてたけど」
「行ってたわよ~。そうだ、これ食べ終わったら写真沢山見せてあげる」
「んー。でもこれからお仕事だから」
「いいわよ別に! 今日くらいお休みしちゃいなさい!」
レンと詩葉のそんな話を聞いて、あんまりそういう事を言うなと言おうか言うまいかイツは考え始め。
「いいんじゃない? レンちゃんは世間知らずな所があるし、今日くらい休んで色々学んでもらっても」
と飲み物を取りに席を立ったフタがそっと耳打ちし。
レンは仕事を休んで詩葉と過ごす事となったのだ。
「そうだ! 昔のアルバムを見せてあげる」
詩葉はレンに旅行先の写真をあらかた見せ終わった後、手を叩いてそういうや否やバタバタとデータが入った記録媒体を取りに行った。
それと入れ違いに庭の手入れをしていた武蔵が家の中に入って来て、麦茶をコップに注ぐとレンの近くに座る。
武蔵は庭いじりが好きだから、特に頼まれなくても暑い中やっていたのだ。
「騒がしくて、嫌じゃないかい?」
「イヤじゃないよ。楽しい」
「そりゃよかった」
そう笑った後に。
「所で、この子は随分と賢いね」
と、武蔵に付いて庭から家の中に入って来て、今はテーブルの上にちょこんと座るホーを見やった。
「そう。ホーは凄く賢くて、人懐っこい」
ホーは気まずげにしている。
しばらくして、武蔵は小休憩が終わると麦茶を飲み干しまた庭いじりをする為に外に向かったが、ホーは今度は外に出ずにテーブルに座ったまま寛いだ。
そこに「お待たせ~」と詩葉が戻って来て、レンとついでにホーはシン達が幼かった頃の写真を見せてもらう事になった。
次回