Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

EVE#031『アイとフタ①』

注意

  • この物語の元となったのはとある版権物
  • 後に矛盾が生まれる可能性アリ
  • 色々あってこの物語はいらない子となった為、突然終了の予感
  • 私は漫画や小説などを作るのは得意じゃない
  • これは創作物だ。実在のものとは一切関係ない

 

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 この家に来て初めてオムライスを作ってみたけど、上手くいかない。
「ごめんな……」
 穴が空いた卵が乗せられた不格好なオムライスをおずおずとフタに差し出し、アタシは謝る。
「知識はあるんだけど、上手くいかなくて……」
 するとフタはアタシの頭を撫でて、笑顔を向けてこう言ってくれたんだ。
「あるのは知識だけだからでしょ。練習すればすぐに上手に作れるようになるよ」
 それから、アタシはフタと一緒に沢山料理をした。

 これは、アタシがこの家に来たばかりの頃の記憶だ。

 朝。
 ボケーとしていたアイはベッドの上で懐かしい記憶に思いをはせ。
 身支度を始めた。

「ねー、あの人怪しい。警察に連絡する?」
 御影荘出入口にて。
 戸からこちらを見つめる男に視線をやり、レンは隣のアイにそう言う。
「う~ん、何か事情があるかもしれないからな……。アタシが話を聞いてくるよ」
「私も行く」
 何か変な動きがあったら、大きな声でボクを呼ぼう。そう思いながらレンは付いて行くと。
 不審な男性はアイから「あの、お客様? 何か用ですか?」と声を掛けられ、あからさまにキョドった。
 そしてしばらくオロオロした不審者は、大きく深呼吸をし。
「アイさんの事が好きです! 付き合ってください……!!!」
 と、告白をしたのだ。

 

 話を聞いてみれば、一目惚れだそうだ。
「アイのどこが好きなの?」
 レンは単純に気になったからそう聞いてみた。すると、男性は目を輝かせ
「あの素晴らしいバストですね!」
 と語り始め、レンとアイは引いた。
 そしてレンは腐った果物を見る様な顔になり
「キモ……」
 と言いかけた所でアイに口をふさがれる。
 そこに
「あれ、どうしたの? 何かあったのかな?」
 と、フタがニコニコやって来た。
 玄関が何か騒がしいと思って様子を見に来たのだ。
「あ、フタ。この人がさ……」
 アイはフタに事情を説明する。するとフタは何とも複雑な顔をした後。
「アイの好きにしたらいいよ」
 と、アッサリ気味に言って去ってしまった。
 むしろレンが「え?」と唖然とする。
 アイがフタの恋人としてやって来たEVEという事情は聞いているからだ。
 そしてアイは、立ち去るフタの背中を悲しげな顔で見つめ。
 しばらくすると男に向き直り「アタシ、好きな人がいるから。ごめんな」と、困った笑顔を向けたのだった。
 レンはトボトボ帰っていく男の背中を見送った後、再びアイの顔をジッと見つめた。

「フタってさ、なんでアイの事避けるんだろう」
 シンと一緒にタオルを畳んでいる時。レンはアイが告白をされた時の話をした後、そう口にした。
「アイはフタの恋人としてこの家に来たんだよね?」
「そうだね」
「なのになんで……」
 レンはムスっと怒った顔をしていて、シンはそれを見て『レンちゃんはアイちゃんの事を想って怒ってるんだろうなぁ~』などと思っていた。
「昔はね、すごくラブラブだったんだよ」
「ほぉう……」
 詩葉から少し聞いてはいたが、やはりイチャイチャしていたのかとレンは思う。
「でもね、何だか段々フタ兄様がアイちゃんを避け始めてさ」
「アイはフタが好きって雰囲気出してるのにね」
「ね~」
 そう言ってお互い顔を見合わせる。
「なんかあったのかな?」
「う~ん。僕はよく分からないや。でも、フタ兄様は何か思う所があるのかもね」
「思う所……」

「レンちゃん、何かな?」
 フタが困った顔で、壁に身をひそめるレンに話しかけた。
「……気が付いてたの?」
「うん」
 レンは壁から顔を出してフタに近寄った。そして「そっか」と言って、ジーとフタを見つめる。
「えっと……?」
 さすがにフタもたじろぐ。
「……フタってさ、アイの事嫌いなの?」
 ようやっと口を開いたレンのストレートな言葉に、フタは視線を外した。
「そんな事は……ないけど」
 そんなフタの顔を、レンは因縁を付けるように覗き込んで来る。
「ホントにぃ?」
「ほ、本当だよ!」
 レンの視線から逃れる様にフタは動きながら返事をした。
「じゃあ、なんで泣かす様な事いうの? 嫌いじゃなくても好きでもないから?」
「え?」
 アイを泣かしたっけ? と、泣かした覚えなどないフタは記憶を色々と思い返す。
 しかし、そんな記憶はない。というか、EVEはチップの所業であまり泣かない。*1
 もちろんアイもそうである。
 ただその代わりにレンがそう言う心当たりを思い出し、フタは顔を暗くさせた。
「アイのおっぱいが好きで告白してきた男が来た時……」
「はぁ?! アイツそんな理由で好きとか言ってたの?!」
 どこが好きとかの話は初耳なフタがあからさまにキレる。
「うん」
 そう頷いて、レンはしばしフタを見つめ思案してから続きを話した。
「アイ、多分……いや、絶対泣いてた。
 チップがあるから涙だって流れなかったけど、フタが好きにすればいいって言った時、泣いてたよ」
 そして「どうしてフタはアイを避けるの?」と不満をぶつける。
 フタはしばし考えて……。
「夜、夕食後。僕の部屋に来てくれる?」
「お? いいけど」
 レンは何やら秘密の話かな? と思いながらその時間までいつも通り過ごした。

 


 

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*1:自分の所有するEVEの泣く姿が見たいなどあれば、その限りではないと思うわ