注意
- この物語の元となったのはとある版権物
- 後に矛盾が生まれる可能性アリ
- 色々あってこの物語はいらない子となった為、突然終了の予感
- 私は漫画や小説などを作るのは得意じゃない
- これは創作物だ。実在のものとは一切関係ない
前回
「格ゲー、できる?」
「できるけど……」
夜。
フタの部屋に一人やって来たレンは、フタと隣り合って座り格ゲーをする事になった。
ゲームは昔に出た物の復刻版。
フタは尻尾の生えた黒と白の羽を持つ胸の大きな女性、レンは大きなメスを持ち紙袋を被ったキャラを選び、しばらく無言で遊んでいた。
が。
「アイはさ、僕が中学の頃に誕生日プレゼントで両親に買ってもらったEVEなんだ。
恋人がほしくてさ。
で、年齢は僕の1個上って決めて、家の事とか手伝ってほしかったからそういう知識は入れてもらったけど、外見とか性格は特に決めなかった。
なんかそういうの自分で決めるのが嫌で」
+++
『どうせ特殊な注文が無ければ可愛い子が来るし。性格って言っても人間に従順だしなぁ……』
基本EVEは外見が良い。
だから特にそういうのは指定しないで、どんな子が来るのかも会う日まで分からない状態でフタは自分のEVEを待っていた。
本当は、人間の女の子と恋愛してみたいとも思いながら。
そして誕生日当日。
玄関のチャイムが鳴ってフタが出ると、色黒で赤毛の、ギャルっぽい少女が立っていた。
「初めまして。今日からお世話になる、フタさんのEVEです!」
彼女は元気に挨拶をし、フタはそんな彼女に『アイ』と名付け、「敬語はいいよ」と笑顔を向けたのだった。
アイはフタ所有のEVEだ。
EVEは所有者に特に懐く。
だからアイは元からフタに大分懐いていた。
フタは最初、知識はあっても経験がなく、上手く物事が出来ないアイの為に一緒に料理や掃除などをやった。
他にもお出かけをしたり、対戦系のゲームもよくしていた。
イベント事があればアイと手を繋いでよく出かけた物だ。
そうやって色々経験していく内に、最初は料理がうまく作れなく掃除もたどたどしかったアイだが、すっかり上達した。
「フタ! ほら、出来た出来た!」
卵が綺麗に巻かれたオムライスが出来て、アイはフタに笑顔を向けた。
これはフタの大切な思い出の一つだ。
そんな風に過ごしていく中で、フタはアイに対し段々と恋愛感情が芽生えた。
元々恋人がほしいからとEVEを所有し始めた訳だが、恋愛感情が湧くかなんぞ分からないし、湧かなかった場合に備え家業を手伝えるように特訓してきた部分もあるワケだが……。
恋愛感情が目覚めたからにはとフタはアイにちゃんと告白をし、アイもOKしてくれてちゃんと付き合うようになった。
こうして以前とあまり……まぁ、ちょっとだけ違う関係がスタートした。
最初は良かった。とても、楽しかった。
だが、段々とフタは不安になっていったのだ。
EVEは所有者に従順だ。だから基本は否定する事などない。
だから
『アイの方は自分の事をあまり好きじゃないけど、好きだって錯覚しているだけかも』
とか
『元の従順な性質で今の関係が出来上がっているんじゃ?』
とか
『この関係は、偽りかもしれない……』
と、不安を覚える様になり。
やがてアイにやりたい事を聞いてみたり
「もっと他の人と恋愛をしてみたら? 僕以外にだって良い人はいるよ」
などと突き放す様な事を言って距離を離してしまった。
更に彼はアイの事を束縛しているのでは?
と感じてしまい、罪悪感から触れる事を避けたり目を反らす事も多くなり……。
+++
「時々、兄さんとさっちゃんが羨ましくなるよ。さっちゃんは母さん所有だから、多少は素で接する事が出来るよなーって。
あんまり変わらないから意味ないけどさ」
コントローラーを操作しながらフタはそう言って、ため息をつく。
「6月にEVEのチップが無効化されたっていうニュースがあったでしょ?
あの時、さっちゃん達がいたから特に何も言わなかったけどさ、アイのチップが無効化されたらアイを自由にしてあげられるんじゃないかって、そう思ったんだ」
「そうだったんだ……」
そして、フタのキャラはレンのキャラにやられてしまった。
フタはコントローラーを床に置くと、肩を落とす。
「まぁ、自由にしたいとかそういった感情も僕のエゴだけどさ」
「ふ~ん……」
「所で……」
フタはレンの方を向いた。
「このゲーム、やってたよね?」
「うん」
レンは頷く。
「この家に来る前に居た所で、割と遊んでた」
ちなみに愛用していたキャラは、先ほど操作していたキャラやロボットのキャラである。
「そうなのかぁ……。レンちゃんはてっきり野山を駆け巡ってばかりいる女の子かと思ったよ」
「野山を駆け巡ってる事の方が多かったよ」
そう言ってからレンはフタをジッと見つめた。
「ねぇ、もしもの話なんだけど。
もし、アイのチップが無効化できるなら、する?」
フタはびっくりして目を丸くして……。
「そうだね。でも、それはアイに決めてほしいかな」
と困った様な顔をして答えたのだった。
次回