注意
- この物語の元となったのはとある版権物
- 後に矛盾が生まれる可能性アリ
- 色々あってこの物語はいらない子となった為、突然終了の予感
- 私は漫画や小説などを作るのは得意じゃない
- これは創作物だ。実在のものとは一切関係ない
前回
『もうすぐ、俺の誕生日だな』
そう思いながらボクがビルの屋上から花火を眺めていると。
「もうすぐボクの誕生日ね」
と、隣にいる毬華がまるで心を読んだ様に言う。
「そうだな」
「プレゼントあげる」
そう言ってポケットから取り出したのは、微妙に可愛くないキャラクターのぬいぐるみストラップである。
ボクは有難く受け取ると、それをまじまじと見つめて
「これ、この間毬華がやってたUFOキャッチャーで、狙っていた物の代わりに取れた物だよな?」
「そうね。私はいらないから」
毬華は特に悪びれた様子もなく花火を見つめ。
ボクはため息を付いてマスコットをスマホに付けた。
これは、夏祭り数日前の事である
「ケーキ、何がいい? 食事も何かリクエストある?」
「なら、シン様が食べたい物でお願いします」
ボクのその返事に、詩葉は怒った様な顔を向ける。
「私は、ボクが食べたい物を聞きたいんだけど?」
しかしボクは涼しい顔だ。
「私に好きも嫌いもアレルギーもありません。なら、シン様が食べたい物にしてくれた方が都合がいいので。
そもそも、去年も同じ事を言ったかと思いますが?」
「去年と同じ返事を変えすけど、もしかしたら別の返事が聞けるかもしれないでしょ?」
そう言って詩葉はため息を付くとシンの元に向かった。
*
「ボクって変わってるよね」
「そうですか?」
「うん」
「まぁ、シンの事が大好きだよなぁ~」
「ね。女の人好きなのかな?」
夜。アイの部屋でEVE達とレンがそんな会話をしていた。
「そういえば、基本敬語で喋ってるのに私達にはタメ口だよね」
「そうですね。でもサチは親近感があって嬉しいです」
「そうなの?」
「はい!」
「まぁ、対等に見ている感はあるよな」
アイもそう答える。
そしてレンは、ここのEVE達はボクに対し愛着があるんだなと感じつつ、スマホの画面に目を落した。
ボクの誕生日プレゼントを考えていたのだ。
「スーパーボールくらいの物……」
レンの誕生日前。
御影家の面々がボクのプレゼント選びを始めた時。レンも渡すかと聞かれたのだが、彼女はボクから自分の誕生日にプレゼントを貰ったら考えようと見送っていた。
結果。ボクがプレゼントを渡してきたので、こうして今選んでいるワケだが。
レンとしては、自分への誕生日プレゼント以上の物をプレゼントするのは癪に障るのでそれと同価値くらいの物がいい。
更に。
「プレゼントをくれるなら、食べ物か消耗品でな」
ボクは、シン以外にはいつもそう言っている。
だからレンはリクエストの中からよさげな物を探していた。
しばらくして。
ある程度候補を絞れたレンは「おやすみ~」と、アイの部屋を後にした。
次の日の昼前。
「そういえば、シンはボクのプレゼント何にしたの?」
仕事で一緒になったシンにレンはそう聞いた。
「大きな水槽の形の寒天にしたよ。僕がプレゼントして皆で食べよって言えば全員に分けてくれるだろうし」
「食べ物なんだ?」
レンは不思議そうにそう返す。
シンはいつも食べ物&消耗品以外が許されてると聞いていた為だ。
「うん……。ボクって僕がプレゼントしている物、押し入れに貯め込んでるみたいなんだけど……、古い物も消耗品も、捨てずに取っておくみたいで。
僕が捨てちゃっていいよって言っても、取っておくし。
ミニマリストなのに」
そう言ってシンは肩を落とす。
「数年前から実用性がある物を送っていたんだけどね、今年は食べ物にしようかなって」
「おー、確かにちょっと重いかもね」
シンは困った顔で笑うのだった。
そして、夏祭り最終日の次の日
「明日はお主の誕生日か」
冷房が効いた御影家のリビングにあるローテーブルで毛繕いしていたホーは、やって来たボクにそう話し掛けた。
ボクは「まあな」と答えると、ソファーに座ってスマホをいじる。
ちなみに近くに武蔵と詩葉はいないので、ホーは心置きなく喋っている。
「ワシも何かプレゼントをやろうか?」
「……どっちでもいい」
ホーはしばらく、ふ~んと言いたげな顔で毛繕いを続け。
「所で何だ? このマスコットは。不細工なキャラだな」
スマホに付けられたあまり可愛くないマスコットに、ホーはストレートに突っ込み。
「そうだな」
ボクも否定せずに受け入れた。
「ワシの方が可愛いな」
「自意識過剰と言いたい所だが、まったくだな」
まぁ、ホーの外見はとても愛くるしい鳥なので、ボクも(ホーが取り分け危険でもなさそうと分かったのもあり)否定はしなかった。
「話は変わるが……」
ホーは毛繕いをやめて顔をボクに向けた。
「お主、『モノノ怪憑き』だよな?」
ボクが普通の人間ではない事は、出会った時から分かっていた。
「どうだろうな」
ボクは特に動じずスマホを操作し続ける。
しばらくするとボクが立ち去り、入れ替わりでシンがやって来た。
「そう言えば、お主も何か奇妙な気配を感じるな」
「えへへ~、ホーには分かっちゃうか」
シンの呑気な返事にホーは呆れる。
「一応聞いておくが、レンに危害が及ぶような物ではないよな?」
「う~ん……」
シンが困るので「危害が及ぶのか?!」とホーが慌てた。
「危害って言うか、物理的な危害はないよ。
でも……。まぁ、多分大丈夫!」
ホーは本当に大丈夫なのかと、不安げに目を瞑ったのだった。
*
8月15日。ボクの誕生日当日。
テーブルにはご馳走が並べられ、ケーキとしてシンからのプレゼントのデカデカとした水槽寒天が中央に置かれ、その隣にはフローティングフラワーが置かれていた。
ちなみにこのフローティングフラワーは、ホーからのプレゼントである。
何かを察した武蔵がホーを手伝い、ホーが選んだ花を浮かべて作ったのだ。
「おー、デカイ」
席に着いたレンはテーブルの真ん中に置かれた水槽寒天に感嘆の声を漏らす。
「寒天だけじゃコッテリ感がないから、ハーゲンダッツのアイスも用意したわよ。食後に出すからね」
「おー、豪華」
そんなやり取りの中、フタが記念にと写真を撮り。そして撮影が終わった頃、ボクは「切るぞ」と寒天をナイフで切り分け始める。
「……。なんかシンのだけ、色々入ってる」
レンは取り分けられた寒天を見てそう呟く。
シンのだけ魚や海藻を模した練りきりが多く入っていた。
「シン様からのプレゼントなんだから当然だろう」
ボクが静かに答え、食事が始まる。
ブロッコリーやミニトマトなどで飾りつけされた卵入りのポテトサラダ*1、カボチャの冷製スープ、ミートボール入りシーフードパスタを食べ終わり、最後にアイスと寒天を食べ始めた頃。
「僕の少し食べる?」
シンが寒天の魚の部分をスプーンですくって、レンに差し出した。レンが羨ましがっていたからだ。
「食べる」
レンはそう言うとパクリとシンから差し出された状態で食べ、シンはエヘエヘと喜び、詩葉は「仲がいいわね~」と言い、ボクは呆然とそれを見ていた。
ちなみに。その後始まったプレゼント開封タイムは。
「はい」
レンはそう言って剥き出しのティッシュペーパー(鼻セレブ)の箱を差し出し。
「鼻が痛くならない、すごく使いごごちがいいティッシュだよ」
と、謎に得意げに説明し。
「知ってる」と言いながらボクは受け取った。
*
次の日。
「それじゃぁ、また御影荘をよろしくね」
荷物を床にまとめ家の中で家族と共にタクシーを待つ詩葉が、イツにそう告げる。
彼女らは、レンに会い、夏祭りを楽しみ、ボクの誕生日を祝う為に少しだけ帰って来ていたので、今日から再び旅行を再開するのだ。
しばらくするとタクシーがやって来て、詩葉と武蔵が荷物を持ち玄関を出ようとした時だった。
あっ! と詩葉が声を上げる。
「レンちゃんに渡す物があったんだった!」
詩葉は慌てて荷物をその場に置き、バタバタと自室に向かい。
戻って来た彼女は、息を切らして手にした紙の束をレンに差し出す。
「はいこれ。レンちゃんのそっくりさんが載ってる雑誌のコピー。
科学雑誌なんだけど、私が昔見た物なの。興味があったら読んでみて」
「うん」
そう言ってレンは貰った紙を見つめつつ。
「行ってきま~す」
「行ってきます」
と玄関を出る二人に皆と共に行ってらっしゃいの声をかけ見送った。
*
レンは詩葉からもらった雑誌のコピーをじっと見ている。
そこには生物や遺伝子の研究をしている研究者数名の写真が載っていた。
レンはその中の、灰色掛った茶色の髪の背の高い男と銀髪の女性の写真を見つめている。
「ジョージ・アーバン、涼森小雪(すずもり さゆき)……」
レンはしばらくすると、スマホでこの雑誌を調べ。
まだ販売していると知ると購入した。
アイちゃんの部屋はギャルっぽい部屋なのだが、私はギャル部屋の描写が出来ない!
が、多分『その着せ替え人形は恋をする』の海夢ちゃんの部屋から、ヲタ要素を取り除いた感じだと思うわ。
次回
EVE一覧
*1:クリスマスのモミの木みたいになってるヤツ