Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

EVE#020『学校』

注意
  • この物語の元となったのはとある版権物
  • 後に矛盾が生まれる可能性アリ
  • 色々あってこの物語はいらない子となった為、突然終了の予感
  • 私は漫画や小説などを作るのは得意じゃない
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 春休みが明け、サチが学校に行く様になり……。
「行ってきます」
「いってら~」
 レンは学校に向かう制服姿のサチを目で追う。少し物欲しげに。
「レンちゃん、もしかして学校気になる?」
「うん」
 そう返事をしながら『ジロジロ見すぎたかな? それともエスパー』とレンはシンを見つめる。
「じゃぁ、通ってみる?」
 シンがホワホワそう言い、レンは「え?」とびっくりした後しばらく考え。
 首を横に振った。
「そこまでじゃない。ただ……」
「ただ?」
「制服とか学校の中が気になる」
「ふ~ん、そっか」
 シンはこの時、レンが本当は学校に通ってみたい気持ちも多少はあって、でも自分が一般的なEVEとは違うからその事が気になって通いたいとまでは言わなかったのかな?
 などと思いながらとある計画を企て。
 夕食後。
「見て見て~。これ、アイちゃんが高校に通ってた時の制服だよ~。さっちゃんと同じね」
 そう言ってシンは制服をレンに差し出す。
「レンちゃんにあげるって。サイズはちょっと違うかもしれないけど……」
「おー、ジャパニーズ・セイフク!」
 レンは喜び早速部屋に持ち込み着てみる。
 が……。
「これ、上着がちょっとゆるい」
 着かえて出てきたレンは外に待機してたシンにそう報告し。
『アイちゃんは胸が大きいからなぁ……』
 などとシンに思われていた。

 

「これ、学校で教わる事だよ~」
 制服を着てみた後。レンはそのままシンに連れられサチの部屋に行き、教科書を見せてもらう。
 ちなみにこの時代は紙の本の代わりにタブレットが活躍中だ。
「サチのですが、宿題も終わったのでどうぞ使ってください」
 そう言って手渡されたタブレットとペンで、早速レンは問題を解いていく。
「できた」
「早いですね」
「どれどれ~」
 サチとシンが覗き込むと……。
「満点です!」
「レンちゃん、すご~い!」
 そう言いながらシンは『勉強は教わってたのかな?』と思う。
 サチの方は「じゃぁ、これはどうですか? ちょっと難しい問題です」と興味津々でレンに色々な問題を解かせていた。

 レンがアイの制服を着てから数日後。
「レンちゃん、今度の日曜日に学校の見学許可が下りたよ」
「おー」
 レンが驚きと喜びの声を上げる。
「僕とさっちゃんの三人で行こうね」
「分かった」
 ちなみに。
 ホーの入場許可は下りず、彼は一緒に行けない事となってしまっていた。
「ごめんね、ホー。ペットは駄目だって……」
「う、うむ。わしはペットではないが……仕方がないな」
 ホーは残念そうにしつつも
「レンや、楽しんで来るんだぞ」
 と声をかけ、れんは「うん」と頷いた。

「おー、ここが学校……」
 日曜日のお昼過ぎ、一行は学校にやって来た。
 休みの日だから校内に人気はほぼない。
 そしてレンは、ちゃっかり制服を着て来ている。
 更に自前の手足が生えた謎のリュックを背負っていた。
「ここが校庭です。サチは体育の時間に使ってます。
 休み時間はここで遊んだり、主に運動系の部活に入っている人が使っていますね」
「ふーん。広いね」
「グラウンドを走ったりもしますからね」
「私も走っていい?」
「良いですよ」
 こうしてレンは
「おー! 広い」
 と校庭をぐるっと一走りし、その後一行は校舎の中へと入って行った。

 まずは事務所に行って事務員に挨拶をした後、サチは1階から順番にレンを案内する。
 職員室、校長室、トイレ、体育館、保健室、図書館、各教室などなど案内し、理科室にやってきた頃。
「ねえ、サチー。ここにも『学校の怪談』とか『学園七不思議』とかある?」
 レンは人体模型を見ながらそう聞く。
「そうですねぇ……。小学校と中学校の時ほどじゃないですが、ありますよ。
 サチは怖いのが苦手なのであまり良くは知りませんが、屋上でいつも一人で佇んでる女生徒の幽霊の話は聞いた事があります」
 その話にレンは顔を輝かせ、シンとサチはレンがそういう話が好きなのだなと感じつつ、次の部屋に向かった。

 

「ではここを……。御影レンさん、やってみてください」
「はい」
 サチの教室にて、事務員の許可を得てサチとレンは学校ごっこをしていた。
 レンがサチのタブレットで答えを書くと黒板という名の大きなディスプレイにレンの書いた物が映し出され、正解か否かを即座に判断する。
「はい、正解です」
 シンはそんな光景を後ろで立ちながらニコニコ見て過ごし、あっという間に学校の見学は終わった。

 帰り道。
「サチって髪の毛長いね」
「はい。髪型が色々出来て楽しいので」
「そういえばレンちゃんは髪の毛伸ばさないの?」
 何気なくシンが聞いてみると、レンは「長いと邪魔だから」と答える。
「シンは髪の毛長めだよね。イツはもっと長いけど」
「あぁ、これはね、こうしておくと便利だからだよ」
「便利……」
 レンは、時々シンの束ねた髪がセンサーの様に動いているのを思い出す。
 こうして。何気なく始まった髪の長さを話をしている内に、今日の最後の目的地に辿り着いた。

「んー、おいしい」
 そう言ってレンは、アイス入りイチゴバナナチョコクレープをほお張る。
 その横でサチは桃とクリームチーズ、シンは抹茶クリームと小豆のクレープを食べていた。
 学校といえばで、シンは帰り道に買い食いが出来る様、店舗に好みのクレープを予約していたのだ。
「サチのもおいしそうだね」
「はい。一口食べますか?」
「うん」
 パクリとサチのクレープを食べて「おいひい」とモグモグしていたレンだが、ハッとなって「サチも一口食べていいよ」と自分の食べ掛けクレープを差し出す。
「あ、嫌ならいいけど」
「嫌じゃないですよ。自分のをあげているくらいですから。じゃあ」
 と、サチもパクっと一口食べる。
 それを見届けて「シンのも一口ちょうだい」と、油断しきったレンは返事も聞かずにシンのクレープを齧って「うまうま」と言い、その横でシンは顔をみるみる真っ赤に染めた。
「あ、ごめん。嫌だった?」
「嫌じゃない! 嫌じゃないよ!!!」
 シンは首を横に振りながら全力で否定して、そんな様子を見たサチは
『う……羨ましいです……。サチもイツさんと……』
 と、ほげーとするのだった。


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