Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

EVE#018『サチの誕生日』

注意
  • この物語の元となったのはとある版権物
  • 後に矛盾が生まれる可能性アリ
  • 色々あってこの物語はいらない子となった為、突然終了の予感
  • 私は漫画や小説などを作るのは得意じゃない
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 朝。
 サチは庭の掃き掃除をしていた。
 ふと視線を上げ、近くに佇む大きな桜の木に付いた膨らんだつぼみを見て微笑む。
『今日はサチの17歳の誕生日です。
 なにか、楽しい事が起きるといいな』
 そんな事を考えていると、レンがやって来た。
「サチー、お誕生日おめでとー」
 特に用事で通りかかった風でもないレンの姿に、わざわざお祝いの言葉を掛ける為だけに来たのだろうとサチは嬉しくなる。
「ありがとうございます!」
 サチがとびっきりの笑顔でそう答えると、レンの方はワクワクしながら「今夜はケーキが出るって」と言う。
『レンさんは早くケーキが食べたいんでしょうね……』とサチは思いながら「はい、楽しみです」と答えた。

 この日は御影荘定休日だが、やる事はまぁまぁある。
 ただ、各々早めに仕事を済ませてサチの誕生日を祝う準備を進めていた。
 こうして夕方。
 レンが部屋の飾りつけに食事の下ごしらえを手伝い終わった後。
「そういえば、ホーは食べられない物はある?」
 アイがキッチンで料理の仕上げをする中、レンと一緒にテーブルに食器を並べていたフタがテーブルに座るホーにそう聞く。
 ホーはこの家に来てから自分達と同じ食事を普通に食べていたのだが、こういうのはちゃんと把握しておいた方がいいと思ったのだ。
『一応、鳥っぽいしな』
 すると、ホーは偉そうな顔をする。
「人間が食す物も鳥が食す物も、ワシは食べられるぞ」
「じゃぁ、唐揚げとかも大丈夫だな」
 アイがちょうど揚げあがったばかりの唐揚げを持ってキッチンからやって来た。
 実はちょっと不安だったのだが、ホーの言葉をうのみにした彼女は笑顔だ。
 が。
「ひぃぃぃいいぃいいいいいい!!!!」
 ホーは恐怖に顔を引きつらせ悲鳴を上げ、後ろにひっくり返った。
「ホーっ?!」
「ほーおー様?!」
「ホーは昔、何度も唐揚げにされたから、唐揚げは怖いんだって。
 でもチキン南蛮とかは平気だよ」
 レンがそう説明すると、アイとフタはそろって『何度も唐揚げに……?』と脳裏をよぎるがそんな事は口にも出さず。
「あはは、じゃあ唐揚げは隠しておこうな」
 と、アイは唐揚げを持ってキッチンに引っ込んだ。
 そしてホーは、まるで何事もなかったかのように姿勢を正し毛繕いをする。
 やや気まずそうにしながら。

 夕食の時間。
 皆でサチを祝い、ご馳走とケーキを食べ、誕生日のプレゼントあげようとなった時。
「はい、これ」
 レンは用意しておいたプレゼントを渡す。
 ちなみにシンからサチの好きな色はピンクと聞いて、お店の人にその色でラッピングを頼んだ。
 だから今、レンの選んだプレゼントは綺麗な袋とリボンでカモフラージュされている。
「ありがとうございます!」
 そう言って早速サチはリボンを解く。
「好みとか分からなかったから、無難に食べ物にした」
 レンのその言葉を聞きながら、中の物を取り出すサチは出てきたゾンビスナックをまじまじと見つめ……。
『レンさんは、こういう好みなんですね』
 と思いつつ、お礼を言ったのだった。
 ちなみに最後にイツから
「どうだろうか……」
 と、淡いピンクの花がモチーフのキーホルダーをもらって、喜んで早速学校に持って行く鞄に付けていた。

 次の日。
 サチは春休みなので朝から御影荘を手伝っていた。
 そしてほげーと考え事をする。
『レンさんから誕生日プレゼントも貰いましたし……そろそろ「レンちゃん」と呼んでもいいのではないでしょうか?』
 と……。
 こうして彼女はしばらく『なれなれしいでしょうか? でもさん付けは固い気がします。友達なのに……』と考え。
「アイちゃん。サチ、レンさんの事をレンちゃんと呼びたいと思うんですけど、どう思いますか?」
 と、仕事の合間にアイに相談する始末。
 アイはそんなサチに「ちゃん付け、いいんじゃないか?」と苦笑いで答えた。

 そうこうしながら時はお昼。

 休憩に入ると、ちょうどレンの休憩時間も同じだったので一緒に食事を取る。
 今日のメニューは切り開いたロールパンに何種類かある具を自分で選んで挟んで作る、手作りサンドだ。
「そうだ、ちょっと待っててください!」
 食事中、サチはとある事を思い付いてダイニングを離れると、ゾンビスナックを持って帰って来た。
 そして軽めに深呼吸して勇気を出すと、こう言ったのだ。
「あの、これ一緒に食べませんか? レンしゃん!」
『あ……、噛んでしまいました! しかもこれだとちゃん付けで呼んだ事にも気が付かれません!!!』
 そう心の中で慌てるサチをよそに「ん、食べる」とレンは早速嬉しそうに袋を手に取り、開け、作ったハム卵サンドにゾンビスナックをデコる。
「サチも食べよ?」
 何故か落ち込んでいるサチに、サンドをサクサクほお張りながらレンは声を掛けた。

 というワケであるが、その日の夜。
「レンちゃん、一緒にお風呂に行きませんか?」
「行く」
 サチは無事レンをちゃん付けで呼べるようになって、胸をなでおろした。


補足

 ゾンビスナックは、実在する。
 色は凄いが味は美味しい。

 ただ、過去。
 青いゾンビスナックを食べた後の排泄物が青……。
 いや、この話はやめておこう……。

次回

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