- この物語はとある版権物の影響で制作されている
- 純粋な漫画でも小説でもない
- 矛盾が生まれる可能性アリ
- 私は小説や漫画等を描くのが得意ではない
【卯月 陰(うずき いん)】
黒狐系妖魔の女の子。17歳。
父と母に家を追い出され
いまは男の娘として暝玉に仕えている。
【暝玉(めいぎょく)】
訳あって実家から離れて旧図書館に暮らす男。
いつも本を読んでいる。
陰より少し年上。
【フレイ・アイシル】
暝玉の親友。人間。
仏頂面だが……?
暝玉より若干年上。
前回
まとめ
――暝玉から何系か聞かれた後――
「陰、お前に新たな任務を与える」
「はぁ、今回は何ですか?」
「今日から暝玉の食事介助をしてもらう」
「食事介助?!」
「陰、もう気が付いているかもしれないが、暝玉は偏食だ。
しかも食べられない物が多い」
偏食の男性というのは嫌われやすいだろう。
例えば一緒に外食をする時、あれは嫌い、これは食べられないでは入る店すら選ぶ事になる。
その上自分が嫌いな物は丁寧に避けて食べ、しかも避ける物が多いでは気持ちよく一緒に食べられないし、周囲の目もあり恥ずかしい思いをするのでは?
更に彼女が料理を作ってくれ一緒に食べる事になっても、彼女はまず作る料理に悩む事だろう。
まぁ普通に調理した後、彼氏の食べられない物を取り除けばいいのだが手間だ。
「という訳でだ、いざ暝玉に彼女が出来ても偏食が原因で振られてしまわない様、食べられる物は増やしておこうと思った次第だ。
それにアレルギーでもないのに暝玉の食事だけ分けて作るのは面倒だしな」
ちなみに畑も新鮮でおいしい野菜を暝玉に食べさせ、野菜に慣れさせる為の物である。
「そして食事介助に繋がるのだが……。
陰、お前は妖魔だと言っていたが変化はできるな?」
面接の時、フレイはしっかり獣人か妖魔か聞いていた。
それは選り好みはできないとはいえ、やはり獣人よりは妖魔の方が都合がいい為だ。
「はい、できますけど……。私、妖力が少なくて1時間程度しか変化できないんです……。
それに小さいサイズにしかなれませんし」
説明しよう!
陰の住む惑星には、獣の尻尾や耳を持った生物は大きく分けて獣人と妖魔の2種類いる。
どちらも見た目は変わらないが、獣人は体の形を変える事ができないのに対し、妖魔は『変化』と呼ばれる術で体の形を変える事が出来るのだ。
そしてその変化には、この惑星で妖力と呼ばれるMP的な物を使って行われる。*1
妖魔によっては数十メートルほどの巨大な体に変化する事もできるし、ケモノ度の低い妖魔であってもケモノ度の高い妖魔タイプに変化する事も可能なのだ!
しかし妖力の少ない陰はちんちくりんな獣化しかできず、しかも1時間程度で元に戻ってしまうのだ。
だがフレイは「問題ない。十分だ」と返した。
なのに陰はまだ困った顔をして
「でも、フレイさん。私、月に一度は……」
と、言いづらそうにモゴモゴした。
理由が「月経中はまともに変化できない」からだ。
女の妖魔は月経の時、妖力が下がる個体もいる。陰がそれだ。
なので元から妖力が低く小さい個体への変化しかできない陰は、月経中はほぼ妖力を使う事は出来ない。
が、理由にすぐ思い当たったフレイが補足する。
「変化しづらい時は変化させない。それでいいか?」
陰の顔がパッと明るくなり「それなら大丈夫です!」と、元気に返事を返した。
ケモノモードに入った陰は、ちょっとだけ恥ずかしそうに食事介助をしていた。
ちなみに今日の夕食はピーマンの入ったチャーハン、ナスの挟み揚げ、プチトマトという暝玉が嫌いな物が入った食事ばかりである。
『陰の完全獣化を思いのほか早く拝められたのはいいが、これは聞いてない!』
暝玉は心の中で叫んだ。
「これ、とってもおいしいんですけど育てるのが難しいプチトマトなんです!
さっき味見をしてみたら野菜っぽさも無いし甘くて美味しかったので、味わって食べてくださいね。
それに高いですし」
ちなみに畑で育てる予定である。
「そっ……それなら全部お前にやる!」
「それは駄目です! それに全部食べないとおやつのアイスは抜きだってフレイさんが……」
「何?!」
フレイを見ると、彼は無言でうなずいた。
「ち、ちなみに……そのアイスは普通のアイスだよな?」
「ああ、普通のラズベリーアイスだ」
「うぅ、頑張る……」
―― 一時間後 ――
次回
*1:ちなみに国によって呼び方は様々で、妖力ではなく魔力と呼ばれる事もある