Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

長閑な国の王とケモノ 第四十三話『璃琳と蘇月』

これは『著者:藤間麗 / 出版社:小学館』が権利を有する漫画『王の獣~掩蔽のアルカナ~』の非公式二次創作物です


◆注意する事ばかりで長くなった注意◆

 これは

  • 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
  • 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
  • 女体化
  • 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
  • 滲み出る変態性

 を含みます。
 そして私は

  • 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
  • あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
  • 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
  • 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在

 です。
 それでも見たい人は続きへGO! GO!


第四十三話『璃琳と蘇月』

 天耀お兄様の従獣として、白い狐の女の子がやって来た。
 あたしと同い年の女の子。墨とは真逆の白い女の子。
 あたし、興味があるわ!
 だからあの子が従獣になってしばらくして、会いに行ったの。
 あの子は初め、まともに話もできなかった。
 けど、何度も会いに行って、何度も話し掛けて、蘇月はようやっと笑顔を見せてくれるようになったわ。
 そして、あたし達はお互い空いた時間に秘密の場所……人気がない宮廷の庭で待ち合わせをして、二人でコッソリ遊んだのよ。
 もちろん、別れる時には次に会う約束をしてね。
 それにね、あたしが「様付は嫌!」って言ったら「璃琳ちゃん」って呼んでくれたの!
 とても新鮮だったわ!
 あたし、同い年の子との交流はもちろんあったけど、とてもお堅い交流しかしてこなかったからこういうのに憧れていたの!
 でも、これはお母様はもちろんだけど、江凱お兄様にも墨にも秘密よ。
 だって、あたしはこの国の皇女。従獣とは言え亜人と友達になったらいけないもの……。
 だから、秘密にした。誰にも言わないって蘇月と指切りして約束もしたの。

 あたしは蘇月と沢山お話したわ。
 だから、どんな所に住んでいたとか、亡くなってしまった蘇月のお母様の事、妓楼にいるお姉様の藍月の事もよく聞いていた。
「私、璃琳ちゃんを藍ちゃんに合わせたいな」
「そうね。あたしも会ってみたいわ!
 そうだ、年の終わり*3の長期休みにあたし何とかして妓楼の近くまで行くから、どこかで三人落ち合いましょう!」
 蘇月はこの作戦に喜んで頷いてくれた。

 蘇月から、家を出る時に藍月と喧嘩してしまった話を聞いた。
 それから蘇月は、いつも持ち歩いているお母様の形見も見せてくれた。
 蘇月のお母様の好きな人から贈られた簪の一部だそうだけど……。
 見た瞬間、とても高い物だと分かったわ。
「これ、あまり他人に見せない方がいいわよ。すごく高価な物だもの!」
 蘇月はおっとりしているし、頼りなくて見ていて不安になる事もあるから、そう忠告しておいてあげた。

 あたしと蘇月の誕生日が近づいてきた頃。
「あのね、私が好きな人はね」
 蘇月は中々教えてくれなかった好きな人の名前を、他の人には内緒だよって、あたしに耳打ちで教えてくれた。
「太博様だよ」

「……変なの」
 思わずあたしの口から冷たい言葉が漏れ出した。
亜人が人間に恋だなんて、おかしいわよ。すごく変!」
 酷い事を言ってるって、分かってた。でも、あたしは黙らずに蘇月に棘のある言葉をぶつけてしまった。
 なのに蘇月は「そうだよね、変だよね」って、あたしを責める事もしないで笑顔を向けて……。
 あたし、この場に居たくなくて逃げるように蘇月の元から去った。
 次に会う約束もしないで……。

 それから。あたしは自分の誕生日の宴まで、蘇月に会わないでいた。

 あたしの誕生日がやって来た。
 だからお父様が夕方、宴を開いてくれた。
 会場は後宮の外の大広間。やって来たのは家族や従獣の他に、宮廷で働く人や国内の知り合いなんかもいたわ。
 麗雲お兄さまと謡尾が演奏もしてくれた。
 その時、あたしは次の日に天耀お兄様に空いた時間があるって知っていたから、一緒に買い物がしたいって誘ったの。
 お誕生日の贈り物はもらっていたけど、それとは別にお買い物がしたくて。
 でも……。先に蘇月と約束したからって断られちゃった。
 もうすぐ蘇月の誕生日だから一緒に買い物をして、何か買ってあげるんだって。
 けど私も、目的は一緒だった。
 蘇月に酷い事を言って、今日まで何にも言わないで来ちゃった事のお詫びがしたくて……。
 多分、あたしとの買い物でも天耀お兄様の性格なら蘇月も一緒に連れて行くだろうって思ってたし、どうせだったら蘇月が欲しい物を買ってあげたいじゃない?
 だからコッソリ蘇月に欲しいものを聞いて、買ってあげようとしていたの……。
 もちろん、この間の事も謝るわよ!
 だから「私も一緒に連れて行ってください」ってねだった。
 けど、蘇月は嫌そうな顔をして……。天耀お兄様はそんな蘇月の気持ちを考えてかどうか、「また今度ね」って言った。

 一緒に連れて行ってくれてもいいじゃない! 嫌そうな顔しなくたって……。
 あたしの中で嫌な気持ちがグルグルする。
 それで宴が終わってもむしゃくしゃして気が晴れなかったから、天耀お兄様と蘇月が会場から帰る時、茂みから蘇月のスカートに向かって小石を投げて、蘇月を呼び出して……。
 喧嘩してしまったの。

 しかもいつもは口答えなんてしない蘇月が、その時は「私が先に約束したの! 璃琳ちゃんはわがままだよ!」と言って来た。
「蘇月なんて大っ嫌い!」
 あたし、そう言って自分の部屋に戻った。
 途中で江凱お兄様に会って話し掛けられたけど、無視してきた。
 だって……。
 ベッドに入ると、こらえてた涙が流れた。

 あたしはしばらく、ぬいぐるみを抱えて泣いていた。
 でも段々と、確かにあたしが我儘だって思ったの。
 だって、先に天耀お兄様と約束をしていたのは蘇月だし。
 それにこの間は嫌な事言っちゃったし、あたしが一緒だと気まずいわよね……。
 だから謝ろうと思って、夜にコッソリ後宮を抜け出した。
 門番には「江凱お兄様と一緒に遊びたいの」って訴えて、途中まで馬車に乗って江凱お兄様の宮に歩いて行くふりをして、天耀お兄様の宮の蘇月の部屋まで行ったの。
 でも、蘇月はいなかった。
 蘇月の部屋は窓が開いていて荷物も少なくなっているような気がしたけど、あたしはその時変だって思わなくて、しばらく蘇月の部屋で待ってたのよ。
 でも蘇月が全然来ないから、あたし渋々後宮に帰った。

 次の日の朝。
 何だか大人達が騒がしくて、理由を聞いたら蘇月が居なくなったって言われた。

 もしかして、あたしが意地悪をしたから?
 あたしがあんな事を言ったから、蘇月は嫌になって宮廷を出て行っちゃったの?
 蘇月が居なくなったのは、全部あたしのせい……?

 そう思いながらしばらく様子を見ていたけど、蘇月は全然帰ってこないし見つかる様子もない。
 だからあたし、女官を連れて外に遊びに行くふりをして藍月に会いに行ったの。
 もしかしたら蘇月は藍月の所に帰っているかもって思ったから。
 太博が数日前に確認した時はいなかったみたいだけど……。今ならいるかもしれないわ!
 もちろん、ちょっといい所の出のお嬢さんが息抜きの為下町にお忍びで遊びに来ましたっていう格好で向かったわよ?
 でも、妓楼に行ったら藍月はいないって。
「蘇月という子はいる?」
 って聞いても、悲し気に首を振るだけ。
 それに何だが慌ただしくて……。
 そしてあたしは長居するのも変だって思って、すぐに帰った。

 馬車が宮廷の門まで来た時、蘇月と似ている亜人の女の子が門番に突き飛ばされてコロコロ転がっているのを見た。
 右耳の下には蘇月と同じ赤いリボン。
 あの子きっと、藍月だわ!
 でも、あたしは話しかけられない。
 だって、あたしはこの国の皇女。亜人とは一線を引かないと民への示しが付かないもの。
 それになれなれしく話し掛けて、蘇月との関係とか勘繰られたくないし……。
 だから「どうかしたの?」って門番に話を聞いた後、「ホコリをたてないでちょうだいね」って言って宮廷に入った。
 そうすれば、門番はこれ以上藍月を痛めつけないと思ったから。

 そして。
 あたしは帰った後、天耀お兄様の元に届いた蘇月からの手紙の事を知った。

 でもあたしはそれからもコソコソ調べた。
 結果。
 あの日、門番に突き飛ばされて転がっていた亜人の女の子はやっぱり藍月。
 で、あの時あそこにいたのは天耀お兄様の所に届いていた手紙と同じ内容の物が藍月の元にも届いていたから。
 それで、その手紙を見た藍月はおかしいってなって、蘇月は誘拐されたのかもって疑って宮廷内を探したかったみたい。

 それを知って、あたし何だか不安になった。
 だから事情をもっと詳しく聞こうって思ったし、あたしなら藍月をコッソリ宮廷に入れる事もできるから、変装セットを持って急いで藍月の元に向かった。
 いつもあたしに付いて来てくれる、余計な詮索をしない話の分かる女官と一緒にね!
 でも……藍月、いなかった。
 待ってるって言ったけど、妓楼の人は「いつ帰ってくるか分からないの」って悲しい顔をした。
 そして、藍月は蘇月からの手紙を読んでもらって妓楼を飛び出した後、行方が分からないって教えてくれた。

*◇*

 それから。
『蘇月は姉の藍月と共にどこかへ行ってしまった』
 という事で、この件は片付いた。
 しかし、璃琳は蘇月と藍月を探し続けた。
『会って、謝らなくちゃ』
 そう、後悔の念を抱き六年間、必死に探していた。
 けれどそれらしい情報は出て来る事はなく、代りに「以前も別人からそう聞かれた」と度々言われるのみであった。

 

第四十三話『璃琳と蘇月』終

 

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*1:なお、小説を賞に応募した事もあるが1次審査すら通過した事はなかったし、評価シートありの所では常に構成の評価が最低ランクだった

*2:試し読みや読者の感想等も36話くらいでよく見なくなり、大して分からない

*3:この世界では参の冬