Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

長閑な国の王とケモノ 第四十五話『六年前・参の夏終わり:墨』

これは『著者:藤間麗 / 出版社:小学館』が権利を有する漫画『王の獣~掩蔽のアルカナ~』の非公式二次創作物です


◆注意する事ばかりで長くなった注意◆

 これは

  • 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
  • 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
  • 女体化
  • 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
  • 滲み出る変態性

 を含みます。
 そして私は

  • 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
  • あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
  • 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
  • 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在

 です。
 それでも見たい人は続きへGO! GO!


第四十五話『六年前・参の夏終わり:墨』

 璃琳様誕生日祭解散後、俺は蘇月の部屋がある天耀様の宮に向かっていた。
 というのも、璃琳様の一緒に買い物に連れて行ってほしいという可愛らしいお願いに対し、蘇月が嫌な顔をしたのを見たからだ。
 璃琳様は隠しているが、璃琳様が蘇月を友として扱っている事は知っている。
 しかし、だからと言って宴の席で公主様にあのような態度を取るのは、従獣としては良くない。
 だから蘇月を見つけて……従獣の先輩として注意をしようと考えていた。
 そう、別に理由はそれだけだ。
 璃琳様を邪険に扱った蘇月に対し、個人的な恨みを晴らしに行く訳ではない。
 そう言い訳して道を進んでいると、途中で聞き慣れた声が茂みからして立ち止まる。
 璃琳様の声だ。
 気配を悟られない様、茂みへ向かって声のする方を覗く。
 すると、ちょうど蘇月が璃琳様に
「私が先に約束したの! 璃琳ちゃんはわがままだよ!」
 と、暴言を吐いていた。
 璃琳様は「蘇月なんて大っ嫌い!」と言って駆け出してしまう。
 本来なら、璃琳様を追いかけて慰める所だが……。
 この日の俺はそれを見てイラっとし、だから蘇月に声を掛けて説教を始めた。

 少し威圧的な態度を取ってしまったが蘇月は俺の事が苦手な様だし、こうすれば素直に従うとも思った。
 なのに……。
「璃琳様はお前の友人ではない。お前は天耀様の従獣で、璃琳様は公主様だ。もっと身分を弁えた態度を取れ」
 そう言った時だ。
 普段は大人しく、オドオドしがちな蘇月が反論してきたのは。
「墨さんは江凱様の従獣ではなく、璃琳様の従獣みたいですね。
 それに何だか、それ以上の特別な感情を持っている様に見えますが?」
 その言葉に俺はたじろぎ、彼女は更にそんな俺を睨み付け続けた。
「従獣は皇帝や皇子の守護者であって皇女の守護者ではありませんし、ましてや家族にはなり得ません。
 従獣の何たるかを分かっていないのは、墨さんの方なんじゃないですか!」
 そう言い放たれて、俺の頭に血が上るのが分かる。
 そして、気が付いたら……アルカナが発動していた。
 俺から伸びた黒い影の様な腕は、小さな蘇月を力任せに薙ぎ払ってしまった。*3
 蘇月は壁に激しくぶつかり意識を失って……。
 慌てて近寄って様子を伺う。
 腕を骨折している様だ……。早く、医官に見せなくては。
 だが、医官に見せたら何があったか問いただされてしまう。
 そうしたら、俺のした事が江凱様達に知られてしまう。
 江凱様の案で訓練し、上手く扱えるようになったアルカナで、今度は人を傷付けてしまったと。
 しかも江凱様が大事にしている天耀様の従獣の、璃琳様の友人でもあるまだ幼い少女をここまで傷付けてしまったと……。
 駄目だ。これは言えない。
 この事実が知られたら、江凱様にも責任が行くかもしれない。
 それに……。
 俺は江凱様や璃琳様から失望されたくない。
 嫌われたくない。
 居場所を、失いたくない。
 だから、誰にも知られてはいけない。

――隠さないといけない――

 そう、思った時だ。
 何者かがこちらに来る気配がして、とっさに身を隠した。
 物陰から誰かと覗くと、それは皇帝陛下とその従獣・彊虎様だった。
 陛下が「蘇月!」と、悲鳴のような声で彼女の名を叫んで駆け寄るのが見える。

 あぁ、俺はもう終わりだな。

 そう思いながら俺はこの場を後にした。

 それから、俺は怯えて夜を過ごした。
 なのに朝。俺の耳に届いたのは、蘇月が行方不明だという知らせのみだった。

 更に数日後。今度は天耀様のもとに届いた蘇月からの手紙が証拠になり、蘇月は失踪だと決まった。

 蘇月が、失踪した?
 あの怪我で?
 そんな訳ないだろう。
 そう言えばあの時の皇帝陛下……。
 息子の従獣に対する態度とは違ったような……?

 俺はそう思ったが黙っていた。
 何故なら、不審な人物は国の頂点に立ち、民から慕われ、国に革命をもたらした憧れの存在として君臨する皇帝陛下だったからだ。
 それに……。
 陛下達は俺に何か言ってくる様子はない。普段通りだ。
 なら、事を荒立てる必要もない。
 だまっていれば、俺がした事を江凱様達に知られる事もないだろう……。

 

第四十五話『六年前・参の夏終わり:墨』終

 

 私が書く墨は、病んでいる。

 

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 1巻に大体4話入ってる。(1話分のページ数による)
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*1:なお、小説を賞に応募した事もあるが1次審査すら通過した事はなかったし、評価シートありの所では常に構成の評価が最低ランクだった

*2:試し読みや読者の感想等も36話くらいでよく見なくなり、大して分からない

*3:こちらの世界の墨の能力は『闇の手』で、体から黒い霧みたいな手が出て攻撃とかできる