Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

長閑な国の王とケモノ 番外編『墨』

これは『著者:藤間麗 / 出版社:小学館』が権利を有する漫画『王の獣~掩蔽のアルカナ~』の非公式二次創作物です


◆注意する事ばかりで長くなった注意◆

 これは

  • 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
  • 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
  • 女体化
  • 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
  • 滲み出る変態性

 を含みます。
 そして私は

  • 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
  • あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
  • 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
  • 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在

 です。
 それでも見たい人は続きへGO!GO!

番外編『墨』

 俺は元々、ここまで黒い色の毛じゃなかった。
 茶色掛った黒色の、髪と耳と尻尾をしていた。
 爪だって黒くない。
 そして、その頃は両親も俺を可愛がってくれた。
 友達もたくさんいた。
 けど……。

 友達と遊んでいた時、野犬に襲われ俺のアルカナが目覚めた。
 毛と爪が一瞬で真っ黒になって、体から黒い霧が出て来て、大きな腕の様な形になると野犬を薙ぎ払って殺してしまった。

 その光景を見ていた友達は皆、怖がって俺に近寄らなくなった。
 両親も俺の事を怖がるようになった。
 俺には稀にあるアルカナが目覚めた影響だという、真っ黒なまま元に戻らない毛と爪だけが残った。

 しばらくして、弟が生まれた。
 両親は俺を弟に近付けたがらなかったし、俺も近寄らなかった。
 両親が弟を可愛がっているのを見て、もう俺はいらないんだと思った。

+◇+

 それから。
 彼は十歳になる年の壱の春。アルカナ検査でもちろん反応が出て、皇子が従獣を選ぶ年だったので宮廷で面接をし、原作通りの理由で採用され、璃琳とも仲良くなった。

 江凱は墨を従獣として選んだ後、墨の話を聞いた。
 すると、周りの人間が墨を怖がったのは墨がアルカナを感情の起伏でしか操れないからだと言い、アルカナを積極的に使わせコントロールするすべを身に付けさせた。
 そして、どの程度の威力でどの程度能力を維持できるかも徹底して調べられた。
「何かあった時の主戦力になるだろうからな。限界を知っておけば戦略も立てやすい」
 そう言って江凱はニカっと笑った。

 墨の訓練には最初、アルカナが暴走しても誰にも被害が及ばない広い場所を江凱が用意し行われていた。
 そこは大体草原とか森とかで、たまに海に連れて行ってもらった事もある。
 それに璃琳も一緒の時があった。
 アルカナを使うから危ないと言っても彼女は聞かず、そして彼女は墨のアルカナを見ても怯えなかった。
 そんな彼女は訓練の休憩中に墨の手を取って散歩をし、墨がアルカナを上手く操れるようになった頃には高い場所の景色が見たいとねだって、江凱と一緒にアルカナの手に乗せてもらった事もあった。

 こうして墨は、誰よりもアルカナを上手く扱えるようになった。
「お前は俺の自慢の従獣だ」
 江凱もそう、言ってくれた。

 江凱も璃琳も、墨を大事に扱った。
 皇族と従獣という身分の違いは有れど、時に友の様に、時に家族の様に接してくれた。
 だからだろう。墨は次第に世界の色が変わったと感じるようになった。
 以前はまるで灰色が広がる世界だったのが、今は淡い色が付いている。
 そして、世界の色が変わると共に墨は江凱と璃琳に家族の様な感情を抱くようにもなった。
 しかしそれは許されない。
 墨は亜人の従獣だ。
 人間の皇子と皇女の家族にはなれない。
 だからその心は、無意識に全部、全部閉じ込め、知らないふりをしてきた。
 璃琳に対する感情が変わった後も、全部、閉じ込めて……。

「なぁ墨。これやる」
 江凱は墨に手紙を差し出した。
「何ですか? これ……」
 手紙の宛名には『墨へ』とある。筆跡は江凱の物だ。
 開いて手紙を読んだ墨は、目を見開く。それが自分の家族からの手紙だったからだ。*3
 そしてその中に『また会いたい』とあった。
「会いたくないなら会わなくてもいい。持っているのも嫌なら捨ててもいい。
 ただ、お前の両親はさ、別にお前の事が嫌いになったワケじゃねーんだよ。アルカナっていうよく分かんねー力が出た息子とさ、どうやって接したらいいか分からなかっただけなんだ。
 おまけにコントロールが上手くできてなかったしな、あの頃は。
 でも、今は違うだろ? だから今度は上手くやれると思うぞ」

 そう言って江凱は墨の肩をポンポンと叩いて去った。

 江凱は墨にアルカナをコントロールできるように訓練させる傍ら、墨を宮廷に置いて結構離れた土地にある墨の実家を訪ねていたのだ。
 そして墨の様子や、やっている事を家族に伝えていた。
 アルカナのコントロールをさせているという事も、完全にコントロールできたという事も。
 そういった中で、両親がどう接したらいいか分からず、最後まであのような態度で宮廷へと送り出してしまった事に後悔をしている事が発覚した。
 そして墨のアルカナの事をよく分かっていなかった弟は、いつも暗い顔の兄を不思議がって、でも両親から近寄ったら駄目だと言われ『なんでだろう?』と思って生きて来たので、江凱から話を聞いて「やっと意味が分かりました」と言った。
 そして弟が特に「兄に会ってみたいです!」と言っているのだ。
 だから、江凱としては家族の元に帰ってほしいと思っているが、墨は中々帰ろうとしない。
 そうこうしている間に、雪という白狐の亜人が天耀の従獣としてやって来たのであった。

 

『墨』終

 

 私の中のBGMは『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』の『i do』

 

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*1:なお、小説を賞に応募した事もあるが1次審査すら通過した事はなかったし、評価シートありの所では常に構成の評価が最低ランクだった

*2:試し読みや読者の感想等も36話くらいでよく見なくなり、大して分からない

*3:家族は文字が書けないから、江凱が代わりに書いた