Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

長閑な国の王とケモノ 第五十二話 弐の夏『私にも、背負わせてほしい』

これは『著者:藤間麗 / 出版社:小学館』が権利を有する漫画『王の獣~掩蔽のアルカナ~』の非公式二次創作物です


◆注意する事ばかりで長くなった注意◆

 これは

  • 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
  • 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
  • 女体化
  • 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
  • 滲み出る変態性

 を含みます。
 そして私は

  • 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
  • あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
  • 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
  • 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在

 です。
 それでも見たい人は続きへGO! GO!


第五十二話 弐の夏『私にも、背負わせてほしい』

 藍月は子供の頃にアルカナが目覚めてからの事を、天耀に話した。
 沢山、沢山話した。
 途中、泣きながら。
「恐らくですが蘇月は墨さんから攻撃を受けた後、陛下の目の前でその傷を癒したのだと思います。
 僕と同じアルカナを使って。
 そして師匠……孔先様が僕を傍に置いていたのは、僕にも蘇月と同じアルカナがあるかもしれないと監視していたんだと思います。
 それから天耀様の従獣として宮廷に入れたのは……。
 僕にアルカナがある気配を強く感じ、近くに置いて監視がしたかったからでしょう」
 藍月は目を伏せ、首に手を当てる。
「ここに来る前の戦争で、僕は敵から即死する程の傷を首に受けました。
 ですが、この時アルカナを使って直ぐに治して……敵を倒しました。
 でも、血で汚れ首元が割けた服を孔先様に見られたので……。
 服だけ切れた、血は返り血だととっさにごまかしましたが、それで確信されたのだと思います……」
 そう言って藍月は項垂れ、天耀はそんな彼女の肩に手を置いて抱き寄せる。
「僕のこのアルカナは……。本来なら即死する程度の傷も瞬時に癒してしまいます。
 だから、死ぬ事はまずありません。
 でももし、それを宗現様が軍事力として使おうと思ったらどうでしょうか?
 蘇月を元に沢山の子を作り、その子らの生殖機能を失わせ、もしくは瞬時に死ぬ方法を研究され*3、この国を守る兵器として量産しようと思うのではないでしょうか?
 それに、それ以外にも……*4
 藍月は恐怖から身を守る様に自分を抱く。
「母はこうならない様、僕に託したのに……。ちゃんと、話しておけばよかったのに……。僕はなんで……」
 藍月の瞳から大粒の涙が溢れ、天耀は慰めるように寄り添った。
「この力は、絶対ではありません。アルカナは無限ではないから。
 なので死ぬ方法はあるんです。*5
 でも蘇月は、どんなに今が苦しくても、辛くても、恐らく死ぬ事は出来ない。そういう風にされていると思います。
 だからもし、蘇月が今も酷い事をされていたら……生きているのが辛いくらいの日々をこの六年間味わっていたとしら……。
 怖いんです。
 変わってしまった蘇月を見るのが。
 そして不安なんです。そんな蘇月を支える事が出来るか……。
 僕が、全部悪いくせに。
 今まで蘇月を探す為に生きて来たくせに。
 なのにもうすぐ会えるってなった途端、もし蘇月の心が壊れてて元に戻らなかったとしたらって、怖くて、不安で、どうしたらいいか分からなくて、逃げ出したくなってっ……!」
 藍月がとうとう手で顔を覆って嗚咽を漏らして泣きじゃくり、天耀はそんな彼女の背中をさする。
「なんで……。こんなアルカナ、なければいいのに。こんなの、不幸しか呼ばない……」
 六年間、罪の意識にさいなまれ、妹を助けようと必死に生きた、そんなか弱くて小さな少女のおでこに、そっと天耀は唇を寄せた。
「藍月。このアルカナでなければ、お前は私に会う前に死んでいた。
 そして、私は一生藍月に会えなかっただろう。*6
 だから、不幸しか呼ばないだなんて……言わないでくれ。
 それに確かに人の欲は計り知れない。でも、父上は酷い事をする人ではないよ。藍月だって知っているだろう?」
 そして「それから」と、天耀は息を吸う。
「藍月は悪くない!
 藍月のお母様だって幼い娘にこんな重い役をさせるつもり、最初からなかったはずだよ?
 それに……私にも罪はあるさ。すぐに誘拐だと気が付けたはずなのに、気が付けなかった……」
「天耀様は悪くないです!」
 涙がポロポロこぼれる顔を上げて、彼女はそう否定した。
「うん。でも、それなら藍月だって悪くない。あの時、皆子供だったんだ……」
 そして、そんな子供達を手の平でコロコロしていたであろう父に激しい怒りを覚えつつも、それをグッと沈め。
 藍月の頬に手を添えつつ、あふれる涙を指で拭ってやる。
「私も藍月も、約束を破ってしまったね。今度こそ、約束しよう。お互い、自分のせいだなんて言わないって」
 藍月の顔を覗き込んで微笑み、小指を差し出した天耀に「それは……」と藍月が視線を外す。*7
『難しかったかな……』
 天耀は困ったように笑って、手を引っ込めると深く息を吐いた。
「藍月、聞いてほしい事があるんだ。
 私は、藍月。お前を愛している。
 そして、愛している人の大切な家族は私にとっても大切だ。
 だから、どんな事になっていたとしても、どんな結果が待ち受けていたとしても、どうか私も一緒に背負わせてほしい。
 もう、これからは全部一人で背負わなくてもいい。私も一緒だよ、藍月」
 それを聞いて、藍月はきょとんとした顔で天耀を見つめた。
 それから、またもや大粒の涙を流し彼に縋って泣きじゃくる。
 子供みたいにわんんわん泣いて。
 天耀はそんな藍月が疲れて眠るまで、優しく撫でてやっていた。

 

第五十二話『私にも、背負わせてほしい』終

 

 BGMはゲーム『NieR Replicant』の『カイネ/救済』が似合うかな?
 って思ってる。

 特に告白周りとか似合うかも?

 

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次回

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 1巻に大体4話入ってる。(1話分のページ数による)
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*1:なお、小説を賞に応募した事もあるが1次審査すら通過した事はなかったし、評価シートありの所では常に構成の評価が最低ランクだった

*2:試し読みや読者の感想等も36話くらいでよく見なくなり、大して分からない

*3:生きたまま捉えられて繁殖させられると困るから

*4:原作通り不老不死の研究とかに使えそうっていう。でも、代りはいくらでもいるのよ! 状態にはしてるだろうって話。つまりこの世界の藍月さんは、自分の愚かな行いで蘇月が過酷な薄い本されているだろうって何度も吐きそうになってた

*5:水中に沈んだまま等で呼吸ができない状態を維持する。食事を取らない。常に流血し続ける。火の中に居続ける等、自己再生ではどうにもならない状況を維持する、もしくはアルカナを切らしてしまえば可能だと思う。ただ、苦しい

*6:もちろん、このアルカナでなければ死ぬような怪我を負う事もなかっただなんて、天耀君は分かってて言ってるよ

*7:こちらの世界には『指切りげんまん』の文化がある