◆注意する事ばかりで長くなった注意◆
これは
- 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
- 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
- 女体化
- 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
- 滲み出る変態性
を含みます。
そして私は
- 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
- あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
- 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
- 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在
です。
それでも見たい人は続きへGO! GO!
第五十一話『藍月 二』
◇藍月・十歳
アルカナ検査の日。
『蘇月にはこんな能力、ある訳ないよね。これは私の特別な力なんだから……』
藍月は自分の力にを恐怖しつつも、己惚れていた。
だから今まで、そしてアルカナ検査があったあの日も、蘇月に注意をしなかった。
そして藍月は薬を飲み、能力で効果を打ち消す。
もうこの時にはこんな事、彼女にとってはチョロかった。
しかし……。
その隣で、双子だからと一緒に薬を飲んだ蘇月は、アルカナの反応が出ていた。
蘇月が従獣面接に連れて行かれ、藍月はどう説明しようかと考えながらも、蘇月にもアルカナがある事にショックを受けていた。
藍月は少なからず、蘇月の事を見下していたのだ。
弱虫で泣き虫で、何かあるとすぐ自分の後ろに隠れる妹を守ってやれるのは自分だけだと思いつつ、自分より下に見ていた。
そこに蘇月が帰って来た。
「私、従獣に選ばれたよ!」
と笑顔で言って。
藍月はその時、真っ先にこう思ってしまったのだ。
――蘇月が、憎い――
と……。
自分だけの特別な力だと思っていたアルカナが、恐らく蘇月にもあり。
自分は諦めざるおえなかった従獣に、今まで守って来た弱い蘇月がなった事が許せず。
そして二人で生きていこう、何があっても離れないと約束した蘇月が離れようとする事が、許せなかった。
蘇月のこのアルカナは、もしかしたら周囲に明かしてはいけない危険な物かもしれないと、それをまるで知らずに誇らしげに見えた妹が、憎かった。
だから藍月は過剰に蘇月に当たった。
最終的に、母の簪の飾りの一部が欲しいと言った蘇月に、飾りをもぎ取って顔にぶつけてしまうくらい。
そして結局……「アルカナは使ったら駄目」とすら、伝える事はなかった。
いつだって伝えられたはずなのに。
蘇月が従獣として宮廷に向かうまでの一週間はもちろん、蘇月が従獣になった後も、夏至祭の日に会おうと思えば会えたかもしれない。
なのに藍月は些細な事でへそを曲げ、大事な事を今まで言わずに来てしまった。
そして、蘇月と離れて暮らし六カ月ほどが経過したある日。
太博から蘇月が失踪したと聞いた。
藍月は、何となく嫌な予感がした。
しかし、しばらく待つ事にしたのだ。
もし失踪したのなら、蘇月は必ず自分の所に帰ると信じて。
しかし蘇月は帰ってこなかった。
その代わり、手紙が届き……。
藍月の不安は一気に大きくなって、妓楼を飛び出した。
『もしかして、このアルカナのせい……?』
その頃には、藍月は金華がこのアルカナを恐れた理由がもう少しよく分かっていた。
そして母の腹が膨れていた理由も……。
だから『もし蘇月も私と同じアルカナを持っていて、そのせいで誘拐されたとしたら……!』
と想像して、怖くて、早く見つけてあげなくてはと門番に必死に縋り、太博に懇願し。
そして、彼女は絶望した。
藍月は裏路地に入って蹲ると、ひたすら母と妹に心の中で謝った。
そこに自分の誘拐を企てる不穏な会話が聞こえる。
でも、今の藍月にとってそれはもう、どうでもいい事だ。
そして……。
「ほら、帰るぞ!」
そう、見知らぬ大きな男に腕を掴んで引っ張り上げられた。
彼は藍月の腕を引いて別の人気のない場所に連れて行くと、孔先だと名乗ってどうしたのかと話を聞いた。
藍月はしばらく黙っていたが、双子の妹が従獣になった事、その妹が行方不明になった事、そしてそれは誘拐で、まだ宮廷に居る気がすると、詳しくは言えなかったが話した。
すると孔先は『男のふりをして軍部に入り、宮廷勤めの希望を出しつつ功績をたて、宮廷に入り込めばいい』という提案をしてきたのだ。
この時、藍月は少しだけ迷った。
このまま、不安な事など忘れ生きて行くかと。
もしかしたら全て杞憂で、いつかは蘇月も帰ってくるかもしれないと。
だが、藍月はそんな都合のいい身勝手な考えで生きていくなんて無理だった。
それに、蘇月にまだ謝れてない。
酷い事をした事も、何も伝えずにいた事も。
『もし、あの時ちゃんと伝えていれば……。今、こんな事は起きなかったかもしれない』
彼女を蝕むその気持ちは、拒絶を許さなかった。
こうして。藍月は、雪になった。
◇雪
それから彼は、孔先を師匠と仰ぎ、皇帝の私兵として数々の事件を解決した。
その中で、雪は様々な物を見てきた。
酷い物ばかりだ。
より強いアルカナを求めた愚か者の実験に、ただの趣味で権力者が平民を捉まえ、閉じ込め、嬲り、壊した事件。そして、幼い子供達の過酷な戦闘教育。
そんな犯罪に巻き込まれてしまった人々を、雪達は助けていた。
だが……。助けた時、生きてはいたが心が壊れてしまった人もいた。
殺してほしいと懇願された事もあった。
もう、まともに生きる事の出来ない子供達もいた。
人は、どこまでも残酷になれるのだと。生きている事が幸せではないのだと。そう思える事を雪は何度も、何度も、何度も何度も何度も、目にしてきた。
そうする中で、ますます自分のアルカナは決して、周囲に悟られない様にしなくてはと思った。
金華が「人々を不幸にする」といった意味が、完全に分かったから。
そして雪が十六歳になった今年。
功績が認められ雪は期間限定の天耀の従獣として、ようやっと宮廷に入る事が出来た。
『蘇月は本当に失踪したのか……。
ここに来るのに六年も掛ってしまった。もう今更調べても手掛かりなんて、ないかもしれないけど……』
ここに来るまでも雪は蘇月を探していた。しかし蘇月の情報は手に入らず。
『僕の予感が正しければ、まだこの中にいる可能性はある……』
もちろん期待外れに終わる可能性もある。
だか、そうしたらそうしたでまた考えればいい事だ。
『待っていて、蘇月。僕は必ず……』
◇
藍月が雪として生きた六年間は、決して優しい物ではない。
むしろ医院や妓楼という比較的恵まれた環境で育った少女にとって、過酷な物だった。*3
ただ、藍月はそれを苦だと思った事はない。
蘇月はもっと辛い思いをしているかもしれないと、そう思って生きていたから……。
第五十一話『藍月 二』終
マイ・BGMは、相変わらず攻殻機動隊(アニメ)のi doである。
多分こんな感じの話の時は、ずっとそうだと思う。
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