Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

長閑な国の王とケモノ 第五十話『藍月 一』

これは『著者:藤間麗 / 出版社:小学館』が権利を有する漫画『王の獣~掩蔽のアルカナ~』の非公式二次創作物です


◆注意する事ばかりで長くなった注意◆

 これは

  • 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
  • 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
  • 女体化
  • 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
  • 滲み出る変態性

 を含みます。
 そして私は

  • 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
  • あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
  • 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
  • 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在

 です。
 それでも見たい人は続きへGO! GO!


第五十話『藍月 一』

――あの日の母の顔は、一生忘れる事はないだろう――

 

◇藍月・六つ

『アルカナがあればあそこに行けるかもしれない』
 藍月は屋根の上に座って、宮廷を見ながらそう考えていた。
『あそこに行けばお母さんの好きな人と、もしかしたらお父さんにだって会えるかもしれない』
 それに、それだけじゃない。
「彊虎さんにも会いたいなぁ……」
 そう言って彼女は彼と会えた所を想像して、エヘエヘと笑っていた。
 そんな藍月を「またあの子は……」と、金華が見つけ。
「藍月! 危ないでしょう? 降りてきなさい」
 そう言われて藍月は「はーい」と渋々返事をして、口を尖らせ立ち上がった。
 その時だ。風が一段と強く吹いたのは。
 藍月の体が傾く。その小さな体が、下へと落ちていく。
 金華は悲鳴を上げ我が子に駆け寄る。
 藍月は頭から、しかも石の上に落ちていた。
 頭にも石にも真っ赤な血がベッタリと付いている。
 金華は覚悟した。もう、生きていないと。
 もし生きていたとしても……、恐らく処分されてしまうと。
 しかし……。
 藍月はムクリと起き上がると、笑顔で「落ちちゃった」と言ったのだ。
 金華は驚き、そして藍月の血を拭ってやって体を隅々まで調べた。
 すると、打った頭の毛が(一時的に)一部分禿げていた事と貧血気味だった事以外、体に異常がない事に気が付き、絶望した。
 藍月には、自分の治癒のアルカナとは比べ物にならない力があると、分かったからだ。

 

「藍月。この力は決して人前で使っては駄目よ」
 普段と様子の違う母に不安を覚えながらも、藍月は笑顔を向けた。
「でもこれで私、従獣になれるかもしれないよ?」
 しかし金華はますます顔を険しくし、普段出さないような声で「絶対にいけません!」と怒鳴ったのだ。
 突然怒鳴られて藍月はビクリと体を震わせると、怖くなって泣きそうになり。ハッとなった金華は藍月に悲しげな顔を向け、頭を優しく撫でてやる。
「ごめんなさい。でもこの力は……、人々を不幸にしてしまうの。だから、従獣は諦めなさい……」
 藍月は『なんで?』とか『こんなに凄い力なのに』と反論したかった。
 しかし、今まで見た事がない母の恐ろしい顔を思い出したら、もう何も言えなくなってしまった。

 それから。このアルカナは、藍月と金華の二人だけの秘密になった。


◇秘密の特訓

 金華は藍月にアルカナの制御を叩き込んだ。
 そしてその秘密の特訓は蘇月にばれない様、深夜に行う事が多かった。
 金華が藍月の手を刃物で傷付け、それを藍月はアルカナを使って治す。という、はたから見たら異常な光景が何度も執り行われた。

 そして藍月はアルカナの扱いが非常に上手かった。
 だからすぐに制御を会得し、怪我をしてもすぐに治さず周囲からは少しだけ傷の治りが早いくらいだと騙せる程度になっていた。


 金華はいずれ来るアルカナ検査の対策もしていた。
 初めは検査薬を飲むふりをして飲まずにやり過ごす方法を覚えさせていたが、途中で毒草なども無効化できると知り、薬の効果を打ち消せるように藍月に練習させた。
 アルカナ検査薬は化学反応のような物だ。なので、検査薬がアルカナと反応する前に成分を無効化できれば誤魔化す事が出来る。
 薬は代用品の事もあったが、医院勤めなのもあり実際に使われる薬でも試した。
 そして藍月は薬に対しても上手くアルカナ使い、薬の無効化もすぐに習得した。*3

 しかし藍月はそんな日々が不満だった。
 なぜなら、アルカナがある事を隠さなくてはいけないという事は、やはり従獣にはもう絶対になれないという事だから。


◇藍月・八つ

 金華が遠くへ仕事に行く事になった。
 幼い娘が寂しくならないようにと、いつも付けていた簪を二人に託し。

「藍月。お母さんに何かあったら、蘇月を頼むわね」
 藍月は金華と二人きりになった時そう言われて不安になった。
 だから「お母さん、ちゃんと帰って来るんでしょ?」と、金華の服を掴んで聞いたのだ。
 そんな藍月の頭を、金華は優しくなでた。
「もちろんよ。帰って来たらご馳走にしましょうね。二人の好きな物をたくさん作ってあげる」
 そして金華は藍月に自分が留守の間もアルカナの訓練は続けるようにと言い。
 藍月はその言い付けを守って、金華が出かけた後もアルカナのコントロール訓練を一人続けた。

 藍月と蘇月は初め、金華が何の仕事に行ったのか知らなかった。
 ただ金華を待つ間に大人達の不穏な会話で、母が戦争で傷付いた兵を癒す為に戦地に向かった事を知ったが。

 そして金華がいなくなり十か月後。
 藍月と蘇月の元に大人達が大きな荷物を持ってやって来た。皆、暗い顔をしていた。
 そして彼らは、金華が死んだ事を告げたのだ。
 藍月は初め信じられなかった。嘘だと思った。
 だから、見てはいけないという金華の遺体をこっそり見に行った。
 人の形をした大きな物に掛けられていた布を捲る。
 中から出てきたそれは、確かに藍月の母・金華だった。
 氷のアルカナで凍らされていたが、皮膚は腐りかけていた。
 そして……。
 金華の腹は子供がいるようで、膨れていた。
 更に。藍月はこの時、上半身に掛けられた布を捲っただけだが、少なくとも腕と首に枷がはめられていた跡があり、腹と首にはナイフで刺した様な傷が一つずつあった。

 藍月は当時。この死体が何を物語っているのか、よくは分かっていなかった。
 その時は、知識がなかった。
 ただ……。
『私もアルカナの事が皆に知られたら、こうなっちゃうかもしれない……』
 その、恐怖が。
 理由はまだよく分かっていないが本能的に感じるその恐怖が、無意識にアルカナを周囲に知られない様にと働き、ますます慎重になっていった。

 そして。
 これからは二人で生きていこうと、何があっても離れないと藍月と蘇月は約束した。
 それから、藍月は金華がいなくなった後も一人でコントロール訓練を続けた。
 絶対に誰にも気が付かれないように。

 

第五十話『藍月 一』終

 

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次回

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*1:なお、小説を賞に応募した事もあるが1次審査すら通過した事はなかったし、評価シートありの所では常に構成の評価が最低ランクだった

*2:試し読みや読者の感想等も36話くらいでよく見なくなり、大して分からない

*3:ちなみに、アルコールの分解も行える。つまりどんなに飲んでも酔わずにいられる