◆注意する事ばかりで長くなった注意◆
これは
- 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
- 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
- 女体化
- 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
- 滲み出る変態性
を含みます。
そして私は
- 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
- あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
- 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
- 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在
です。
それでも見たい人は続きへGO!GO!
記憶◇🎀白狐・十
もうすぐ私達はアルカナの検査をする。
そしてその検査でアルカナの反応が出なければ、私も蘇月も妓楼に行く事が決まった。
ババァはほくほく顔で喜んでいるけど……。
私、嫌だな……。
◇
アルカナ検査の日が来た。
私は蘇月と一緒に薬を飲んで……。蘇月にだけアルカナの反応が出た。
従獣の面接に連れて行かれた蘇月を待っている間、私はずっと不安だった。
「そんなに心配しなくとも、女はまず選ばれないよ。何のアルカナかも分からないんだしね」
そうババァは言ったけど、私の不安は取れなかった。
しばらくして、蘇月が面接から帰って来た。
そして笑顔でこう言ったんだ。
「私、従獣に選ばれたよ!」
って。
「蘇月にそんな仕事ができるわけないでしょ! 断って!! それが無理なら逃げよう?」
蘇月は気が弱いし、私がそういえば従うって思ってた。
なのに蘇月は首を横に振る。
「お給料もいいし、お勉強もできるから……どうしてもやりたいの」
蘇月は本が好きだし、文字も大人に教わっていた。従獣になればいくらでも文字の勉強ができる。だからその言葉に嘘はないと思う。
それに従獣は亜人にとって唯一と言っていいあこがれの職業だ。
だから蘇月がその選択をしたのは別におかしな事ではない。
だけど……。
「なんで? 絶対ダメ! だってずっと一緒にいようって約束したじゃない! 私、蘇月が従獣になるならもう口きかないから!」
こうして、私は蘇月と会話する事をやめてしまった。
でも『そうしてればその内、蘇月は従獣になるのを諦めるでしょ』って気持ちもあった。
だけど、蘇月の意志は私が思っている以上に固くて……。
蘇月が従獣として宮廷に行くまでは、たった一週間しかない。
なのにそんな貴重な時間を、私は蘇月と会話をせずに過ごしてしまっていた。
そして蘇月と過ごす最後の夜。
無言の夕食が終わった時に、蘇月が「藍ちゃん……」と話しかけてきた。
私はようやっと従獣になるのを諦めたのかも? って思って顔を上げると、蘇月はお母さんの簪を手に取っていて、飾りの一部分を指さした。
「お母さんの簪のこの部分、お守り代わりに持って行っていい? これがないと寂しくなっちゃいそうで……。あっ! 家に帰れる時に持ってくるし、寂しくなくなったらちゃんと直すから……!!」
蘇月が指さしたのは、本当に飾りのごく一部。吊るし飾りの先っぽで、鎖の部分から取り外せば簡単に直せる。
蘇月らしい、遠慮したおねだり。
でも、期待を裏切られた私はカッとなって
「勝手にすればいいじゃない!」
って、お母さんの簪を奪って飾りのすべてをもぎ取って、蘇月の顔に叩き付けてしまった。
蘇月は小さく悲鳴を上げたけど私は無視して簪の柄の部分を持って布団に走って、それからずっと布団に一人でくるまってすごした。
次の日の朝も蘇月が「行ってきます」って言ってるのに、私は布団に潜り込んだまま何も言わずにいた。
蘇月がいなくなってしばらくして。私が起き上がって机の上を見ると、そこには朝ご飯と手紙がおいてあった。
私、文字が読めないのに……。
だから私はご飯も食べずに手紙を持って医院に向かうと、先生に手紙を読んでもらう。
『藍ちゃんへ
わがままを言ってごめんなさい。でも私、どうしても従獣になりたかったの。
しばらく藍ちゃんに会えないけど、今度会ったらお母さんの簪の飾りを返せるようにしておくね。
それから、藍ちゃんの好物をご馳走するね。
一緒にたくさん食べようね。
蘇月より』
手紙を読んでもらった後、私は先生にお礼を言って医院の離れの家に戻ってご飯を食べる。
蘇月、味付け失敗してる。ご飯がしょっぱい。
◇
「蘇月は従獣かー。大出世だよなぁ。でもあいつ本とか好きだったし願ったり叶ったりなんじゃね?
所でお前、やっぱり妓女になるんだってな。妓女になったら俺が一番のお得意様になってやるからな!」
私にやたらと構ってきては嫌な事をいう近所の人間の男の子が話しかけてきたけど、私は黙ったまま走り去る。
いつもなら言い返せるけど、今日はできなかった。
遠くで「お前さー、だっから嫌われんだよ」って別の男の子の声が聞こえたけど、意味は分からない。
◇
蘇月がいなくなってしばらくしてから、私は妓女の世話係になった。
私が付いたのは今年デビューしたての紅玉姉さんだ。
紅玉姉さんは厳しいババァとは違って優しくしてくれた。
ある日紅玉姉さんから「最後の一個よ」と、お客さんからの贈り物だと言う月餅を一個手渡された。
「もらってない子もいるから、早く食べちゃいなさい」
そう言われて私は嬉しくて後ろを振り向くと
「蘇月、半分こしよう!」
って言っていた。
いつも私に付いて来ていた蘇月はもういないのに。
「藍月」
紅玉姉さんは悲しい顔をして私を抱き寄せたけど「別に平気! 間違えただけだし」
そう言って私は紅玉姉さんの腕をすり抜けると、人気のない所で月餅を食べる。
別に私、寂しくない。
だって、こうしてお菓子を半分こする事なく丸々一つ食べられるし。
そう、私は寂しくない。悲しくない。泣いてなんか、いない……。
◇
蘇月はたくさん手紙を書いて送ってくれた。
蘇月は元気そうだし、楽しそう……。
でも私、文字の読み書きはまだ全然できない。だから蘇月から手紙が届くたびに紅玉姉さんや字が読める人に読んでもらっていた。
文字の読み書きは習っているけど、蘇月みたいにうまくできない。
ババァが呆れて「踊りと接客を中心に鍛えていくしかないね」って言ってたくらいに。
だから……全然伝えられないまま……。
◇
蘇月は何度か私に会いに来てくれた。
皇子の……天耀様の付き添いで外に出た時、短い時間だけどやって来てくれたのだ。
でも、私はいつも間が悪くて蘇月に会えないでいた。
話せないでいた。
◇
蘇月が従獣になって半年ほどすぎた頃だ。
「蘇月が消えた。ここに帰ってはいないか?」
蘇月の手紙によく出て来ていた太博様がそう知らせに来たのは。
もちろん蘇月は帰って来ていない。私がそう伝えると、太博様は「何かあったら知らせるように」と言って帰って行った。
不安を抱えて数日後、今度は蘇月から手紙が届いた。
先に目を通し青ざめた紅玉姉さんに読んでもらうと
『私は私の幸せの為にやらなくちゃいけない事が出来ました。だから藍ちゃんの所にはもう帰れません。
ごめんなさい』
だった。
嘘だ。
これは、絶対に嘘だ!
私は手紙を握りしめ、ババァや警護の静止の声も聴かずに城門へ走った。
私は必死に、蘇月はまだ中にいるかもしれない、私を中に入れてほしいと訴えたけど、聞き入れてもらえずに門番から突き飛ばされたらでんぐり返しでコロコロ転がって、周りの人はそれを見てクスクス笑った。*3
そこへ馬車の音に続いて「どうかしたの?」と女の子が声が聞こえる。
その子――門番は『公主様』と言っていた――は門番と何度か言葉を交わすと「あまりホコリをたてないでちょうだいね」と言って、馬車を走らせ宮廷の中へと消えた。
そしてその馬車と入れ違いに今度は聞き覚えのある男の人の声がする。太博様だ!
私は起き上がると蘇月の手紙を見せ、門番に話した事を太博様に説明する。
この人は蘇月に良くしてくれている様だし、願いを聞き入れてくれるかもしれないと思った。
けど……。
「あまり物騒な事を言う物ではない。それにこの手紙の字、蘇月の物だ。
なら、蘇月は失踪したのだろう」
太博様は縋りついていた私の手を振り払った。
その拍子に尻餅を付いた私に手紙が返され、太博様は振り向く事もなく城門の向こう側に行ってしまった。
私はなんて無力なんだろう……。
トボトボと入った裏路地でうずくまり、そう考えていた。
近くで人の気配がして「亜人の子供が一人だぜ」「今なら簡単に誘拐できそうだ」
そんな物騒な会話をしているのが耳に入るけど、私にはもう逃げる気力がなかった。
もう、どうでもよくなっていた。
もう、どうでもいい。
蘇月、お母さん……、ごめんなさい。
「ほら、帰るぞ!」
『記憶◇🎀白狐・十』終
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