Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

長閑な国の王とケモノ 第六十三話『宗現四 掩蔽』

これは『著者:藤間麗 / 出版社:小学館』が権利を有する漫画『王の獣~掩蔽のアルカナ~』の非公式二次創作物です


◆注意する事ばかりで長くなった注意◆

 これは

  • 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
  • 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
  • 女体化
  • 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
  • 滲み出る変態性

 を含みます。
 そして私は

  • 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
  • あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
  • 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
  • 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在

 です。
 それでも見たい人は続きへGO! GO!


第六十三話『宗現四 掩蔽

 私が皇帝になってすぐの頃に秘密基地として利用している後宮の忌み嫌われた宮へ蘇月を運び、ここの合鍵を持っている彊虎と落ち合った後。
 目を覚ました蘇月に、私は説明をした。
 まずは蘇月のアルカナがどんな物かを、続いてそのアルカナが研究や実験の格好の餌食になりやすく、悪意を持つ人間の手に渡ると危険だと言う事を。
「もし、危険な人物に渡ってしまうと……。最終的に、蘇月の能力を引き継ぐ大量の兵器が生まれてしまうかもしれない。
 私はそういった事を他国にされるのはもちろん、この国で行うのも良しとしていない」
 しかし、他国でこのような能力者を軍事利用している例が入ってくれば話は変わってしまうのかもしれない。
 そう思いつつもその考えは口には出さず、最後にここで一生を過ごせば誘拐などのリスクが減ると話した。
「なのでどうか、ここで生涯を終えてほしい……」
 我ながら、身勝手で無茶なお願いだと思う。
 だが蘇月は気が弱い所もあるせいか、承諾してくれた。

 蘇月に藍月と天耀へ別れの手紙を書かせた後、私は孔先を宮廷に呼んだ。
 頼みがあったからだ。
 そしてまず、蘇月のアルカナの話と私の考えを話した。
 孔先からは「気が狂ってる」と罵られたが、それでも私の『藍月の監視』という頼みは引き受けてくれた。

 私が藍月の監視を孔先に頼んだのは、もちろん理由がある。
 それはもし金華が蘇月のアルカナを知っていたとしたら、実際には『蘇月』ではなく『藍月』のアルカナを知っていた可能性が高かったからだ。
 というのも、蘇月からの話を聞く限りでは蘇月はアルカナ検査をするまで自分にアルカナがある事すら知らず、そのアルカナの開花も私の目の前で傷を癒したのが最初だった。
 更に藍月にはアルカナ検査で反応が出なかった様だが……、藍月と蘇月はそっくりな双子だ。
 文献や事例でもこの様な双子が同じアルカナを有している事はよくある話。
 なので私は藍月に同じ能力の傾向が見られたら、彼女もすぐに閉じ込め隠そうと考えたのだ。


 しばらくして。
 孔先から藍月は双子ならではの感なのか、もしくは別の理由があるのか、蘇月は失踪ではないと考えていると聞かされた。
 更に続けて、藍月を雪という男として軍部に入れるとも言われ。
「軍なんて危ないだろう。藍月が死んだらどうするんだ?」
 私はそう怒ったが、孔先は「過保護だな」と言うばかり。
「アルカナがあるかどうか見極める為にも、好都合だろ?」
 彼はそう言って押し切ってしまい……。
 藍月は雪として、私の軍部に入ってしまった。

 今にして思えば孔先は金華を守れなかった負い目から、藍月に力を付けさせた上で蘇月を見つけ出させ、そして逃げ出せる機会を作ったのかもしれない。

 そういえばと。蘇月に何故、あそこで怪我をして倒れていたのかと聞いたら、転んでしまったと答えられた。
 さすがに無茶がある言い分だったが、何か訳があるのだろう。
 それを問い詰めても彼女が嫌がりそうだったので、私からはもう聞かない事にした。

 蘇月は大分弱っていた。
 私や彊虎が頻繁に様子を見に行っているが、食事もあまり手を付けていないし、石壁の中ならどこでも好きに出歩いてもいいと言ったのに部屋の中に閉じこもっている様だ。
 なので私は少しは気が紛れるかもしれないと蘇月の手を引いてこの秘密基地の私の部屋へ案内し、そこに飾られている宝物を見せた。
 それは、私と金華がまるで夫婦の様に並んでいる絵だ。
「私はな、蘇月の母、金華を愛していたんだ。しかし共に居る事が出来ず……。せめて絵の中ではと、画家に描いてもらったんだ」
 続いて私は金華に簪を贈った事や蘇月の父親が彊虎だとも話し、最後にこの部屋を好きに使っていいと伝えた。

 それから、蘇月は時々この部屋の金華の絵を見て眠る様になり。
 そして私は時間を作ってはこの部屋で蘇月に金華との思い出話を語り聞かせ、蘇月はその話を聞きながら眠り。
 次第に元気を取り戻していった。

 蘇月が大分落ち着いたある日。私は蘇月に金華が死んだ時の詳細を話した。
 そして、蘇月には何かあった時の為に戦闘訓練をさせ、いざとなったら逃げられる様に石壁の向こう側へと屋根を伝って出られる足場を用意し、唯一の出入り口である門の鍵を渡した。
 彼女はその理由をしっかり受け止め、戦闘訓練も苦手だというのに彊虎相手に頑張ってくれている。
 これで……。
 これで蘇月は自分の身を守る為に動く事が出来る。
 金華の様に捕まってしまう可能性を、少しは下げられる……。

 蘇月は今年、十五歳になる。
 随分大人っぽくなった。
 だから私は蘇月から金華の簪の飾りを預かり、ちゃんとした簪にしてもらった。
 金華の簪が似合うと思ったし、こうした方が金華も喜ぶと思ったのだ。
「髪に挿してやろう」
 そう言って私は彼女の髪に簪を挿し……。
 ふと、昔の事を想い出す。
 金華にこうして簪を挿してやった時の事を。
 蘇月も、本当は恋人にこうしてほしかっただろうに。
 その喜びを彼女に与えられないのが、悲しい。

 戦争が始まり、終わろうとしている頃。
 藍月にそれらしいアルカナがありそうだとなった。
 だから直接監視する為に終戦後、藍月の功績を称えるという名目で藍月を天耀の従獣として宮廷に迎える事にした。
 それにその方が彼女にとっても本望だろう。
 何故なら彼女はこの宮廷に入り込み蘇月を探す為だけに六年間男のふりをし、とりわけ厳しい私の私兵をしていたのだから。

 こうして。私の『藍月と蘇月を私の子供達に会わせたい』という願いは、歪んだ形で叶ったのだ。

***

 皇帝・宗現は、金華を愛している。
 彼は、藍月と蘇月を実の娘の様に思っている。
 彼は、蘇月が従獣としてやって来た後、ちょくちょく様子を見に来ていた。
 彼は、蘇月が母の簪の飾りを見つめて泣いていた時、慰めていた。
 彼は、誰より亜人と人間の未来を案じた。

 そして宗現は、とある試練に打ち勝った。

 

第六十三話『宗現四 掩蔽』終

 

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*1:なお、小説を賞に応募した事もあるが1次審査すら通過した事はなかったし、評価シートありの所では常に構成の評価が最低ランクだった

*2:試し読みや読者の感想等も36話くらいでよく見なくなり、大して分からない