これは『著者:藤間麗 / 出版社:小学館』が権利を有する漫画『王の獣~掩蔽のアルカナ~』の非公式二次創作物です
◆注意する事ばかりで長くなった注意◆
これは
- 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
- 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
- 女体化
- 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
- 滲み出る変態性
を含みます。
そして私は
- 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
- あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
- 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
- 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在
です。
それでも見たい人は続きへGO!GO!
ト或ル神様ノ御話 壱
長い戦いで疲弊して、私は母星から遠く離れたここへやって来た。
ここでしばし休む為に。
かなり長い事いた気がする。ここはとても安全だった。だから、またあの戦いの中に戻るのが馬鹿らしくなった。
なので私はここに暮らし続けた。
◇
私はここでいつも一人だ。
でも寂しくない。
これが私の普通だから。
◇
ある日、人間の子供がやって来た。
ソバカス顔にクリっとした瞳の、黒髪の少女だ。
その少女は毎日ここに来ては、熱心に祈っていた。
そして私はその子を見ていたら、いったい何をそんなに祈っているのか興味が湧いたから、人の姿を取って訪ねてみる。
すると少女はびっくりした顔をした後、こう答えた。
「だってここは高いから。お母さんに会えるかなって思ったの」
◇
少女は名をマウと言った。
最近母親が死んでしまい天国にいる母に会いたいと、この辺りで一番高い山にやって来ていたのだ。
そしてマウは私と会ってから。山のてっぺんであるここにやって来ては、ここに生えた一本の桜の木の下で手を合わせ、祈る様に心の中で母親に語り掛けた後、私と話をし、帰って行くようになった。
ある日。
「私が飼ってる猫を見せてあげるね!」
と言って、翌日には籠に入れた桜色の猫を持ってきてくれた。
「この子はね、謡尾っていうの。可愛いでしょ? それにあなたと同じ桜の色がとても綺麗で自慢の子なの」
マウは謡尾に頬ずりをする。
謡尾も嬉しそうに頬をこすり合わせていた。
だが謡尾は私の事が気に食わないらしい。
私が撫でようとするといつも威嚇して、尻尾の毛を逆立てていた。
その後もマウが謡尾を連れて来る事は何度もあったが、やはり私には懐かなかった。
◇
彼女とは色々な話をした。
好きな事、嫌いな事、好きな食べ物に嫌いな食べ物。
死んだ母は歌が好きでよく歌っていた事。
家族は他に父親と姉と兄がいて、みんな優しい事。
でも母以外の家族は猫が嫌いだから、謡尾はコッソリ飼っている事。
「謡尾はとっても賢い子なのに。私が毛づくろいするよって言うと、こっちに着てお膝に座ってくれるんだよ?」
マウは連れて来ていた謡尾を抱っこしながら、ニコニコ謡尾自慢をした。
そしてこう言う。
「あ~あ、謡尾とお話しできたら楽しいだろうなぁ。ね、謡尾」
謡尾はニャァ~と肯定するように鳴いた。
私は毎日の様に彼女と話をした。
時にマウに手を引かれ山の散策に繰り出した事もある。
そして私はいつしか、こんな生活が永遠に続くと……勘違いした。
◇
ある日、マウは突然来なくなった。
私は妙な感覚を覚えたが、飽きてしまったのだろうと特に何もせずマウが来る前の暮らしに戻った。
それから数日後。
謡尾が一人で私の所までやって来た。
彼女は大分弱っていた。
あんなに綺麗だった毛並みは乱れ、何日もまともに食事をしていないようでやせ細っている。
そして謡尾は、私の依り代である桜の木を引っ掻いた。
弱々しい手つきで、引っ掻いた。
「どうしたんだい?」
私が人間の姿に化けると、謡尾はくるりと踵を返し一人で進み。
少し離れてから振り向くと、こっちに来いと促した。
私はこの日、謡尾に連れられて山を降り。初めて人里に下りた。
謡尾が案内した先は、とある民家だ。
比較的大きな家なので、裕福な家庭なのだろう。
しかし中からはすすり泣く声が聞こえる。
そして謡尾はここまでたどり着くと、ぱたりと倒れてしまった。
息はあるがもう弱り切っていて、動く力が無くなってしまったのだ。
私が弱った謡尾を初めて抱き上げて中に入り泣き声の方に向かっていくと、目を腫らせた女性と出くわした。
彼女は私がどう声を掛けようかと迷っている内に
「あなたは……、マウのお友達ね。それにその猫……謡尾でしょう? どうぞ上がってください。そしてあの子に挨拶を……」
私は促されるままに家に上がり、マウの部屋に通された。
彼女の部屋には布団が敷かれていて、それは人の形に膨らんでいた。
布団の周囲には四人の人間がいる。
三人の男と一人の女性だ。
しかし私が部屋に入る時、二人の男女が立ち上がって部屋を出て行った。
悲しそうな顔をしているその二人に、私を案内した女性は深々と頭を下げた。
そして
「謡尾に何か食べる物を持ってきます」
と去って行った。
私は布団に近づく。
中でマウが眠っている。
「マウ?」
私が声を掛けても、返事はない。
「君は……あぁ、君はマウが言っていた桜色の髪の友達だね。この子は、ずっと心配していたよ。突然行かなくなったら君が心配するんじゃないかって」
年配の男がそう言った。
「この辺りで病が流行ってね、妹もその病に侵されて……。最初はすぐに治るだろうと思っていたんだ、けど急に病状が悪化して……。それに、その猫は……」
若い男がそう言って、目を伏せた。
「こんな事になるなら、家で飼ってあげればよかった。こっそり育てているのは知ってたのに、ごめんね、マウ……」
いつの間に戻って来ていた女性がシクシク泣きだした。
手に持つ椀にはお粥が入っている。謡尾の為に持ってきたのだろう。
私は改めてマウの顔を見た。
生気が、感じられない。
そっと頬を撫でてみる。
その頬は、冷たかった……。
唖然とする私の横で、女性が「謡尾、ご飯よ……」と指でお粥をすくって私の腕の中でぐったりしている謡尾の口元に近付けた。
すると謡尾は突然動き出し、しかしお粥には目もくれずマウの枕元までやって来て彼女の頬を舐め。
そしてうずくまると、動くのを、呼吸をするのを、やめてしまった。
謡尾はマウから大切に育てられていた。
しかしそれは、謡尾の野生の部分をそいだ。
謡尾はマウが病に倒れ、私を連れてこようと必死に探したのだと思う。
ただ彼女はいつも籠に入れられ私の元にやって来ていたし、すんなりとやって来れなかったのだろう。
それに狩りをする事も出来なかった。
そして、死んでしまった。
とんだ、皮肉だった。
翌日。マウと謡尾は同じ墓に入れられた。
◇
私はマウがいなくなった後も、ここで普段通りに過ごした。
しかし何かが足りない。
とてもスカスカする。
とても……悲しくなる。
ある日、私はマウの言葉を思い出していた。
「あ~あ、謡尾とお話しできたら楽しいだろうなぁ。ね、謡尾」
あぁ、そうだ。人間と話ができる動物を作ろう。
それで、彼らは丈夫にしよう。すぐに死んでしまわないように。
それからそうだ、人間を手助けしてくれる良き友としよう。
それはきっと楽しい。
彼女もきっと、喜んでくれる。
きっと、きっと……。
◇
人間は彼らを私が思ったように扱わなかった。
彼らは人間の良き友として作ったのに、まるで道具の様に扱った。
時にはその行為が行き過ぎる事もあった。
どうしてなのだろうか?
何故、私は間違えてしまうのか?
マウがいなくなった時。すぐに彼女を探していればあんな病気、私なら直せた。
彼女なら人間としての寿命を迎えるまで、私の傍にいてくれたに違いない。
いや、私ならそんな寿命はなくせてしまう。彼女と永遠に一緒でいられた。
……駄目だ。それは、彼女も喜ばない。
私は彼らに行き過ぎた行為をする人間に罰を与えながら、そんな風に思って何年も、何十年も過ごした。
そしてある日、ふと思った。
人間として人間を傍で観察してみよう。
それで、人間と彼ら亜人の関係に良い未来が見いだせたらこのまま、もしそうでなかったら……。
私はこの日、人間として生まれる為。とある女性の腹に宿った。
『ト或ル神様ノ御話 壱』終
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