◆注意する事ばかりで長くなった注意◆
これは
- 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
- 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
- 女体化
- 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
- 滲み出る変態性
を含みます。
そして私は
- 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
- あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
- 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
- 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在
です。
それでも見たい人は続きへGO! GO!
第十六話『弐の春 事件解決のあとで』
「私の部隊の一人にね、深夜ツーシャンの部屋の窓から見える位置でシンクーのふりをして踊ってもらったんだ。
ツーシャンの様子から、そうすれば全て話すと思って」
帰りの馬車の中。疲れて旺眞に膝枕され眠る逞牙を微笑まし気に見ながら、天耀は雪に事情を話していた。
天耀と旺眞は事件の真相を大体把握し、ツーシャンに隠している事を洗いざらい吐いてもらおうと企てた。
それが罪の償いになるとも思ったからだ。
だから天耀は紅玉に死んだシンクーの特徴――特徴はツーシャンの様子を見に行った後チュンツイから教えてもらった――を伝え、花嫁衣裳を着て踊ってもらったのだ。
もちろん紅玉はツーシャンの部屋の窓に掛かるカーテンを開けて、物音をたて目を覚ます小細工もしている。
そして天耀の企て通りに、怯えたツーシャンが事件の真相を全て話したという訳だ。
「昔、この国の皇女が庭師の男に恋をしたの。庭師の男も皇女を愛していて、二人は幸せだった。
けど、皇女は結婚相手を決められ遠くの国の王子に嫁ぐ事になって。
だから皇女は駆け落ちを考えたのよ。
そして庭師の男にこっそり待ち合わせ場所を伝えて……。
当日、皇女は約束の場所で待っていた。
でも、男は来なかった」
「何故です? 愛していたのでしょう?」
雪は疑問に感じて口をはさみ、天耀が「だからだよ、雪」と答え旺眞は頷く。
「皇女は平民とは比べ物にならないくらい良い生活をしているし、平民の生活すら耐えられるかどうか分からないわ。
だけど、駆け落ちなんてしたら一般的な平民の暮らしもできるかどうか……。
そんな生活に皇女は耐えられたかしら?
もし耐えられたとしても、男はそれに耐えられたかしら?」
「男は自分と共にいて不自由な暮らしを強いるよりは、このまま予定通り遠くの国に嫁ぐ方がいいと考えて身を引いたんだよ」
しかし雪は腑に落ちず、ムスっとする。
「でも、その嫁いだ先の王子は酷い人かもしれませんよ? お金があってもそれでは幸せになれないです。
それに、僕は好きな人と結ばれるのが一番だと思います」
「うん」
天耀は微笑み同意する。
「人間も不自由ですよね」
地位があればあるほど、望んだ相手との結婚など人間同士でもできない。
それは仕方がないとはいえ、雪は口を尖らせた。
『意外とロマンティストなのかしら?』と雪の態度を見て思っていた旺眞は、息を深く吐いて膝の上ですやすや眠る逞牙を優しくなでる。
「今回の事は、愛する人の幸せを願って思い悩んだ彼女が目の前に転がってきた死に縋ってしまった結果、起きた事かもしれないわね……」
◆
チュンツイの屋敷から出た後、一行は宮廷にまっすぐ帰らずによそで一泊した。
ちなみに前回もそうやって日帰りで帰らず、旺眞やまだ子供の逞牙を労わる為にもゆっくり帰っている。
そして今回は一泊し朝出発した後、馬車に寄り道させて逞牙の故郷に行かせた。
この日は特に用事もないので、逞牙と家族を引き合わせる為だ。
「ちゃんと帰れるのは長期休暇が取れる参の冬の終わりから壱の春はじめだけなんだが、用事で一緒に外に出た日はこうして故郷に寄ったりするんだ」
雪は『そういえば蘇月も何度か僕に会いに来てたな。いつも僕が出掛けてて会えなかったけど』と、過去の寂しい出来事を思い返す。
「雪も会いたい人がいるなら言ってほしい」
「いえ、僕は特に」
一瞬師匠の顔が浮かんだが、すぐにしまい込んで答える。
そして逞牙が約束の時間まで家族と過ごした後、一行は宮廷へと帰った。
逞牙はまた疲れて旺眞に膝枕されて寝ていた。
◆
数日後、旺眞の宮の応接間にて。
お互いゆっくり話ができる時間ができ、雪達はお茶とお菓子を食べながら引き延ばしにされていた蘇月の話を旺眞達に聞いていた。
「蘇月と私は比較的仲が良かったわ。
あの子は賢くて学問に興味があったから、ここにある学術書をよく借りに来ていたし、私の文通相手とのやり取りも仕事の合間を縫ってよく聞きに来ていたの」
「懐かしいですね」
天耀が当時を思い出し優しく微笑む。
「それから……植物にも興味があったみたいで、育ててみたいと言っていたわ。
……今は、どうしているんでしょうね」
そう言って旺眞は寂し気に目を伏せる。
「旺眞様は蘇月さんの友達だったんですか?」
「どうかしら? 一緒にお茶を飲んだ事もあったし、私は……友達だと思っていた。
でも、私はそれを口にする事はしなかったし、蘇月も真面目な子だったから私は使える主の姉という存在として接してた感じだったわね」
雪の質問に旺眞はそう答えてから、悲しい顔をした。
人間と亜人はどこかで線引きされる。
人間が皇族なら、その線引きはより強くなり、おいそれと友達だなどと口にできなくなるのだ。
それから、失踪の理由について心当たりはあるかなど聞いたが旺眞はよく分からないと答えた。
天耀は最後にと、逞牙に出て行きたいなどと考える事はあるか聞く。
ちなみにこの質問は、従獣の立場からの意見を聞く為の物だ。
「俺はまだここに来て2か月たたないですが、逃げ出したいとか今の所思った事はないです。皆さん優しいですし。
それに旺眞様は、なるべく家族に会えるようにってしてくれましたから。
あと戦闘訓練とか勉強とかはあるけど食事がおいしいし給料もいいので、家族に仕送りもしたいから辞めたいとかも思ってません。
でも俺、アルカナがあるから好きじゃない相手と子供を作らなきゃいけないっていうのは、ちょっと嫌かも」
「逞牙……」
旺眞は逞牙の頭をそっとなでる。
それにちょっとだけ恥ずかし気にした後、逞牙は明るい顔をした。
「でもこれって亜人だけじゃないですし、貴族とかの強制結婚ともあまり変わらないですよね? ならやっぱり逃げる事はないと思います。それに俺、旺眞様の事が好きなので!」
そう言って逞牙は尻尾を振った。ちなみに旺眞を好きというのは自分に優しく接してくれている旺眞を人間として、主として好きだという意味で恋愛感情はない。
もちろん旺眞もその事は分かっているが、それ抜きでも気恥ずかしくて頬が染まる。
「ああ、そうだわ。お父様から本を貸してほしいとせがまれていたんだった。準備をしないと……逞牙も手伝ってくれる?」
話が終わったのもあり、旺眞は気恥ずかしさを吹き飛ばすようにそう言って席を立つ。
逞牙も「はい!」と返事して、二人そろって書庫に向かってしまい、天耀と雪もそんな二人を見送って帰路についた。
「やぁ、天耀。話は聞いたよ。お前はまた旺眞姉上の手伝いをしたのかい?」
帰る途中、謡尾を連れた麗雲に出会って開口一番そう話しかけられる。
「ええ、まぁ……」
「お前もよくやるね。また今回も旺眞姉上の手柄にされてるじゃないか」
天耀は家族の手伝いをよくする。しかし自分がやった事が手伝った相手の手柄に勝手になっている事がよくあるのだ。*3
しかしそれは、天耀が出しゃばらない性格なのも影響しているのだが。
「別に私一人の力で解決した訳じゃないですし、そんな事気にしてませんよ」
「それでも『旺眞様と天耀様のおかげで』まで持って行ってほしい物だけどね。……でもまぁ、誇らしくも思うよ」
そして彼はフフフと笑って、天舞の元へ去って行った。
◆
旺眞が宗現に頼まれていた本を渡し自分の宮へ帰っている時。
逞牙は宗現から貰った飴玉を舐めきり、旺眞に話し掛けた。
「旺眞様、皇帝陛下は優しいですね」
「そうね」
「それに、亜人の為に沢山頑張ってるって聞きました! 何だか凄いです!」
尻尾をフリフリそう言う逞牙を見て、旺眞はふふっと笑う。
「そうね、お父様はすごいわ。
でもね、お父様があんなに頑張るのは秘密があるのよ」
そしてそっと逞牙の耳に唇を寄せ囁く。
「あのね。お父様は昔、好きな人がいたの。その人は亜人の女の人よ」
旺眞にその気はないのだが、やたらと艶めかしい彼女のその行為と母親の物とは違う香りに逞牙はドキドキしながら「好きな、人?」と聞き返す。
旺眞は唇を彼の耳から離すと頷いた。
「とても綺麗な人だったわ。医官に付いていたから、私ともよく会っていたし最初は仲が良かったの。
でも私、お父様がその人に心惹かれているのを見て、なんとなく嫌で……。段々つっけんどんな態度を取って、そうしている内にその人は子供を作って出て行ってしまったけれどね」
「旺眞様が、ですか……」
逞牙は旺眞がそう言う事とは無縁の人の様に感じていたから、彼女の意外な一面を見て驚く。
旺眞の方は過去を後悔するように、悲しい顔をしていた。
「お父様はきっと今もその人の事を想っていて、だからその人の為にもあんなに努力をしているのだと思うわ」
そう言った所で彼女は「あ」と気が付く。
「雪さんとあの人……顔立ちがそっくりだわ。それに……」
第十六話『事件解決のあとで』終
補足とか
逞牙は馬車で「寝ないようにするぞ!」して寝てたりしてそう。
この世界のアルカナ持ちは人間であってもアルカナを受け継ぐ者を一定数保つためなどで、望まない相手との子作りはされている。
ただ、人間の場合は身分が高ければ免除されていると思う。
この物語は明治時代を意識しているがテキトーなので、明治時代にある物がなかったり、ない物があったりとしていると思う。
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