Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

長閑な国の王とケモノ 番外編『夏至祭の日の色々』

これは『著者:藤間麗 / 出版社:小学館』が権利を有する漫画『王の獣~掩蔽のアルカナ~』の非公式二次創作物です


◆注意する事ばかりで長くなった注意◆

 これは

  • 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
  • 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
  • 女体化
  • 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
  • 滲み出る変態性

 を含みます。
 そして私は

  • 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
  • あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
  • 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
  • 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在

 です。
 それでも見たい人は続きへGO!GO!

番外編『夏至祭の日の色々』

璃琳と墨

 パルクールが終わった後、璃琳は自室で墨を𠮟り付けていた。*3
「お父様はこういう卑怯な手を嫌うのに、なんて事してくれるのよ! それに一歩間違えれば大惨事だったわよっ!」
 璃琳からそう怒られ、でも墨はちょっと嬉しそうに尻尾の先をピクピク動かしてる。
 その視線は、璃琳の胸元で揺れるピンク色のハートの石に行っていた。
 これは怒られる前に墨が璃琳に掛けてやった物で、璃琳が欲しがったパルクールの一位景品である。
「なに喜んでるのよ!」
「いえ、璃琳様が俺のぬいぐるみを買ってくれたのが嬉しくて」
 そう。璃琳も雪と同じくあのぬいぐるみ店にやって来ていて、墨のぬいぐるみを買っていたのだ。
 そして今その墨ぬいぐるみは、璃琳のベッドで添い寝の待機をしている。
「ちが! これは……そう、ムカムカした時のサンドバッグよ!」
 墨はそれはそれで嬉しいと思うが、尻尾をピクピク動かす程度で留めた。
「それより俺、璃琳様の言いつけを守りましたよ」
「やり過ぎだけどね!」
「でも俺は頑張りました」
「何が言いたいのよ?」
「ご褒美が欲しいです」
 そう言えばと、璃琳は約束を思い出す。
 もちろんご褒美は用意しておいた。
 しかし、今回はあまり褒められた事ではない。しかも雪がいなければ逞牙が大怪我を負っていたかもしれなかったのだ。
 だが、墨は墨で考えてくれたわけだし、逞牙が危なかった時にとっさに引き返し助けようとしていた。
 だから璃琳は考えていたご褒美のグレードを下げた。
「じゃぁ、少し屈みなさい」
「こうですか?」
 墨が屈んだ所で、璃琳は墨の頭に手を置いて撫でた。
 墨のお耳がピコンピコンッと、寝たり立ったりする。
「これで満足?」
 璃琳がジト目で墨を見やる。
「はい。大満足です」
 墨は今度はゆらんと尻尾を揺らした。
 しかし……。
『おでこにキスかと思ったのにな』
『本当はおでこにキスしたかったんだけど……』
 と、各々考えていたが。

 後日。
「璃琳、私はお前が墨をけしかけたと知っているよ」
 宗現が璃琳に会いに来てそう告げた。
「なっ?! お父様、これは……」
 慌てる璃琳の胸元で揺れるピンクのハートを見て、宗現はため息を付いた。
「べつに景品の物を欲しがらなくとも、後で買う事もできただろうに」
「ほおっておいてちょうだいっ! どうしても景品のが欲しかったの!」
 プイっと父から顔を背け、璃琳はこの場を走り去る。
 そんな娘の後ろ姿に宗現は深いため息をついて「大人しく嫁に行ってくれるといいが……」と呟いた。

 

雪と天舞

 江凱の宮から帰った後。雪が部屋に戻って休んでいると、天舞がやって来た。
「雪さん大丈夫ですか? 試合中、色々あったようですが……」
 天舞は皇子達の様に高台で双眼鏡を使って見ていた訳ではないから、パルクールの全ては見ていない。
 ただ予期せぬトラブルがあったというのは聞いていたので、様子を見に来たのだ。
 雪も自分の事を心配して様子を見に来てくれたのだなと、笑顔を向けて安心させる。
「大丈夫ですよ。罠があったのですがどれも子供だましの様な物で。ただ、配置が悪くて一ヶ所だけ危ない部分があったのですが、それもどうにかなりましたから」
「そうでしたか」
 天舞は雪に怪我がない様子もあってホッとする。
 そして気が付いた。雪の髪に結ばれた新しい紐に。
「あ、髪を結ってる紐を変えたんですね? とても似合ってます!」
 そう言われて雪は照れた。もちろん何故照れてるのか分からないが。
「天耀様からいただいたんです。
 ……所で、江凱様はいつもあんな感じなんですか? 何というか、猫被りですごい我儘でしたが」
 雪は何故か火照った顔を冷ます様に、とっさに話題をそらす。
「あぁ~。雪さんもとうとう見たんですね、江凱様の真の姿を!
 そうです、あんな感じで俺様です! 家族以外の人の前では猫を被ってそれにプラスして冷たいテイストが加わりますが、何故か女性にもてるいけ好かない皇子ですね!
 あとああいう手合いは好きな子や可愛い子ほどイジメる傾向にあると思います!」
 天舞は江凱が苦手なのもあり、ここぞとばかりに悪く言った。
 あと江凱の二面性は家族はもちろんだが、宮廷内で働く一部の者も知っていて天舞も知っている内の一人だと説明する。
「そうだったんですか。……あ、そうだ。天舞さんに贈り物があるんです」
 そう言って雪は、少し乱れたラッピングのされた大きな袋を渡す。
 天舞が中を開けて見ると、皇子・皇女・従獣の可愛らしいぬいぐるみが一通り入っていた。
「何がいいか分からなくて、一通り買ったのですが……」
「わぁ……! ありがとうございます!」
 天舞は喜び受け取って帰った。

 しかし天舞が部屋に戻って手が空いていた友達達と中身を取り出し確認すると、天耀だけいない。
「天耀様だけ売り切れてた?」
 友達と顔を見合わせた天舞であった。

 ちなみに、天舞の部屋は相部屋でさほど広くないので、雪以外のぬいぐるみは太博の部屋に置かれ、気分に合わせて違うぬいぐるみを1~2体連れ帰っては一緒に寝るという使用方法を取る事になった。

 

麗雲と天舞

「天舞、ちょっと失礼するよ」
 パルクールが終わって数時間後。麗雲はいつものように天舞に会いに来た。
 そして天舞の正面に立つと何かを彼女の首にかける。
「これは……首飾り?」
 麗雲が離れると、天舞の首にはお守りとして知られる水色の石でできた飾りを革紐で結んだ首飾りが下がっていた。
 ちなみに麗雲は去年の夏至祭も、天舞に似合う髪飾りを自分で選んで贈っている。
 なので今年も自分で選んで決めたのだろうと天舞は思い、飾りが綺麗な細工だったのもあり「ありがとうございます」と礼を言って微笑んだ。
 なのに麗雲を見上げると、彼は今にも泣きそうな顔をしているのだ。
「麗雲、様……?」
 天舞の心臓が締め上げられ、不安になってそっと彼の袖に手を伸ばす。すると彼は、先ほどとは打って変わり穏やかに笑っていた。
『気のせい、だった……?』
 そう思う天舞をよそに、麗雲はこの首飾りを選んだわけを話す。
「今年はお守りになる物が欲しくてね。聞いているよ、階段から転げ落ちそうだったり、ハチに襲われ梯子から落ちたりしたとね。
 その時は雪が助けてくれたそうだが、雪も私も常に天舞を守れないから。
 だから、天舞がもう危険な目に遭わない様に……」
 麗雲はペンダントの飾りを手に持ち、そのままそっと口付けする。
 まるで何か願いを込めるように。

 時々、天舞は考えている事がある。
 それは、麗雲の思い人は恐らく死んでしまったのではないかと。
 だから彼女は笑顔を向けてこう言った。
「あぁ、そうでしたか。でも麗雲様は心配し過ぎです! 私、雪さんに助けられなかったとしても受け身を取っていましたし大事にならなかったと思います」
 そうやって麗雲を慰めながら、天舞は今年の冬至祭も麗雲に贈り物をしようと考えていた。
『でも、あまり調子に乗ってほしくないから、去年と同じで食べ物を渡して一緒に食べるにしよう』
 と思いながら。
「あぁ、あとそうだ」
 そう言って麗雲は懐から天耀ぬいぐるみを取り出した。
「これもあげるよ」
「はっ! これは天耀様ぬいぐるみ!」
 ピンポイントだなと思いながら天舞は受け取る。
「何となく、必要な気がしてね。じゃぁ、また会おう」
 そう言って麗雲は木の陰に隠れ尻尾の毛を逆立てていた謡尾を連れて、去って行った。
「麗雲様って、時々不思議……」
 天舞は天耀ぬいぐるみを抱きしめつつ、ペンダントの飾りを指でいじった。

 

旺眞と逞牙

「逞牙! もうあんな危ない目には合わせないから……」
 気絶から目を覚まし、傍で心配そうに見つめている逞牙を目にした旺眞は、逞牙をむぎゅっと抱きしめた。
 逞牙は唐突にやって来た圧に恥じらいながらも、旺眞を宥める。
「大丈夫ですよ旺眞様」
 そして抱きしめから解放され、でもと逞牙は話た。
「俺、あの時目をつぶっちゃって……。雪に助けられたから良かったけど、これじゃぁ旺眞様に何かあった時助けられないので、俺もっと頑張って訓練しますね!」
 逞牙は笑顔でそういった後、そうだとベットの脇の台に乗せていた小包を旺眞に差し出した。
「これ、出店で買ったんです。旺眞様の好みとは違うかもしれませんが……」
 頬を染めていた旺眞はそれを受け取って開けると、それは黄色い花のブローチだ。
「まぁ、綺麗。ありがとう、逞牙」
 旺眞は早速左胸辺りに付け「どうかしら?」と喜び、女官達はその光景を微笑まし気に見ていた……。

 後日。
 逞牙は雪に稽古を付けてもらっていた。
「なぁ雪、どうやったら雪みたいに強くなれるんだ? あ、訓練以外でな!」
「え? そうだな……」
 雪はしばし考え
「守りたい人を作る事、とか?」
「えー、俺もういるけど強くないぞ?」
 逞牙は困ったように言って、雪は笑った。
「そりゃそうだろ、まだ訓練して日も浅いんだから。僕だって逞牙くらいの時はそんなもんだった」
「そっかぁ。でも俺、早く強くなって旺眞様を守りたいんだ!」
「じゃあ、毎日頑張らなくちゃな」
「うん!」
 そんな逞牙と雪の会話を、実は通り掛かった旺眞が聞いていた。
 そして、みるみる顔を赤らめ恥ずかしそうに身を縮こませ、共にしていた女官は穏やかに笑った。

 

夏至祭の日の色々』終

 

 璃琳たんのピンクのハートは『チョコレート・パニック!』ではキラキラカクカクした感じで描いたけど、ローズクオーツでぷっくりしたハートが良かったかも?
 あとパルクール後、墨が色々セットになってる景品を璃琳の部屋まで届けて
「これだけでいいわ!」ってお菓子とペンダント取って、墨に「掛けてちょうだい! ほら、髪を上げておくから」って掛けさせたんだろうな。

 

 そういえば天舞ちゃんの実家は宮廷内にあると思って書いていた気がしたが(うろ覚え)、天舞ちゃん達は天耀の宮で暮らしてるよな?
 まぁ、宮廷って一つの町みたいに大きいみたいだし、子供達はそれぞれ職場に近い場所で暮らして休日に帰ったりしているんだろう!
 ガハハ!

 って丸め込んだ。

 というワケで。天耀達が宮を移動する際歩いている描写があるが、もしかしたら前後で馬車に乗ってるかも。

 そして、そういえば雪さんの贈り物のぬい、天舞ちゃんは買わなかったの?
 なんなら被りそう。
 とかも思ったが、創作においてこの手の事を考えてもしゃーない。

 とか思ったりもしたが理由を付けるなら、プレゼントを買いに来た太博と雪が出会った場所は、少し高めの商品が多く置かれた場所だった。
 なので、太博達より給料の安い天舞はあまり手が出せない物ばかりでそもそも見に行ってない。
 雪は雪で高い物が多い場所から順番に回っていたから、太博に会った。
 もしくは○○区間で太博がプレゼントを買って、天舞達は××区間で欲しい物を買おう!

 ってしていたのかな?

 っていう理由を考えておりましたよ!

 

前回

ayano-magic.hatenablog.jp

 

次回

ayano-magic.hatenablog.jp

 

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原作の広告(2023/3/24 電子版情報)

Cheese!(チーズ!)

 2019年3月号~2023年5月号に王の獣が掲載されており、全号購入可能。
 割高にはなるが連載中なら最も早く王ケモが見られる。
 また、マイクロ&単行本で修正された箇所が電子版でも元の状態で見られると思われるので、単行本とセットで買って変化を楽しみたい人向け。

 

王の獣~掩蔽のアルカナ~【マイクロ】

 53巻まで発売中。
 1巻で大体1話分くらいが見られる。(ページ数による)
 先行配信をしているサイトもある。
 連載中に雑誌より安く、単行本より早く王ケモを見たい人向け。

 

王の獣~掩蔽のアルカナ~

 11巻まで発売中。
 1巻に大体4話入ってる。(1話分のページ数による)
 時間が掛かってもある程度安くまとめて読みたい人向け。

 

*1:なお、小説を賞に応募した事もあるが1次審査すら通過した事はなかったし、評価シートありの所では常に構成の評価が最低ランクだった

*2:試し読みや読者の感想等も36話くらいでよく見なくなり、大して分からない

*3:彼女の宮は後宮の外にある