◆注意する事ばかりで長くなった注意◆
これは
- 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
- 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
- 女体化
- 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
- 滲み出る変態性
を含みます。
そして私は
- 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
- あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
- 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
- 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在
です。
それでも見たい人は続きへGO! GO!
第三十一話 壱の夏『字の勉強』
戦慄の人生ゲームから数日後。璃琳と会う予定を立て、そろそろ会いに行こうかという頃。
「そう言えば、雪は文字の読み書きがあまりできないんだったな?」*3
天耀にそう言われ雪は「そうですね。教わる機会はあったんですけど、どうも文系な事は苦手で……」と答える。
この時代のこの国において、人間は既に平民でも基礎的な教育は受けていた。*4
しかし亜人は別である。人間の様に勉学に励めるかは、付いた職で決まるのだ。
そしてそれが軍人であればそうそう文字を教わる事もないのだが、雪が所属していた場所は少し特殊である。
なので雪は、何度か文字の読み書きを教わった事があった。
が、机に向かって勉強をするというのが苦手な雪はそのたびに挫折し、周囲の者からは「必要最低限は押さえているから無理をしなくてもいい」と憐みの目を向けられる始末。
という訳で、雪は未だに必要最低限の読み書きしかできない。
しかしそんな事情を知らない天耀は「なら、今から少し練習しないか?」と、スッと笑顔で子供向けの手習い本を取り出した。
机に隣同士に座り雪の識字能力を軽く調べた後、天耀は雪に文字の書き方・読み方を丁寧に教えていた。
体は密着気味で天耀と雪の手はよく振れ合い、それに加えて天耀が雪の手に自分の手を添えて丁寧に書き順を教えて来るものだから、雪は始終ドキドキしていた。
「あの、天耀様は忙しそうですが、いいんですかこんな事に時間を使って?」
動悸や顔と耳の火照りの理由がまだ分からず戸惑う雪は、そんな気持ちを忘れるよう、ついでにそう言えば天耀が仕事に戻るかも? と思い訪ねてみる。
「うん。でもこれは休憩のような物だから」
『雪、何だか緊張している感じだなぁ……』
天耀はそれが恋愛感情から来るものならいいなと思いながら、雪成分を補給した。
ちなみに前日。
「なるべく雪と一緒に居たいから、時間を作って私が雪に文字を教える!」
と天耀が太博に宣言した時、太博は呆れた顔を主に向けていた。
が、彼は天耀の色恋にとやかく言わず。今は戻った時に作業がはかどる様にと下準備をし、自分が代わりにできる事は代りにしていたが。
という訳で、優秀な部下のお陰もあり心置きなく雪との時間を満喫していた天耀であったが、ふとクスリと笑ってしまう。
「僕の字……下手ですか?」
自分の字の下手さに笑ったのかもとショックを受けた雪を見て、天耀は慌てて首を振った。
「違う違う、そういうので笑ったのではないよ。……蘇月の事を思い出したんだ。
あの子はある程度文字の読み書きができていて家族に手紙も出していたのだが、こうして一緒に勉強をした時もあった。
その時に……」
「あの!」
ガタンと雪が勢いよく立ち上がる。
「雪?」
「……申し訳ありません天耀様。なれない事をしたせいか疲れてしまって……。少し外の空気を吸ってきます」
雪はそう言って逃げるようにこの場を去った。
◆
『僕は一体何をやっているんだ……』
雪は庭の、人目に付かないすみっこにうずくまり項垂れ、先ほど自分の心で起きた事を想い返す。
最初はドキドキしたりソワソワ落ち着かない気持ちだったが、それは嫌ではなかった。
むしろ、幸せだったと思う。
しかし天耀が蘇月の話を始めた時、途端に悲しい気持ちになったのだ。
だからあの場にいるのが嫌になって、適当な事を言って出てきてしまった。
そして、そんな雪の心を今も支配する感情は
『天耀様は亜人全てに優しい。だから僕は、蘇月と同じ価値しかないんだろう』
だ。
だがそれ以外に『僕は子供じゃない』『異性として見てほしい』『特別でありたい』という感情もあるのだが、雪にはそれが分からない。
だから天耀からの優しさを子供みたいに独り占めしたいのだと、そう思って片付けた。
『ガキ臭すぎるだろう……。それに、こんな事で心を乱している場合じゃない。僕に……、そんな資格はないのに……』
罪悪感が雪を襲う。
体から、汗が噴き出してくる。鼓動が早くなり、呼吸が荒く、そして胃が締め上げられて……。
『こんな、つまらない事で……こんな風になっている場合じゃないのに、一刻も早く見つけなくちゃいけないのに……』
込み上がって来た胃液を吐くまいと飲み込み、雪は立ち上がろうとし……。
「雪じゃん。どうしたんだこんな所で?」
雪がしゃがみ込んだまま振り返ると、こちらを覗き込む江凱が立っていた。
ちなみにここは天耀の宮内である。
なので本来江凱がうろついている事などないのだが、この日は天耀にちょっとした確認がしたかったのと、雪に自分の正体がばれた事で天耀の元へ遊びに行きやすくなった事もありここに一人で来ていてた。
そして目立たぬ場所の白い人影に気が付いて、やって来たというワケだ。
「うわ、お前顔色悪すぎ。もしかして吐いてた? いや、まだだったか」
地面を覗き見てから江凱はしゃがみ、雪の背中をさする。*5
が、雪は妙な人に会ったなと思いながら「吐きませんよ。では僕はこれで」と素っ気ない態度で背中の手を振り払うように立ち上がり、尻尾をお尻にポスポスとさせて尻尾の裏に付いた砂を払ってから去ろうとし……。
「まーてよ」と江凱に腕を掴まれてしまった。
そして顎クイされる。
ちなみに。江凱としては顔色をもう少しよく見たいのと、ちょっと圧を掛けて意地悪してやろうと企んでいる故の行動だ。
「お前……すげー女っぽいな? 腰も細いし身長もさほど高くねーし」
顔色がそこまで悪くないのを確認すると顎から手を放し、両手で雪の腰を掴んだ江凱は言う。
そんな江凱の鼻には、背中をさすっている時にも感じた男よりは女に近い体臭が香っていた。
「あの……僕はその、子供の頃に色々あって……アレがないんですよ。だからあまり男らしくなれないんです」
「へぇ~……」
そして江凱はしばし沈黙し、雪の股間に手を伸ばす。
「ちょっと、触らせて?」
雪は嫌悪感丸出しの顔でその手を払った。
「何すんだよ俺は皇子ぞ! 主ではないとはいえ、従獣がそんな態度を取ってどうする!」
「うっ……!」
言い返せずに、耳と尻尾をしょぼくれさせて反抗しなくなった雪を見て、江凱はにやぁ~と笑い。
「というワケで、大人しく触らせてもらうぞ……」
『何なんだこのガキみたいな事をする皇子は!』
雪は心の中でそう叫んだが、どうする事も出来ず……。
仕方ない。減るもんでもないし……と、覚悟し目を瞑ったその時。
「あだだだだだ!」という江凱の悲鳴が聞こえ、雪は目を開けた。
目の前では、天耀が江凱に立ち技の方のアームロックを仕掛けている。
「江凱兄上~! 雪に意地悪しないでください!」
「いや、ほんの出来心で……痛い痛い、ギブギブ……」
雪が出て行った後、天耀は雪を心配し探していたのだ。
そして見つけたと思ったらそこには江凱がいて、何やら良からぬ事をしていたのでこうしてお仕置きしたという訳である。
そして天耀はちゃんと江凱を雪に謝らせてから解放し、今度は雪の手を引いて帰って行った。
「天耀様、あの……手はもう離しても……」
雪はまたあの不思議な状態になったと感じた。
心臓がいつもより早く脈打って、でもその動機は辛くなく、顔と耳はみるみる熱くなり、繋いだ手も、熱い……。
しかし天耀はそれに気が付かずに、しばらく執務室などがある方に歩いてから立ち止まると雪の肩を両手で掴んで向き合う。
「雪! 大丈夫か?!」
「大丈夫ですよ天耀様。天耀様が助けに来てくれたので……」
そして天耀から目を逸らす。何故か直視できない。
「それから……。今の従獣は雪なのに、私は蘇月の話ばかりしてた。だからもし蘇月の話を聞くのが嫌なら、私はもうしない。
字の勉強も嫌ならもうしない。
雪の嫌がる事はしたくないんだ。
でも、言ってくれないと分からない事もあるから、遠慮なく言ってほしい」
え? と思ってそらした視線を元に戻した雪は、天耀をまじまじと見た。彼はしょんぼりした顔をしている。
「大……丈夫です。蘇月さんの話、嫌じゃないです。さっきはその……、本当に疲れてしまって。
でも字の勉強だって嫌じゃないです。むしろ天耀様と一緒に勉強するの、楽しかったですし」
それを聞いて、天耀は嬉しさと恥ずかしさで頬が赤くなった。
「だからあの、また教えてほしいです。
それから……。もしよかったら、蘇月さんの話の続きを聞かせてもらえますか?」
こうして二人は、昔話を語り聞きながら帰った。
ちなみに江凱は気まずさを感じながらも、用をすます為この後天耀の元にちゃんと行った。
第三十一話『字の勉強』終
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