これは『著者:藤間麗 / 出版社:小学館』が権利を有する漫画『王の獣~掩蔽のアルカナ~』の非公式二次創作物です
◆注意する事ばかりで長くなった注意◆
これは
- 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
- 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
- 女体化
- 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
- 滲み出る変態性
を含みます。
そして私は
- 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
- あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
- 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
- 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在
です。
それでも見たい人は続きへGO!GO!
番外編『金華②』
あれから皇帝陛下は何かと私に良くしてくれた。
そして私は陛下と沢山お話をした。
ある日、二人きりの時は名前で呼んでほしいと言われた。
だから私は宗現様と呼ぶ事にした。
◇
宗現様は私にとても優しくしてくれる。
一緒にお話をして、お散歩をして、お食事をして。
かき氷をご馳走された事もあった。
もちろん、人目を避けて。
私は、こんなに幸せな事は生涯にもうないだろうと思った。
◇
ある日。ここの人達の綺麗な簪に憧れて、でも高価な物だし早々手が出せないなと思っていた頃。
庭師が剪定したまだ綺麗な花をもらって髪に挿してみた。
池に映った自分はいつもよりは華やかに見える気がする。
「綺麗だね」
池に別の人物が映り込んでそう声を掛けてきた。
宗現様だ。
「あ、ありがとうございます……」
そうは言ったが何だかこんな所を見られたのが恥ずかしくて、私は花の簪を抜き取ると「用があるので」と足早に立ち去ってしまった。
それからしばらくして始まった夏至祭の日、宗現様は私を呼び出して赤い宝石の花が付いた簪を見せ、「金華にあげるよ」と髪に挿してくれた。
「うん。よく似合っている」
「ありがとうございます。大切にしますね」
夏至祭の日は男の人が女の人に贈り物をする日だ。
そして装飾品は主に妻や恋人、それに好きな相手に贈られる事が多い。
宗現様は私を愛していると言ってくれた事はないし、私もこの気持ちは胸に秘め言う事はないが……。
とても、嬉しい。
◇
宗現様と私は、一部の人から噂されるほど仲が良かった。
しかし時々牡丹様が私達の様子をこっそり見ていて……、申し訳ない気持ちもあった。
それに、私達の関係を知ったのだろう。あんなに懐いてくれた旺眞様も途中で目を合わせてくれず、会話もほとんどない状態になったのが悲しい。
でも、それは仕方ない事だ。
◇
宗現様と一緒に庭を歩いていた時。
段差でよろけた私を、宗現様がとっさに抱き止めてくれた。
そして彼はその姿勢のまま「しばらく、こうしていてもいいかい?」と囁く。
私は小さく「はい」と答えて、しばらく私達は抱き合った。
◇
私の子作りが決まった。
相手は宗現様の従獣、彊虎様だ。
彊虎様は私と宗現様の事をよく知っている。だからからか、とても辛そうに見えた。
子作りはあまりいい思い出ではない。
私は初めての事でうまく出来ず、彊虎様も……。
だから私達は薬を使われ、人間に手伝われ、そして子供を身ごもった。
◇
お腹がずいぶん大きい。どうやら双子の様だ。
宗現様は子作りの最中も妊娠中も、私を気遣ってくれた。
まるで、夫の様に。
とても嬉しい。
ある日、宗現様がいつもの様に私の様子を見に来た時。お腹をさすりながらこう言った。
「宗現様。この子に名前を付けてもらえますか? 宗現様に付けてほしいのです」
おこがましいと言う人はこの場にはいない。だから思い切ってそうお願いをしてみたのだ。
すると宗現様は喜んで引き受けてくれた。
しばらくして、私は双子の女の子を産んだ。
そして宗現様は二人に『藍月』と『蘇月』という素敵な名前を与えてくれた。
◇
可愛い白い双子の女の子、藍月と蘇月を産み、しばらくして。
宮廷を出て元の医院に戻る私に「見分けが目立たぬ位置のホクロだけでは不便だろう?」と、宗現様は赤いリボンを手渡し。そのまま私の手を包み込んで握り続けた。
これが、最後なのだ。
もう、彼にこんな事をしてもらえる日は、二度と来ないのだろう。
そう思いながら私は宗現様の大きくて温かな手を見つめていた。
しばらくして、私は遠くで私達を見守る彊虎様に気が付いた。
「あの、宗現様……」
私がとある提案をすると、宗現様は「いい案だ」と笑顔で彊虎様に手招きして傍に呼び寄せる。
「彊虎様にも子供を抱っこしてもらいたいのですが……」
彊虎様は子供が好きだと聞いた。
しかし前回出来た自分の子供とは交流がないと聞いたし、私も宮廷を出るのでこの子達とも交流が無くなってしまう。
だからその前に、抱っこをしてほしかったのだ。
彼は最初戸惑っていたが、宗現様に促され先にスヤスヤ眠る蘇月を手慣れた手つきで抱き上げた。
きっと今まで宗現様の子を、こうやって抱き上げあやしてきたのだろう。
続いて藍月も抱っこして、そして籠に戻した時。藍月は彊虎様の指を掴んで笑ったのだ。
彊虎様は嬉しかったのだろう、とても柔らかい顔で微笑んでいた。
◇
子供達はそろそろ六歳だ。
藍月は夏至祭の武道会を見た後から、すっかり彊虎様を慕っている。
もし、私と彊虎様が夫婦として暮らしていたのなら、きっとこの子はお父さんっ子になっていたはずだ。
……。
もし……。
もし、私が宗現様ではなく彊虎様を愛していたら。
もう少し違う未来もあったのだろうか……?
◇
隣国との戦争がはじまった頃、私は宮廷に呼ばれ久しぶりに宗現様に会った。
彼は仕事で忙しく駆け回っていると耳に入るので心配をしていたが、元気そうで安心した。
そして私はお願いをされたのだ。
私のアルカナで傷付いた兵を癒してほしいと。
そして彼からの話はそれだけではなかった。
「金華。これが終わったらお前の功績を称え、再び宮廷で暮らせるように手配する。
もちろん、藍月と蘇月も一緒だ。
また、共にここで過ごそう」
そう言って宗現様はあの頃と変わらない微笑みを向ける。
私は嬉しさに心が躍るのを感じながら、この仕事を引き受けた。
私が戦地に赴き功績を立てれば、藍月と蘇月を連れて再び宮廷で暮らせる。また、宗現様と一緒に居られる。
だから私はに不満はない。
しかし仕事の間、家に残す子供達の事が心配だ。
それに……。
私は寂しがる二人に宗現様から頂いた簪を託し、万が一の事を考え藍月に蘇月の事を頼み、戦地へ向かった。
もちろん、藍月に重荷を背負わせる訳にはいかないから、生きて帰ると心に誓って。
◇
私は戦地で毎日兵の傷を癒して過ごした。
私の護衛は孔先様達が付いてくれた。
ここでは特に生活で困る事もないが、毎日傷付いた兵を見ると早く戦争が終わってほしいと願わずにはいられない。
特に、私では治せない傷を負った兵を見た時はそう強く願う。
ただ、宗現様が日々戦争を早く終結させる為に動いている話を耳にするのが唯一の救いだ。
◇
敵に捕まって何日たっただろう?
もう手足と首の枷の重たさや冷たさにも慣れてしまった。
そして誰のかも分からないお腹の中の子は、日に日に大きくなっている。
もし、この子に藍月と同じ力があったら……どうなるだろうか?
凪の国の脅威になるのではないだろうか?
しかし、生まれた後に脅威を感じて殺そうとしたとしても、死なないのではないだろうか?
でも、私から栄養をもらっている内ならば、私さえ死ねばこの子は生きながらえる事もないだろう。
監視が強く私の身の回りに危ない物を置かないので、それは叶わないが。
それにまだ……。助けが来るかもしれない。
だから、まだだ。
◇
屋敷が騒がしい。男が私を抱き上げ隠し通路を走った。
孔先様達が助けに来たようだ。
しかし、このままでは孔先様達に私を見つける事は出来ないかもしれない。
そして私は別の場所で、この子を産むのだろう……。
私は……。
慌ただしい今、私にも一つできる事がある。
それは……。
私は床におろされた隙に近くにいた男の短刀を手にすると、素早く腹と首に突き刺した。
普段はできない事だ。でも今は孔先様達がやって来た事で男達にそういった事を注意する意識が薄れていた。
そして躊躇う不安はあったが、不安に反して躊躇なく突き刺せる事も出来た。
私は薄れゆく意識の中で、宗現様を想う。
きっと彼は泣くだろう。自分を責めるだろう。
でも私は、宗現様の枷になりたくない。
あの人は、この国を、この世界を変えてゆく人だから。
だからどうかお願い。
藍月と蘇月に、明るい未来を見せてあげて……。
番外編『金華②』終
宗現の『愛しい君へ』と『永遠の別れ』辺りとセットで見る感じの番外編。
『白狐・六つ』『白狐・八つ』辺りともリンクしてる。
彼女は子供が生まれてもひたすら待つ、という選択肢もあったと思う。
時代背景的に人工授精とかそういった技術もないし、戦力になるまでにかなりの時間も掛かるので。
ただ、凪の国への今後の安全の保障が無かった事と、精神的に追い詰められた状態だったからこその選択。
という風に捉えてね。
(別にそこまで考えて書いたワケじゃないのだが、完成している段階で疑問が生まれて「こうだったのかな?」って考えてみたから、ここにこうして書いたっていう)
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