これは『著者:藤間麗 / 出版社:小学館』が権利を有する漫画『王の獣~掩蔽のアルカナ~』の非公式二次創作物です
◆注意する事ばかりで長くなった注意◆
これは
- 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
- 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
- 女体化
- 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
- 滲み出る変態性
を含みます。
そして私は
- 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
- あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
- 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
- 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在
です。
それでも見たい人は続きへGO!GO!
番外編『孔先』
俺と宗現は幼い頃からの腐れ縁だ。
宗現が改革を目指した頃、俺はアイツの部隊に半ば強引に入れさせられ、アイツの命令で西へ東へ駆けずり回った。
◇
アイツは、ことある毎に藍月と蘇月の話をしていた。
「季節の植物から名前を付けたが雪の様に真っ白だったから、そういった名にした方がよかったかなぁ」
宗現は酔っぱらってそう言い出したから、俺は「それ、何度も聞いたぞ」と返しながら酒を飲んだ。
「違うものにした方がいいかとも思うんだが、どうやら気に入っているようでな」
双子の誕生日前に金平糖の入った瓶を二つ手に持ち、宗現はこれから贈るのだと幸せそうな顔をしていた。
「コッソリ見てきたんだが、随分大きくなっていたよ。それにとても可愛くてな、案の定近所の男の子からちょっかいを掛けられていた」
そう言いながらも、宗現は嬉しそうにしている。
そんな話を聞きながら俺は、まるで実の娘の事を話している様だと何度も思った。
◇
ある年、戦争が始まった。
その戦争で嫁と息子を亡くした俺は、どうしても仇が取りたかった。
だが、そんな焦りのせいか宗現から託された金華を敵に奪われ……死なせてしまった。
藍月と蘇月には、俺から金華が死んだと告げた。
絶望したあの二人の顔は、未だ忘れられない。
全部俺のせいだ。
なのに宗現は俺を責めなかった。
この戦争が終わったら金華達を向かい入れるつもりだったのに、それがすべて無に帰したのに。
俺はそんなアイツに敵を皆殺しにするバカげた提案をした。
俺達にはそれをしようと思えばする事もできる、そんな状況だったのだ。
だがアイツはそれすらも却下した。
これではたとえ戦争が終わっても、敵国との溝が深くなりすぎて新たな問題に発展しかねないと。
その後もアイツは過剰な行動に出る事なく、黙々と終戦を目指した。
最愛の人を亡くしたのに、夢も失われたのに、俺から罵倒の声も浴びせられても、心を殺し、冷静さを保って。
そして、戦争は両国の被害を最小に抑える形で幕を閉じた。
◇
あの戦争から数年後。
俺は宗現に呼ばれた。
そして蘇月のアルカナの事と、彼女の処遇を聞かされた。
俺はアイツがとうとうイカレタかと思った。が、金華の事を考えると特別可笑しな事でもない。
それに蘇月も納得していると聞いて、藍月の監視を「気が狂ってる」と言いながらも引き受けた。
宮廷の外に出ると、路地裏の入り口で不審な動きをしている男共がいた。
不審がられないように近くに行って聞き耳を立てると、どうも亜人の子供がいるようで誘拐の手筈を企てている様だ。
だから俺は迷わず路地裏に入った。
するとそこには白い狐の亜人の少女がいて、俺が近寄っても膝を抱えたままピクリとも動かず蹲っている。
「ほら、帰るぞ!」
俺は路地裏の入口でまだたむろっている男共に聞こえるように大声を上げ、娘の腕を掴んで起き上がらせた。
その時、気が付く。
この子は、藍月だと。
取り合えず別の人気のない場所に行き、まるで初対面ですと言わんばかりにお互い自己紹介をした後。俺は藍月から話を聞いた。
藍月は俺から促されると、蘇月が仕事をほっぽり出していなくなった事、蘇月はそんな事をしない事、自分にも会わずに失踪したりと不審な部分がある事、宮廷の中を探したかったが中の人間は自分の話を聞かず、入る事も叶わなかった事などをぽつぽつと話してくれた。
そんな藍月を見て俺は「いい考えがある」と言い、こう提案した。
「記憶喪失のふりをして、男として俺の弟子になれ」
と。
「特別なアルカナのない亜人の女が宮廷に入るのは簡単な事じゃないが、男なら別だ。
アルカナがなくても腕が立てば宮廷の護衛くらいにはなれる。
そして俺は皇帝直属の軍部にいるんだ。時間は掛かるかもしれないが、いずれは上手く口利きして安全に宮廷に入り込ませられるかもしれない。
そうしたら妹の失踪の詳細を当事者から聞けるかもしれないだろ?
もちろん今宮廷に忍び込もうと思えば忍び込めるが、そんな何日も忍び込めないだろう。妹を探すにはもっと腰を据えて中に入っていた方がいいんじゃないか? それにばれたら間違いなく殺されるぞお前。
そもそも宮廷にいるとは限らないだろ? なら軍に入るのは悪い話じゃない。行く先々で情報を集めりゃいい。
情報集めもできて運が良けりゃ宮廷にも安全に入り込める。一石二鳥とはまさにこの事よぉ!」
俺は口から出まかせでペラペラとまくし立てた。
よくもまぁこんなデタラメが次々に出て来るなと思いつつ、そんな口車に乗らないだろうと考えながら。
しかし藍月は……、乗った。
少しバカなのかもしれないと疑う程度に、あっさり話に乗ってきた。
◇
「なぁ、お前はこれから命の危険にさらされる。それに、人間も亜人も殺さなけりゃぁいけなくなる事も出て来るだろう。覚悟は、出来てるのか?」
別に切らなくてもいいと言った長い髪を「最近の流行りだから」と言って適当に切ろうとしたものだから、俺が代わりに切ってやりながら何度も聞いた事を尋ねる。
「何度も聞いてこないで。私……僕はもうとっくに覚悟してる」
長い髪は短くなった。「かっこいいだろ!」と、首の後ろの毛は一房だけ長い部分を残したが。
こうして俺は藍月に記憶喪失の少年の設定を付け、弟子として自分の手元に置き育てる事にした。
名前は宗現の話を思い出し、『雪』と名付けた。
その後。宗現に藍月を監視する為、男として軍部に入れさせ俺の弟子として育てると報告したら、アイツは怒った。
「軍なんて危ないだろう。藍月が死んだらどうするんだ?」
「過保護だな」
俺はそう言って「アルカナがあるかどうか見極める為にも、好都合だろ?」と、強引にこの案を通し、雪を弟子として迎え入れた。
◇
雪が俺の弟子として軍部に入り、しばらくして。
雪は丁度居合わせた見習い兵の人間の少年達と喧嘩をした。
と言っても、亜人は力が強いから人間に怪我をさせないために手出ししてはいけない掟がある。
だから一方的に殴られて、大人達に見つかって喧嘩は収まったのだが。
俺は雪に話を聞く前に事情を聞いて回り、それから雪に会った。
雪の顔は腫れている。俺は「ひでぇ顔だな」と言って手当てをした。
雪はふてくされて黙ったままだ。
「話、聞いたぞ。あいつら俺の悪口言ってたってな!」
そして俺はガハハと笑う。
ちなみに悪口の内容は、雪が綺麗な男だからそっちの趣味がある俺が手籠めにしているとか、そういう内容だったようだ。
俺が雪を傍に置いて息子の様に扱うのが気に食わないのだろう。
「笑い事じゃない!」
雪は怒った。
「別に悪口を言われてるのはお前じゃないだろう。だから、そんなに怒るなや。それに俺は気にしてねぇよ」
「気にしろよ」
雪が拗ねて口を尖らせそっぽを向いた。
「拗ねるな。でも、俺の為に怒ってくれてありがとな」
手当てし終えて頭をクシャクシャと撫でてやる。
あぁ、懐かしい……。
昔も、こんな事をしたっけな。
そして雪は……あの日の息子の様に、笑顔を向けてくれた。
◇
雪には戦闘の才があった。
俺が教える事をみるみる吸収し、今では立派な組織の一員だ。
さすがは彊虎の子供という所か。
そして、雪が十六歳になった年。宮廷勤めの願いが叶った。
表向きは終戦に貢献したからだが、実際には雪に蘇月の様なアルカナの気配が出た為だ。
雪は戦時中、首元を真っ赤に染めて帰って来た事があった。
「返り血を浴びた」と言っていたが、服の首元が破れていた。
しかし雪にそんな傷はない。
だからその事を宗現達に話して、アルカナがあるかもしれないと伝えた。
こうして雪は皇帝や俺達の手の平の上で弄ばれてるとも知らず、宮廷に入った。
だが……。
俺は金華を死なせてしまった。
あの小さな子供達を、酷く悲しませてしまった。
それは俺にとっていつまでも残り続ける後悔だ。
そんな中、俺は再び藍月に会った。
その時のあいつは、己の弱さにくじけそうになって膝を抱えて泣いていた。
あいつはただ、妹に会いたいだけなのに。
だから俺は、あいつにチャンスをやろうと思った。
だから口から出まかせを言いまくり、あいつに記憶喪失の少年の設定を付けて、弟子として自分の手元に置き育ててきた。
それは、全てこの日の為にした事だ。
この欲にまみれた世界で、彼女に生き抜く術を付けておく為に。
そして俺が教えられる事は全て教え切ったと思っている。
結果、藍月はとても強くなった。
自分の身は自分で守れる位に。そして、誰かの事も守れる位にな。
だから上手くいけば、蘇月を見つけて二人して安全な場所に逃げられるかもしれない。
安全。なんて物、ないのかもしれないが……。
これは俺のエゴだ。
罪滅ぼしになんてなりゃぁしねぇ。
けどよ、それでもこうしちまったんだ。
あの二人が、人間の欲に飲まれない場所で平穏に暮らせる様にってよ。
◆
新しい皇帝が即位した頃。藍月が会いに来てくれた。
こうして顔を見るのも久しぶりだ。
あと……、つい最近まで男として生きていたハズなのに、何だか妙に女っぽい気がする。
しばらく、俺達は他愛ない話をした。
それから。藍月は俺の事を恨んでいないし、感謝しているんだそうだ。
それで、たまに会って手合わせしたいと言って来たから「分かったよ」と答えた。
去り際、藍月は戸惑った様子を見せつつ口を開いた。
「師匠の事、時々お父さんみたいだなって思ってたんです。
もし父がいたらこんな感じかなって……」
そう言って藍月は帰って行った。
何故だろうか? 彼女の背中がぼやけて、よく見えない。
番外編『孔先』終
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Cheese!(チーズ!)
2019年3月号~2023年9月号に王の獣が掲載されている。
全号購入可能。
割高にはなるが連載中なら最も早く王ケモが見られる。
また、マイクロ&単行本で修正された箇所が電子版でも元の状態で見られると思われるので、単行本とセットで買って変化を楽しみたい人向け。
王の獣~掩蔽のアルカナ~【マイクロ】
56巻まで発売中。
1巻で大体1話分くらいが見られる。(ページ数による)
先行配信をしているサイトもある。
連載中に雑誌より安く、単行本より早く王ケモを見たい人向け。
王の獣~掩蔽のアルカナ~
12巻まで発売中。
1巻に大体4話入ってる。(1話分のページ数による)
時間が掛かってもある程度安くまとめて読みたい人向け。