Dへの扉

謎生物、地球でやりたい事をする

長閑な国の王とケモノ 第九話『弐の春 麗雲に会いに行こう!』

これは『著者:藤間麗 / 出版社:小学館』が権利を有する漫画『王の獣~掩蔽のアルカナ~』の非公式二次創作物です


◆注意する事ばかりで長くなった注意◆

 これは

  • 重度の中二病患者が作った黒歴史濃度の高い「アタイの考えたサイキョーの王ケモ設定!」
  • 原作のネタバレと世界観&キャラ崩壊
  • 女体化
  • 原作を読んでいる事前提だが、読んでいても意味が分かるとは限らない
  • 滲み出る変態性

 を含みます。
 そして私は

  • 小説・漫画・絵等を書くor描くのが得意ではない*1
  • あっぱっぱーだし中華風ファンタジーはもちろん書けん!
  • 王の獣は単行本7巻まで持っているが、それ以外は試し読みや読者の感想等で得た知識しかない*2
  • 王の獣のキャラが好きだがアンチという矛盾の存在

 です。
 それでも見たい人は続きへGO! GO!


第九話『弐の春 麗雲に会いに行こう!』

◆早朝◆
◇◇◇
 蘇月が従獣になり家を出てから、藍月の元へ蘇月から手紙が届くようになった。
 この時すでに文字の読み書きがある程度できていた蘇月だからこそ、できた事だ。
 しかし藍月は文字を読む事も書く事もままならない。
 妓楼の女主人であるババァに「立派な妓女になる為に!」と厳しく教わり一生懸命やっているが、藍月はそっちはてんで駄目だ。
 だから手紙は大抵藍月が付いていたデビューしたての妓女・紅玉姉さんに読んでもらう事が多かった。
 そんな手紙の内容は、天耀や太博の事、咲いてる花や食べた物、今習っている事など、そんな取るに足らない日常の事ばかり。
 しかし一度だけ、そんな手紙に友達ができたと書かれていた事があった。
「友達ですって」
 紅玉は微笑まし気にそう言ったが、藍月は不機嫌そうに口を尖らせた。
「嘘だよ」
◇◇◇

『あの蘇月に友達なんて……』
 手紙を読んでもらった時はそう思って終わったが、今はその友達を探して話を聞く必要があるだろう。
 もちろん友達というのが蘇月の、姉を安心させる為などの嘘でなければだが。
 そしてこの6年間、蘇月に関する情報集めの最中に、雪は自分以外に蘇月を探している人の存在を認識していた。
 雪が蘇月の特徴を聞いて回っていると、以前も同じ事を訪ねて来た人がいると言われる事がしばしばあったのだ。
 それは天耀なのか、友達なのか、それとも別の存在なのか……。
 雪はそれを知っていく必要がある。
 あとはどう周囲に聞いていくかだ。
 なるべく早くしたいが、いきなりあれこれ探り出しては不審がられてしまう。
 焦る気持ちを何とか抑え、雪は呟く。
「蘇月……。絶対、見つけるから……」

 朝。
 桜の木に梯子を掛けて上の方の花を摘む天舞と、下の方の花を摘む雪がいた。
 二人は塩漬けにする桜の花を摘む作業をしているのだ。
 元々は天舞一人でやっていたのだが雪がやって来て大変そうだからと「僕も手伝いますよ」と言い、仕事の時間になるまで手伝ってくれている。
 もちろん雪の本心は、ここで働く者達と交友を深めて蘇月の情報を聞き出しやすくする為にやった事なのだが、天舞にとっても好都合。
 これ幸いと兄に頼まれていた雪の好みなどを聞き出すついで、自分と太博が兄妹だという事も話していた。
「あまり似ていませんね。髪や瞳の色は同じですが……」
 太博は狐っぽい釣り目な男で、天舞はどちらかというと狸っぽいクリっとした瞳が可愛らしい女性だ。
 せっせと手にした籠に花を摘み入れながら、雪がそんな事を考えていると
「私は父様似で、太博兄様は母様似なんです」
 と、梯子に乗る天舞がやはりせっせと花を摘んで籠に入れながら教えてくれて、雪はなるほどとなる。
 その時だ。
「きゃあ!」
 天舞が悲鳴を上げて梯子から落ちた。
 スズメバチが彼女に向かって来た為だ。
 が、天舞は地面に落ちた衝撃を感じない。
 雪が持っていた籠を上に投げつつ、天舞を素早く抱き止めてくれたからだ。
 更に雪はそれと同時にヒョウ*3を素早く投げスズメバチにサクッと刺して仕留め、落ちてきた花入りの籠も華麗に受け止める。
「痛い所はありませんか?」
「大丈夫です!」
 天舞は心の中で
『ああああああ王子様ぁぁぁああああ!!!!!!』
 と叫ぶのであった。

 そんなこんながありながら、雪と天舞は厨房に花を運んでいた。
 そこに天耀がフラっと現れ声を掛ける。
「おはよう二人とも。朝から悪いのだが、二人に付いて来てほしい場所があるんだ」
 二人を探していたという天耀はちょうどよかったとニコニコし、そんな彼を見て二人は『どこに行くのだろう?』と顔を見合わせながらも、花を厨房に置いて天耀に付いて行くが……。

「何だか嫌な予感がします……」
 向かう方向と段々と大きくなる弦楽器と笛の音に、不服気な顔になる天舞。
 天耀はそんな彼女に「後でおいしい物をご馳走するから」となだめつつやって来たのは、綺麗な庭園が広がる宮だ。
 大きな池は水生植物が植えられ、中には珍しい水中で花を咲かせる植物もあった。
 その植物の合い間を鯉や金魚が泳いでいる。
 そんな涼し気な庭園の東屋に、二胡を弾く金髪の男と笛を吹く桜色の猫型亜人がいた。
 二人は演奏をやめ、天耀達の方を向く。
「やぁ、天耀。朝からどうしたんだい?」
「遊びに来たんですよ。あと、天舞も連れて来ました」
 ニコニコと、天耀は雪の後ろに隠れていた天舞を前に持ってくる。
「ちょっ、天耀様! 私を手土産のお饅頭みたいに扱わないでください!」
「天舞から僕に会いに来てくれるだなんて、嬉しいなぁ」
「私は天耀様に付いて来ただけで、麗雲様に会いに来たわけじゃないですよ」
 冷静に突っ込む天舞に麗雲はニコニコ付きまとい、麗雲の従獣・謡尾は尻尾を逆立てて天舞を睨み付けていた。
「謡尾さん、そんな顔で睨まないでください……」
 天舞は麗雲から付きまとわれるより、謡尾にそういう態度を取られる方が辛そうだ。
 そんな中雪は『謡尾って女か?』とか思って見ていた。
「それで、本当に遊びに来ただけかい?」
 麗雲が天舞のソバカスの頬を指でフニフニやりながら聞く。
 ちなみに天舞はそういう事はもう何度もされて慣れているので、あきれ顔でなすがままにされていた。
「そうですね。それもありますが調べたい事が出来まして、麗雲兄上は今日暇な様だったので話を聞きにやって来ました」
 天耀は調べ物で家族に話を聞く為、彼らのスケジュールをちゃんと調べていた。
 それによると今日は麗雲に特に予定がない事が分かったが、麗雲はフラっとどこかに行く事もあるので確実に会える朝からやって来たという訳だ。
「調べたい事?」
「はい。私の前従獣・蘇月に付いてです」
「ふぅん……いいけど、天舞だけじゃぁ協力しないよ。僕から話を聞き出したいなら、もう少し楽しませておくれ」
 今度は天舞のほっぺを手の平でムチムチさせつつ、麗雲は意地悪そうな、しかし無邪気な少年の様な眼差しを天耀達へ向ける。
「そうですね、では……」

 

 雪と謡尾が戦う事になった。
「ちょっ、謡尾さんは文系なんですから、あまり無茶な事をさせないでください!」
 異議を唱えたのは天舞だ。
 が、天耀は皇子スマイルで受け流し、雪は雪で「まぁ、天耀様の命令なら……」と特に反対はしない。
 更に謡尾も「僕だって従獣なんだし、戦闘くらいできるよ!」とツンケンして、麗雲も天舞の異議に耳を傾けずに謡尾にコソコソと耳打ちでとある作戦を伝えると、天舞を膝に乗せて鑑賞モードに移行する。

 

 こうして、雪VS謡尾のファイトが始まった。
【謡尾が麗雲から『笛』アイテムを受け取りアルカナを発動後、雪はそれをポケットに忍ばせていた小石を使ってはじいたのだが*4、原作とあまり変わらないからカット!】

 

 謡尾はゼェゼェ肩で息をしている。
「ほら、やっぱり謡尾さんでは現役軍人の雪さんにはかないませんよ~」
 天舞がそう言って水を持って来て、謡尾は「うるさい!」と邪険に扱い、でも水は受け取ってグビグビ飲んだ。
 そしてその戦いに満足した麗雲はニコニコしている。
「僕から聞きたい事があるなら何でも聞くといい。答えられる範囲で答えるよ」
「では、改めまして。蘇月に付いて感じた事などお聞かせください」
「あの、その前に……」
 雪が手を上げと、ある道具を所望した。

 楽器は水気に弱いと聞いた事がある雪は、申し訳ない顔をしながら釣り竿で池ポチャさせてしまった笛を救出する。
「申し訳ありません……」
「別にいいよ」

 下女に水と泥で汚れた笛を託し、今度こそ天耀は麗雲達から情報を聞き出す。

 

■麗雲と謡尾からの情報■

 麗雲も謡尾も、蘇月とは特別仲が良かったわけではない。
 しかし蘇月は従獣になってから習い出した楽器演奏の上達が早かった。
 なので夏至祭の日と璃琳の誕生日の日、謡尾と二人でセッションをしていた。
 その為、謡尾と一緒に練習をしている事はあった。

夏至祭の日は家族に見せるって言って、一生懸命練習してたよ。
 そういえばあの子、赤いリボン付けてたじゃん?
 あれってお姉さんとおそろいなんだってさ。
 で、当日は晴れ着を着るから外さなくちゃいけないのに嫌がって、左手首に結んでもらってたよ」
 謡尾がそう付け加える。
 そして天耀はその話を聞いて、あの日の夏至祭を思い出していた。

◇◇◇
 蘇月はこの日、晴れ着を着ていた。
 だから左耳の下に付けていたリボンも外していたが、太博に結んでもらったのだと左手首に巻かれたリボンを見せてくれた。
 そして演奏前、大勢の観客がいて彼女は緊張していたがそれでも「藍ちゃん……姉に見てもらいたいので」と舞台に上がり、謡尾と共に演奏をする。
 良くできていた。
 だが舞台から帰って来た蘇月は浮かない顔をしていて、だからどうしたのかと理由を聞いたら演奏前と後に観客席を探しても藍月の姿が見えなかったので不安になったそうだ。
 夏至祭で演奏する事を手紙に書いて送ったから見に来てくれたと思うと言うが、この人だかりだ。
 人ごみに紛れて姿が見えなかっただけだろうと、私は蘇月を慰めた。
◇◇◇

「あの、蘇月さんは友達はいたんでしょうか?」
 雪がそう声を掛け、視線が彼に集まる。
「いえ、天耀様は蘇月さんに付いて調べているとおっしゃっていたので……。この宮廷内は人も多いですし、友達がいてもおかしくないと思いまして。
 蘇月さんを調べるならば、交友関係などで知っている事も聞いた方がよろしいかと思いましたが……」
 天耀が自分に都合の良い事に蘇月に付いて聞き取りを始めたので、これ幸いともう少し情報を聞き出そうとした雪は
『踏み込み過ぎたか?!』
 と焦って「出過ぎた真似をしました」と謝った。
 しかし天耀は笑顔を向ける。
「いや、いいよ。むしろ助かった。
 あの子……蘇月は人見知りでね。友達の話は聞いた事がなかったし、いないだろうと思って聞かなかったんだ。
 だが、先入観は良くないな」
 こうして天耀が改めて麗雲達に蘇月の交友関係を聞く。
 しかし麗雲達は分からないと答えた。
「ただ、少なくともあの子は上下関係をしっかりわきまえているように見えたよ。
 だから僕に対しては使える主人の兄上という認識だし、謡尾は従獣としての先輩として接していたね」
 天耀は昔の、蘇月が居た頃を思い出して穏やかな顔になる。
「あの子はとても真面目な子でしたからね。私が見ていた範囲でもそんな感じでした」
 それから天耀は謡尾に、失踪に付いてどう思うか? 従獣を辞めたり主から離れたいと感じる事はあるかを聞く。
「さぁ、分からないな。少なくとも僕は麗雲から離れようとは思わないけど。ウザいと感じる事はあるけどね」
 こうして麗雲達への聞き込み捜査は、謡尾のデレとツンで締められた。

「それにしても天耀、いったいどういう風の吹き回しだい?」
「いえ……少し思う所がありまして」
「そうかい。まぁ、何か思う所があるのなら、気が済むまで行動するのはいい事だと思うよ」
 そう天耀に言葉を掛けた後、麗雲はポンっと手を叩く。
「そうそう、妹の玲蘭から手紙が来ていたよ。君の分もあるから渡そうと思っていたんだ」
 と、麗雲と母が一緒でもう嫁いだ妹の玲蘭からの手紙を手渡される。
「玲蘭様、ですか」
「ああ。蘇月とも一応面識はあるが……玲蘭姉上は蘇月が従獣になった年に隣国に嫁いで行ったからなぁ。話を聞くのは後回しだな」

 こうして、手紙を受け取った天耀は雪を連れて帰った。
「ちょ、天耀様! 私は?!」
 天舞が叫ぶ。
「今日はお昼まで麗雲兄上のお世話をしてやってくれ」
「なっ……!」

 昼過ぎ。
 下女仲間の元へと帰って来た天舞の髪型は、変わっていた。
 麗雲に(髪を)弄ばれた結果である。
「可愛いじゃん」
 友人にそう言われるが、複雑な気持ちの天舞であった……。

 

第九話『麗雲に会いに行こう!』終

 

 玲蘭からの手紙は、子供の事とか、おいしかったご飯とか、家族でどこそこに出かけて楽しかったとか、そういった内容なのでフラグとかではない。

 

前回

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次回

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原作の広告(2022/11/24 情報)

Cheese!(チーズ!)

 2019年3月号~2023年1月号に王の獣が掲載されている。
 2022/11/24時点で電子版で全号購入可能。
 割高にはなるが連載中なら最も早く王ケモが見られる。
 また、マイクロ&単行本で修正された箇所が電子版でも元の状態で見られると思われるので、単行本とセットで買って変化を楽しみたい人向け。

 

王の獣~掩蔽のアルカナ~【マイクロ】

 49巻まで発売中。
 1巻で大体1話分くらいが見られる。(ページ数による)
 先行配信をしているサイトもある。
 連載中に雑誌より安く、単行本より早く王ケモを見たい人向け。

 

王の獣~掩蔽のアルカナ~

 11巻まで発売中。
 1巻に大体4話入ってる。(1話分のページ数による)
 時間が掛かってもある程度安くまとめて読みたい人向け。

 

*1:なお、小説を賞に応募した事もあるが1次審査すら通過した事はなかったし、評価シートありの所では常に構成の評価が最低ランクだった

*2:試し読みや読者の感想等も36話くらいでよく見なくなり、大して分からない

*3:イーグルパブリシング出版『萌え萌え武器辞典』によると、中国版手裏剣だそうだ

*4:なお、原作ではチャクラム的な武器が出て来るが、どこから取り出したのかいまだ不明である